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坪井 寿典 院長の独自取材記事

坪井歯科医院

(津市/阿漕駅)

最終更新日:2026/05/18

坪井寿典院長 坪井歯科医院 main

結城神社前バス停から徒歩5分の「坪井歯科医院」は、1979年の開業以来、半世紀近く地域に親しまれてきた。先代院長である父より同院を受け継いだ坪井寿典院長は、大学を卒業後、大学病院の歯科口腔外科や高齢者歯科学教室で研鑽。摂食嚥下リハビリテーションや訪問診療、障害者歯科の現場でも経験を重ねてきた。多様なニーズに備え、幅広く知見を深めてきたのが強みだ。数年前にリニューアルした院内は、滅菌設備やデジタル機器も一新。「口や歯を見る前に、その人を見る」、そう穏やかな表情を見せる坪井院長に、診療への思いやこれまでの歩み、今後の展望までを詳しく尋ねた。

(取材日2026年4月15日)

入れ歯への興味がつないだ、地域医療への道のり

歯科医師を志したきっかけを教えてください。

坪井寿典院長 坪井歯科医院1

実家のすぐ隣にクリニックがあり、小さい頃から診療室に出入りしていました。年長か小学1年生の頃に将来の夢を聞かれて、何と書けば良いか母に相談したところ「歯医者さんって書いておきなさい」と言われ、そのまま書いたのが一番古い記憶です(笑)。ただ、その後も学校の先生や大工、警察官などいろいろな職業に興味を持ちました。一時は歯科技工士になりたいと伝えたこともあるのですが、父に「歯科医師になれば技工もできるから」と諭されましたね。振り返ると、ものを作ることと医療への興味をかけ合わせた結果、一番身近にあった歯科医師という道に自然とたどり着いたのだと思います。幼い頃から身近にあった歯科医師という仕事が、結果的に自分の原点だったと感じています。

もの作りと医療への興味は、その後の道にどうつながりましたか?

卒業後は三重大学の歯科口腔外科で初期研修を受け、全身疾患のある方の管理も経験しました。もともと入れ歯に興味があり、もっと深く学びたいと考えて進んだのが北海道大学の高齢者歯科学教室です。そこでは入れ歯や噛み合わせを専門的に追求しながら、血液内科と連携した口腔粘膜炎のケアなど、大学病院ならではの専門的な医療にも携わりました。「入れ歯を作る経験を多く得られるのでは」と選んだアルバイト先の歯科医院で訪問診療と出会い、食べることが難しい方の回復をめざす摂食嚥下の世界を知ることになりました。地元に戻ってからは勤務先で訪問診療を担当させていただき、今も声をかけていただいた障害者歯科センターでも研鑽を続けています。振り返ると、入れ歯への興味がすべてのご縁をつないでくれたように感じますね。

院内の環境づくりで大切にされていることを教えてください。

坪井寿典院長 坪井歯科医院2

当院は父が1979年に開業し、約45年の歴史があります。3年ほど前にエックス線機器が故障したのをきっかけに、院内を大きくリニューアルしました。一番のこだわりは滅菌体制の強化で、チェア1台分のスペースを滅菌コーナーに転用し、配管から見直してオゾン空気清浄やオゾン水も導入しています。CTの導入や診療台への大型モニターの設置など、デジタル化も進めて患者さんに画像をお見せしながら説明できる体制を整えました。内装は木目調にして温かみを大切にしつつ、あえて個室にはしていません。待合室で患者さん同士が言葉を交わすような昔ながらの雰囲気が当院らしさだと思っています。院長職を受け継いだ現在も、父と2人体制で診療にあたっており、父はスタッフから「マスター」の愛称で親しまれています。

入れ歯から移植まで、まずその人を見る診療

入れ歯治療について詳しく教えてください。

坪井寿典院長 坪井歯科医院3

入れ歯は単に歯を補うためだけの治療法ではありません。失われた骨や歯茎の部分まで含めて口腔内の機能回復をめざします。ブリッジなどが歯の一部分だけを補うのに用いられるのに対して、組織を包括的に取り戻す目的があるところに大きな特徴があります。一方で難しさもあり、完成して終わりではなく、そこからがスタートなんです。入れ歯自体はあまり変わらなくても体は日々変化していきますから、その変化に合わせた調整を続けていく必要があります。痛みを感じて使うのをやめてしまう方も少なくないのですが、大きな改善を期待し根気良く調整を重ねることが重要です。だからこそ必要な工程を丁寧にお伝えして、患者さんと一緒に作り上げていくという気持ちを大切にしています。

入れ歯以外にも、歯を失ってしまった際に治療の選択肢はありますか?

ええ。ブリッジ、インプラント治療に加えて「歯の移植」という第4の選択肢があります。移植は自分の組織を使うため、歯だけでなく周囲の骨や歯茎といった歯周組織の再生もめざせるのが大きな利点で、これはインプラントにはない特徴です。例えば親知らずのように噛み合わせに使っていない歯があれば、将来のスペアとして残しておく価値があります。現在はCTであらかじめ歯周組織の距離を計測し、3Dプリンターでドナー歯のレプリカを作って事前にシミュレーションできるようになりました。抜いてすぐ移せるため歯への負担も軽減され、以前に比べて安全性にも配慮しやすくなっています。保険が適用されるケースも広がってきていますので、条件が合えば、まず検討していただきたい選択肢です。

さまざまな選択肢がある中で、患者さんとの関わりで大切にしていることはありますか?

坪井寿典院長 坪井歯科医院4

その方が何をしてほしいのか、何を望んでいるのかをまず把握すること。それが出発点です。勤務医時代に徹底して教わったのは「口や歯を見る前に、その人を見る」ということでした。どんな方なのか、今日はどんな状態なのか、何を思って来られたのか。症例検討でも「患者さんは何と言っているの?」から始まる環境で育ちましたので、その姿勢は今の自分の土台になっています。また、前院長でもある父の姿は、どんな場面でも私の手本となっています。父は患者さんとの距離がとても近く、長年かけて築いてきた信頼関係を間近で見ていると、自分もいずれそうなりたいと思います。10年、20年とお付き合いを重ねながら、同じような関係を少しずつ築いていきたいですね。

口腔機能を守り、地域の健康に寄り添いたい

通院が難しい方への対応はどのようにされていますか?

坪井寿典院長 坪井歯科医院5

通院が難しい方にこそ歯科治療を届けたいという思いがあり、訪問診療に力を入れています。この地域では訪問診療を積極的に行う歯科医師がまだまだ少ないのが現状で、だからこそ自分が取り組む意義があると感じています。また、障害者歯科センターに携わる中で、配慮が必要な方は増えていると実感しており、その方々の歯科的なケアを誰が担っていくのかというのは社会的にも大きな課題です。訪問診療では、患者さんご本人だけでなく施設のスタッフやご家族との関わりも重要ですし、特別な配慮が必要な方には病態に応じた知識と技術が求められます。どの場面にも共通するのは、治療するのは私たちではなく患者さんご自身だということ。一方的な治療ではなく、理解と協力を得ながら一緒に取り組んでいきたいですね。

これまでのご経験を踏まえて、今後力を入れていきたいことを教えてください。

口腔機能低下症の予防に特に力を入れていきたいと考えています。虫歯や歯周病の予防はもちろん大切ですが、それだけではなくお口の機能そのものを衰えさせないことが健康寿命を延ばすことにつながります。摂食嚥下リハビリテーションに携わってきた経験が、この取り組みに直結していると感じています。お子さんの分野でも口腔機能発達不全症が注目されていて、発達の段階できちんと機能を育てないと歯並びや姿勢にまで影響が出ることがわかってきました。口腔機能の低下はちょっとした変化から始まり、年単位で見ると健康上のリスクが大きく高まるというデータもあります。些細なことでも気になったら、まず歯科に相談していただけるとうれしいです。

最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いいたします。

坪井寿典院長 坪井歯科医院6

生まれた時から亡くなるまで、皆さんのことを支えていけるような歯科医院でありたい。それが一番の願いです。何も悪いところがなくても、お口を大事にすることが体全体の健康につながるのは間違いありません。何かに特化しているわけではありませんが、大学病院での高度医療から訪問診療の現場まで、さまざまな場で積んできた経験を生かして、地域の方が困ったときに幅広くお応えできる存在をめざしています。小児歯科に強い地域の先生と連携してご紹介する体制も整えていますので、まずは気軽にご相談いただければと思います。ちょっとした変化でも構いません。これまでの経験を少しでも皆さんのお役に立てるよう、日々の診療に取り組んでまいります。

自由診療費用の目安

自由診療とは

インプラント治療/45万円~