山根 典子 院長の独自取材記事
山根歯科医院
(三重郡菰野町/菰野駅)
最終更新日:2025/04/01

近鉄湯の山線・菰野駅から徒歩8分ほど、昔ながらの商店街で約80年続く「山根歯科医院」。山根隆先生の父がこの地で開業し、現在は院長の山根典子先生と妹の山根尚子先生と親子3人で地域に根差した医療を提供している。2019年に隣地でリニューアルオープンした新しい建物の外観は、黒とグレーを基調とした落ち着きのある雰囲気。院内はすべてバリアフリーになっており、子どもが母親と一緒に入れる個室も2つ備えている。小児歯科が専門の典子院長は、勉強会や講座に参加して学び、食事や生活習慣が小児の口腔育成に与える影響などの情報を、小さい子を持つ親に伝えている。和やかな笑顔で受け答えする典子院長に、同院のコンセプトや力を入れている治療について幅広く聞いた。
(取材日2021年3月25日)
戦前から約80年続く、歴史ある歯科医院
歯科医師をめざされたきっかけをお聞かせください。

歯科医師である祖父と父に影響を受けたのがきっかけです。歯科医院が住まいと一緒になっており、自由に行くことができたので、祖父が仕事をしているところをよく見に行っていました。祖父が患者さんから慕われ、楽しそうに診療をしている姿を診て、将来は自分も歯科医師かなと思うようになりました。少しほかの職業のことを考えたこともありましたが、大学も歯学部に進み、6年間勉強したら、やはり歯科医師の仕事がいいなと思いましたね。あと、私は小学生の頃に歯を矯正していて、父の働く大学病院に通っていたのですが、その時父が歯周病科の診療室や医局にいるのを見て、かっこいいなと思ったんですよ。父と祖父を見ていなければ、歯科医師になることもなかったでしょうね。
歯科医院を継承されて力を入れていきたいことはありますか。
そうですね。今は父を含めて3人体制で診療をしていますが、いずれは私と妹の2人で患者さんを診ていく予定です。父が引退した後にどうなるのかという不安も多少ありますが、長年通っていただいている患者さんもたくさんいらっしゃるので、期待に応えられるように努力していきたいと思っています。これからは時代に合った先進の医療も取り入れつつ、予防歯科を大切にするというところは守っていきたいですね。リニューアルしてからは、若い年齢層の患者さんが増え、口内環境を維持する予防歯科のニーズも増えてきたので、そちらにも応えていきたいと思っています。
こちらの建物はリニューアルされたそうですね。

2年前まで隣にある2階建ての建物を歯科医院として使っていたのですが、2019年2月にこの建物を建て移転しました。以前は2階にあったので、高齢の患者さんの中には階段が登れなくて別の歯科医院に通っていた方もおられたんですが、平屋のバリアフリーにしたので戻ってきてくれました(笑)。チェアは6台あり、そのうち2つが個室になっています。個室はお子さんがみえた時に親御さんも一緒に入ってもらえるファミリールームとしても使っています。小さいお子さんだと、親御さんの顔が見えたほうが不安が和らぐと思います。ほかにもプライバシーの面で個室を希望される方がいらっしゃるので、そういった場合にも個室が2つあると便利です。ただ、この地域の土地柄、患者さん同士が皆さん顔見知りで、前の建物はパーティションがなかったこともあって、待合室でも診療室でもよくお話しされていたんです。父はその風景がとても好きだったみたいですけどね。
地域密着で、“また来たくなる歯科医院”をめざす
この歯科医院のコンセプトというと何でしょうか?

地元密着型で、歯科医師と患者さんの距離が近く、コミュニケーションをしっかり取ることを大切にしています。歯科医院というと、やはり怖いというイメージがあると思いますが、それを払拭できるような、アットホームで“また来たくなる歯科医院”をめざしています。特に私の専門が小児歯科なので、お子さんにも気楽に来てもらえるように、キッズルームもつくりました。新型コロナウイルスが流行してからは感染のリスクを減らすためにいろいろ撤去してしまっていますが、以前はアニメなども見られるようにVTRを流したり、おもちゃを置いたりして、待ち時間に、お子さんが退屈しないようにしていたんです。
患者さんと接する際に大切にしていることはどんなことでしょうか。
私は卒業後、研修医として小児歯科講座の医局に在籍していましたので、お子さんの担当をすることが多いのですが、とにかく恐怖心を与えないようにしています。お子さんは歯科医院が怖くなると、行きたくなくなってしまうので、なるべく抑制をしないようにしています。チェアに1人で座れない子はまずはお母さんと一緒にチェアに座るトレーニングから始めます。焦らず段階を踏んで治療を行っています。また、お子さんの口腔環境の成長をサポートできたらいいなという想いから、小児歯科の勉強会などに参加して、学んだ内容をお母さんたちにも伝えています。最近はお子さんの歯並びを気にする方が増えてきたので、当院は矯正は行っていませんが、自然に良い歯並びに導けるよう、食事や生活習慣のお話をしています。
予防歯科に注力していらっしゃるそうですね。

ずっとご自身の歯で噛めるよう、予防歯科で良い状態を維持できるようにサポートしています。8020運動という言葉をよく耳にしますが、現在は80歳で歯が20本残っている方は多くいらっしゃいます。しかしまだまだ大人の方でも歯が痛くなってから歯科医院に来る方がいらっしゃいますので、予防歯科の大切さを伝えていきたいです。訪問歯科診療で高齢者、身障者施設を回っているのですが、食べることが一番の楽しみという方も多いので、おいしいものを自分の歯で食べ続けてほしいです。当院では、初診の患者さんにはお口全体のパノラマ写真撮影と状態を把握するための検査を行います。患者さんにもわかりやすく説明し、ご自身のお口の状態を把握した上で、1ヵ月から3ヵ月に1回程度の頻度で定期検診に来てもらうようご案内しています。予防歯科はセルフケアもとても大切なので、歯科衛生士が患者さんに適した予防処置、ブラッシングの指導を行っています。
高齢者施設などを中心に、居宅への訪問歯科診療も
訪問歯科診療はどのくらいの頻度で行っていらっしゃるのでしょうか。

訪問歯科診療は私が担当しており、施設が中心ですが、通院が難しくなった患者さんの居宅にお伺いさせていただくこともあります。固定となっている施設には、診療時間に行っていますが、そのほかは患者さんやご家族の希望もありますので、休みの日の昼間や診療後に行くことが多いです。
こちらではどんな治療や検査ができますか?
虫歯治療や歯周病検査はもちろん、患者さんにご自身の口腔内の状態を理解してもらえるよう口腔内カメラも導入しています。今後は、さらにお口の環境をわかりやすくするために唾液の検査も行っていこうと考えています。それと、当院ではCAD/CAMシステムを用いた白いかぶせ物治療を保険適用内で行っています。保険適用内だと型採りする必要があるのですが、歯科技工士もおりますので、微妙な修正も院内で完結します。患者さんも希望される方は多いですよ。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は長年、地元密着の歯科医院として続いていますので、親子3世代で通っていただいている方もいます。なので、私よりも当院のことを知っていて、祖父や父のことを話してくださる患者さんもいる温かい雰囲気の歯科医院です。今後はさらに予防歯科に注力し、患者さんがご自身のお口の中の状況を理解しやすくなるような検査を導入し、健康な口腔環境をつくるにはどのようにケアをしていったらよいか、詳しく丁寧にお伝えしていく予定です。これからもアットホームで、“また来たくなるような歯科医院”をめざしていきますので、ぜひお口のご相談にお越しいただければと思います。