中野 雅也 院長の独自取材記事
中野歯科医院
(桑名市/桑名駅)
最終更新日:2021/10/12
近鉄桑名駅から東へまっすぐ徒歩10分ほど、きれいなビル1階に「中野歯科医院」はある。中野雅也院長は、地域のニーズに合わせ幅広い分野の診療を行っているが、その礎となっているのは、初代院長の祖父、2代目の父、そして勤務医時代に出会った恩師たちからの学びである。「基本に忠実に」という教えを守り、安全で的確、かつ痛みの少ない治療を心がける。予防にも力を入れており、「子どもの頃から定期的に歯科医院に通うことを習慣づければ、将来にわたって歯を守ることにつながります」と語る。「あまりしゃべるほうではないので」と言いつつ、一つ一つ質問に丁寧に答えてくれた中野院長。恩師に学んだことや普段の心がけ、展望などについて語ってもらった。
(取材日2019年5月29日)
良き師と出会い、学びを得て院長に就任
たいへん歴史のあるクリニックだとお聞きしました。
当院は1940年代に祖父が開業したと聞いています。後を継いだ父が数十年前に現在の建物に建て替え、2006年、私が副院長になった年に内装を一新しました。私は2016年に院長に就任。父は70代ですが、今も毎日、昔からの患者さんを診ています。当院の前の道は八間通りといって、桑名駅から続く昔からのいわばメインストリート。私が子どもの頃は、アーケードがあって商店街がにぎわっていました。すぐ東側にも古くからの寺町商店街があります。学校から帰ってくると、祖父や父が診療していて、私は、若い歯科技工士さんにプラモデルを作って遊んでもらうこともありました。まだ歯科医院は少なく、患者さんは朝6時から並んでいたそうです。駐車場では犬を飼っていて、院内には演歌が流れ、おおらかな時代でした。祖父は十数年前に亡くなりましたが、80歳過ぎても現役を貫きました。
先生がこちらに戻られるまでのことについてお聞かせください。
大学卒業後、すばらしい治療をされている先生方の歯科医院に勤務したことが、今の診療に非常に生きていると思います。最初に勤務したところは大阪の本多歯科医院で、本多正明先生は全国的なスタディグループの創設に携わった方です。父が大学の野球部で後輩だったということでお世話になり、セラミック治療を中心とした補綴の精密な治療をじかに見せていただきました。「基本に忠実であれ」という精神的なことも教わりましたね。同院にはインプラント治療や口腔外科を学んでいる先輩の先生方もいらして、総合的な勉強ができました。
その後に勤務された歯科医院でも、良き先生に出会われたのだとか。
はい、本多歯科医院の紹介で兵庫県のウカイ歯科クリニックに勤務しました。鵜飼誠先生は、当時開業されて2~3年でしたので、特にホスピタリティーや、痛みの少ない治療の実践に腐心されていて、技術以外の面でも多くのことを学ばせていただきました。その後三重県に戻り、津市の佐藤歯科医院へ。佐藤理先生とは歯科医師会の野球部でご一緒させていただいたご縁です。三重県内で非常に患者さんの多い医院で、大阪しか知らない私にとって、当院に帰ってくる前に三重県のそうした歯科医院で診療できたというのはたいへん貴重なことでした。今思うと、良い流れで、良い先生方に学べたことにとても感謝しています。
痛みを少なく、心地良く過ごせる場をめざす
先生も恩師の方と同じく、痛みの少ない治療を心がけておられるのでしょうか?
そうですね。というのも、実は私は子どもの頃に治療を受けた経験が結構あるんです。歯科医師には意外とそういう人が多いですよ。一番痛かったのは、麻酔なしで乳歯を父に抜かれた時。自分の子だからということもあったのでしょうが、大泣きしましたね。昔は、炎症を起こしていてもさっさと治療するというやり方が一般的だったので、痛かったという記憶のある人も多いと思いますが、今はある程度炎症を抑えて“休憩”してから治療するので痛みも少ないと思います。歯石取りも手でガリガリ取るのではなく超音波を使います。麻酔をする際は、電動麻酔器もあるのですが、手で行う場合は髪の毛と同程度の細さの針を使い、刺し方や唇の引っ張り方も、恩師に教えていただいたように配慮しています。
設備によっても違いがあるのですね。
はい。医療機器で新しいものが出れば、当院に適したものを選んで、良いものはできるだけ取り入れるようにしています。新しいもののほうがやはり患者さんの負担が少ないと思うからです。まだまだ歯科医院には行きたくないという人が多いので、痛みの軽減の他、少しでも居心地良く過ごしていただけるように、チェアも順次、新しいものに取り換えていっています。現在、5室あるうちの3室が完全個室なのですが、プライバシーを守り、静かな環境でお話しすることができます。また、安心して治療を受けていただけるように器具の滅菌は徹底して行っています。
治療においてこだわっていることはありますか?
技術力の高い先生方が治療された良いものばかりを見てきましたので、自分でもそのように作りたい、という思いがあります。実際には歯科技工士さんにお願いするのですが、その最終的な調整をどこまできちんと行うか、それ以前にどれだけ的確な診断をするか、いかに精密に歯を削るかということに気をつけています。補綴を専門とされている本多先生の削り方はものすごくきれいなんですよ。セラミックを使う自費診療の患者さんが多かったのですが、形成後は表面がとても滑らかで、まるで参考模型のよう。当院は保険診療の方がメインですが、先生から学んできたことを生かし、精度の高い治療を行うことをめざしています。高い専門性が求められる分野については、矯正治療は専門の歯科医師に月1回来てもらっており、口腔外科、小児歯科の難しい症例については専門の医療機関に紹介しています。
予防にも注力し、新しい知識を地域に還元
インプラント治療もされているそうですが、どんなことを大切にされていますか?
インプラント治療で心がけているのは、安全に、迅速に、きれいに、ということです。安全のためには、検査、歯科用CTの撮影、診断などすべての手順をしっかり丁寧に行うことが重要です。加えて、歯科医師の経験も必要で、私は勤務先でベテランの先生のアシストを数多くさせていただいたおかげで経験を積むことができました。父にも母にも、私がインプラントを入れています。特に母は入れ歯でしたので喜んでくれています。ただ、骨量の少ない方への増骨の治療はそれが得意なクリニックに依頼し、インプラント埋入手術は当院で行う、というやり方にしています。すべて自分で抱え込むのではなく、得意な先生に任せたほうが患者さんも私も安心です。
地域の方へメッセージをいただけますか?
当院には地元の友人も来てくれるのですが、同級生でも口の中がボロボロな状態の人もいます。定期検診や予防が重要だと伝えているのですが、働き盛りで忙しく、日本に予防の習慣が根づいていないことも原因でしょう。診療していると正直、「もっと早く来ていればこんなに治療しなくて済んだのに」ともったいなく感じることが多々あります。当たり前ですが、予防をして治療が必要な状態にならなければ痛みもないわけです。予防については、山形県の歯科医院へ歯科衛生士と一緒に見学に行ったこともあり、力を入れていきたい分野ですね。当院では検査結果を数値化し、口腔内カメラも用いて、患者さんに目で見て理解しやすいようにしていますので、ぜひご自身のお口の中の現状を把握し、予防に興味を持っていただければと思います。
今後についてお考えをお聞かせください。
今も有志で勉強会をしており、三重県の歯科医師会で本多先先生の講習会を企画、開催したこともあります。これからも新しい知識、技術を吸収し、地域の皆さんに還元していきたいですね。また、予防の大切さについても啓発を続けていきたいです。小さい頃から3ヵ月に1回、歯科医院に行く習慣をつけることが、将来歯周病や虫歯で歯を失うことを防ぐことにつながると思います。当院の予防歯科は歯科衛生士が担当制でコミュニケーションを取りながら行っていますので、どなたでも来ていただきやすい雰囲気です。今後、私の小学生の子どもたちが4代目となるかどうかはわかりませんが、祖父と父が築いてきた地域の皆さんとの信頼関係を裏切ることのないよう、できる限り努めていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万~37万円、ワイヤー矯正/80万円~、マウスピース型の装置を用いた矯正/120万円~、小児矯正/10万円~ ※すべて税別 ※詳しくは医療機関にお問い合わせください
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。