矢谷 真也 院長の独自取材記事
SPT 矢谷歯科口腔医院
(伊賀市/茅町駅)
最終更新日:2026/10/30
茅町駅から徒歩5分。温かみのあるれんが調の外壁が印象的な「SPT 矢谷歯科口腔医院」は、1943年に開業して以来、3代にわたって80年以上この地で診療を続けてきた。2025年1月、矢谷真也院長が3代目として受け継ぎ、新たな院名のもと再出発を果たした。大学院で口腔外科学を専攻し博士号を取得した矢谷院長は、難しいとされる親知らずの抜歯にも対応しながら、一般歯科から矯正、インプラント治療まで幅広く手がける。「困っている人がいたら気軽に来てほしい」と穏やかに語る姿からは、先代譲りの誠実さと3代目としての覚悟がにじむ。継承の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年8月17日)
地域に根差して80年超、3代目が描く新たな未来
まずはクリニックのこれまでの歩みについてお聞かせください。

当院は1943年に祖父が「矢谷歯科医院」として開業したのが始まりです。その後、父の矢谷憲一郎が2代目院長に就任し、2025年1月に私が3代目の院長を引き継ぎました。同時に父は名誉院長に就任し、今も一緒に診療にあたっています。継承を機に院名を「SPT 矢谷歯科口腔医院」に改めました。開業以来同じ場所で診療を続けていて、祖父の代から3世代にわたって通ってくださっている患者さんもいらっしゃいます。父を慕って来てくださる方は引き続き父が担当し、私は新しく来てくださる方を中心に診ています。院長就任後は若い世代にも来ていただけるようになり、老若男女幅広い年代の方が通ってくださっています。
継承を機に新たに掲げた院名には、どのような思いが込められていますか。
SPTのSはSmile(笑顔)、PはPartnership(協力)、TはThanks(感謝)の頭文字です。当初はSurgical(外科)やperiodontal(歯周)、temporomandibular jointつまりTMJ(顎関節)のように、自分の治療分野の頭文字にしようかとも考えました。ただ、それよりも笑顔や感謝といった言葉のほうが、皆さんに伝わりやすいのではないかと思ったのです。SPTという響きは歯科の予防処置を指す専門用語と重なりますが、根底にあるのは当院に関わるすべての人を「支えたい」という思いです。新たに掲げた理念は「私たちは、お口の健康を通じて、あなたと共に、生き生きとした喜びと活力に満ちた未来を創り続けます」というもの。患者さんだけでなくスタッフも、せっかく生きているなら楽しく元気に過ごしたい。それを当院全体で実現できたらと考えています。
先生ご自身が口腔外科の道に進まれたきっかけや背景を教えてください。

この地域にはかつて口腔外科の専門機関がほとんどなく、大学病院で親知らずを抜くとなると車で1時間以上かけて通わなければなりませんでした。患者さんにそのような負担をかけなくても済むように、自分が地元で対応できるようになりたい。その思いが口腔外科を志した原点です。同じく口腔外科を専門とする父の影響も大きかったですね。大阪歯科大学卒業後、大学院で口腔外科学を専攻し博士号を取得。大学病院や他の歯科医院での研鑽を経て地元に戻り、3代目を引き継ぎました。「困ったことがあったら、ここにおいで」と気軽に声をかけてあげられる存在でありたい。地元で必要とされる治療を身近な場所で届けたいという思いが、私の診療の根底にあります。
口腔外科の専門性を身近に、治療を予防の入り口に
実際に、どのような悩みや相談を持って来院される方が多いのでしょうか。

親知らずの抜歯に関するご相談が多く、中には過去に対応が難しいと言われた方からの問い合わせもいただきます。伊賀市は奈良や京都、滋賀とも県境を接する土地柄で、県外から来てくださる方も少なくありません。ホームページを見て電車で2時間ほどかけて来てくださった方もいらっしゃいました。親知らずの抜歯は基本的に1回で完了することが多いので、遠方の方にとっても通いやすい面があるのかもしれません。当院は口腔外科だけではなく、一般歯科や小児歯科、矯正歯科、予防歯科、審美歯科、インプラント治療にも対応しています。お口のことなら幅広く診られる歯科医院でありたいと思っています。
そうした症例に対応するために、設備面ではどのような特徴がありますか。
当院では、特徴の異なる複数の歯科用レーザーを導入し、症例に応じて使い分けています。レーザーごとに得意とする処置が異なるため、患者さんの状態に合わせてより適した治療を選択できることが特徴です。例えば歯周病の治療では、Er:YAGレーザーを用いて不良肉芽や歯石の除去を行っています。組織への負担に配慮しながら処置を進められるため、患者さんの負担軽減や術後の回復にも配慮した治療につながっています。また、症例に応じて外科的な処置にも活用しています。さらに、歯科用CTによる画像診断を行い、さまざまな症例に院内で対応できる体制を整えています。加えて、大学院時代に携わった研究で培った知見を生かしながら、新しい知識や技術を積極的に取り入れ、患者さん一人ひとりに適した治療の提供に努めています。
診療において、先生が独自に取り組んでいることがあれば教えてください。

当院では親知らずの抜歯の前に、まずお口全体のクリーニングを行うようにしています。理由の一つは術後の感染を防ぐためですが、もう一つの理由は、患者さんに歯の衛生管理やメンテナンスの大切さを実感していただくためです。抜歯だけが目的の方は、治療後にそのまま足が遠のいてしまうこともあります。だからこそ、クリーニングをきっかけにお口の健康について少しでも考えてもらえたらという思いで取り組んでいます。お口の状態が気になる方には、こちらからお声かけするようにしています。説明の際は似た症例の写真をお見せし、治療の流れをイメージしやすくする工夫もしています。ホームページでの症例報告やコラムの発信を続けているのも、困っている方に正しい情報を届けたいという気持ちからです。
先代の誠実さを受け継ぎ、皆が幸せになれる歯科医院へ
名誉院長であるお父さまから受け継いだ、大切にしている考え方を教えてください。

父から一番大切に受け継いだのは、患者さんのために時間を惜しまず、一人ひとりに真摯に向き合う姿勢です。父は遅い時間に患者さんから連絡があっても診てあげるような、実直で誠実なところがあって、その姿勢はやはり見習いたいと思っています。また、父の代から大切にしてきた想いに加え、私は「三方ともに幸せに」という考え方を診療の軸にしています。患者さんだけでなく、私を含めて働くスタッフも幸せでなければいけない。そう思っています。患者さんとの関係でいえば、院内では「さま」ではなく「さん」とお呼びするようにしています。過剰に敬うのではなく、対等なパートナーとして寄り添いたい。そうした距離感を大切にしながら、一人ひとりと向き合っています。
全体の環境づくりで、力を入れていることはありますか。
スタッフとその家族の生活まで背負っているという気持ちがありますので、いい加減なことはできないと自分に言い聞かせています。父の代から長年働いてくれているスタッフもたくさんいますし、その方々への感謝の気持ちを忘れないようにしています。今取り組んでいるのは整理整頓の徹底です。院内をすっきりさせることで動線を改善し、スタッフが無駄な動きなく働けるようにしたいと考えています。そうした積み重ねが働きやすさにつながると思っています。さらに将来的には、移転やリニューアルも視野に入れています。患者さんの通いやすさとスタッフの働きやすさをもっと高められるような環境をつくりたい。現状に満足せず、より良い歯科医院をめざして前に進んでいきたいですね。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

日々の診療で感じるのは、もう少し早く来ていただけたらという思いです。歯が痛くなってから受診される方は、神経を抜かなければならない段階まで進んでいることが少なくありません。症状がないうちから予防やメンテナンスとして定期的に受診していただくことが、お口の健康を長く守ることにつながります。当院でも定期的なクリーニングやメンテナンスを行っていますので、治療目的でなくても気軽に受診していただけたらうれしいです。親知らずのことが気になっている方も、一度ご相談いただければと思います。地域の方にも遠方の方にも頼られる存在でありたい。お口の健康を通じて、皆さんが生き生きとした毎日を送れるよう、これからもお力になれたらと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/70万円~、セラミックを用いた補綴治療/5万円~、インプラント治療/45万円~

