森川 富夫 院長、森川 亜耶 副院長の独自取材記事
バンビ歯科
(横浜市青葉区/あざみ野駅)
最終更新日:2024/07/05
1982年に開業した「バンビ歯科」があるのは横浜市青葉区。美しい街並みが印象的なすすき野で、同院は長年地域住民の口腔の健康を守り続けている。ユーモアを交えながら優しい京都弁で話す森川富夫院長と、穏やかで落ち着いた雰囲気が魅力的な森川亜耶副院長は実の親子。2人の人柄に惹かれて、同院には小さな子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が訪れる。待合室には同院を象徴する小鹿のぬいぐるみが患者を出迎え、華やかなキッズルームにはさまざまなおもちゃが並び、子どもたちを喜ばせている。広々とした診察室も居心地が良い。同院では、通院が難しくなった高齢者のため往診にも対応。2021年から亜耶副院長が常勤となり、世代交代の過渡期を迎えているという同院で、2人の診療への思いや今後の展望について話を聞いた。
(取材日2024年6月3日)
地域に根差し、幅広い患者に対応する歯科医院
開業されたのは1982年と伺っています。
【富夫院長】当時のすすき野は造成地が多く、これから開けていく地域でした。団地もありましたから子どもの数が圧倒的に多く、親しみやすいクリニック名も功を奏して、開業当初からたくさんの子どもたちが来院してくれました。このクリニック名は、昔、僕が妻と交際中だったとき、妻の姉たちが僕につけたあだ名が由来です。当時は僕も切れ長の目をしていましてね、そう呼ばれていました(笑)。それで小鹿の「シカ」と「歯科」をかけて、「バンビ歯科」にしました。患者さんの年齢層はとても幅広く、親子3代で通ってくださる家族もいらっしゃいます。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?
【亜耶副院長】この地域には歯に対する意識が高い方が多く、当院はもともとメンテナンスを中心に診療させていただいています。新型コロナウイルス感染症の流行時には一時的に足が遠のいた患者さんもいらっしゃいましたが、それは歯科医院が怖いというよりも「症状がないのに行ってもいいのか」と遠慮されてのことだったようです。空気清浄機やスリッパ除菌などの機器を導入し、感染症対策には引き続き取り組んでいます。父が町の新聞のコラムを書いていることから、その記事を読んで来院されるケースやインターネットで「女性歯科医師」「キッズルーム」などのワードで検索し、お子さんを連れて来られる方も多いですね。当院の診療時間上、働いている方の来院は難しいですが、リモートワークの合間を縫って来院される方も増えてきた印象です。
キッズルームで子どもを預けられるのは助かりますね。
【亜耶副院長】キッズルームは好評をいただいています。子どもがキッズルームで遊んでいる間に親が治療を受ける、という流れが多いのですが、子どもが小さいうちに歯科クリニックの雰囲気に慣れさせておくというのは、実は結構大切なんです。来院への心理的なハードルを低くすることで、自然な流れで口腔チェックに移ることができます。患者さんの中には、キッズルームで何度も遊んだことはあるけど受診するのは今日が初めて、という方も珍しくありません。ぜひとも、キッズルームを活用してください。
新しい技術を積極的に取り入れ、患者のニーズに応える
お子さんの場合、どのような主訴が多いのですか?
【亜耶副院長】これは地域性だと思いますが、虫歯の子はあまりいないですね。お母さん方の意識が高く、メンテナンスをしっかりとしていらっしゃるからだと思います。つい最近も幼稚園の歯科検診に行きましたが、虫歯のある子はクラスで1人いるかいないかでした。矯正は専門の先生を紹介させていただいていますが、幼稚園から小学校低学年までの矯正に至る前段階のお子さんには、私が小さい頃父から教えられてきた割り箸を噛んだり、スルメなど固い物を食べたりする習慣をお伝えしています。歯の大きさはある程度年齢で決まってしまうので、噛むことで顎の発達を促し歯が並ぶスペースの確保につなげるということです。
親子で診療なさるのは、どのような感じなのでしょう?
【富夫院長】2021年の4月から亜耶副院長に常勤で勤務してもらっています。それまでの10年間は他の歯科医院でも研鑽を積みながら、週に3~4回診療してもらっていました。常勤になってからは、院内の主軸が娘に移行し、一気に流れが変わりましたね。治療をシェアすることもありますが、僕が彼女から指示を受けることが多くなりましたし、彼女が勝手に申し込んだ勉強会に行かされることもあります(笑)。
【亜耶副院長】周囲では親子で一緒に診療していると衝突するという話も聞きますが、ありがたいことに、うちではそういうことはありません。技術面に関しては、新しい材料や方法を取り入れてどんどん変えていますが、それに対して父はとても柔軟に対応してくれます。それが衝突しない理由だと思いますね。父の患者さんへの接し方や細かい配慮はとても勉強になります。
こちらでは往診もされているそうですね。
【富夫院長】これまで通院してくれていた患者さんが70歳、80歳となって、そろそろ通うのが難しいかなと思われたときに、往診があるとわかれば安心感が生まれますよね。当院まで来ていただければ昇降機もあり、院内までお通しすることができますし、それが難しければ往診というように患者さんの選択肢を増やすことができればと考えていました。ですから、ご希望があればお断りすることなくお受けしていくつもりです。
【亜耶副院長】施設への訪問診療は、新型コロナウイルス感染症の流行中も行っていました。この辺りは車社会なので、まだまだ元気で通えるけれども、運転免許証を返納して来られなくなったという方の個人宅へも行かせていただいています。訪問診療の中心はメンテナンスになりますが、一通りの治療はできます。入れ歯が合わなくなったなど義歯のお悩みが多いですね。
家族背景を踏まえ、一人ひとりに合った診療を提供
お二人が歯科医師を志したきっかけについてお聞かせください。
【富夫院長】「歯科医師は全身の健康には欠かせない存在、人の役に立つことに変わりはない」と考え、友人から勧められた東京医科歯科大学に進学しました。入学後、東京大学の学生や夜間大学生、さまざまな価値観の学生たちと一緒に下宿生活を続けていくうちに、明確に「歯科医師になりたい」という気持ちになりました。背中を押してくれた当時の下宿メンバーには今でも感謝しています。
【亜耶副院長】歯科医師に限らず医療関係の仕事に興味があり、看護師や理学療法士などの道も考えていました。両親から歯科医師を勧められたことはなく、やりたいことをやればいいと言ってくれていました。この仕事はやはり楽しいですし、父がよく言っているように、誇りと責任感がある仕事だと思います。患者さんから直接お礼を言っていただけて、感謝してもらえるというのは他の業種ではなかなかないことだと思っています。
スタッフのチームワークが良いそうですね。
【亜耶副院長】皆さん、長く勤めてくださっていて、全員が在籍10年以上になります。患者さんとコミュニケーションを取ってくれるので、とても頼りになりますね。お口の中の状態は実際に診てみないとわかりませんが、その前の情報が受付や最初に話すスタッフから入ってきますから、スタッフ全員がチームで診療に取り組んでいます。
【富夫院長】歯科医院が苦手な人もいらっしゃいますが、電話で予約を取る時の応対、来院した時の受付での声かけ、診察室での歯科衛生士の気配り、それらによって患者さんの不安な気持ちがずいぶん楽になっていると思います。
最後に、今後の展望をお願いします。
【富夫院長】歯の治療においてはこちらが専門家ですが、職種が違うだけで歯科医師と患者さんは平等です。その姿勢を守りながら、少しずつ彼女に当院を引き継いでいってもらいたいですね。彼女には僕以上の素質と意気込みがあると思います。いずれは彼女に当院の継承を考えてはいますが、継承したからといってすぐに引退するつもりはありません。自分の手が動く限り、そして患者さんから「ありがとう」と言ってもらえる限りは、診療を続けたいと思っています。
【亜耶副院長】2019年頃から始めたマウスピース型装置を用いた部分矯正の症例も増え、自分自身の勉強にも取り組んできました。当院が大事にしているのは、患者さんの家族背景を踏まえ、その方に合った治療をさせていただくことです。これからもその理念を忘れず、ここで長く続けていきたいと思います。また、医療は日進月歩ですから、時代に合わせた知識や技術も取り入れていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型の装置を用いた矯正(矯正期間により変動あり)/16万5000円~、ホワイトニング/2万2000円~、セラミックを用いた補綴/6万6000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。