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丹羽 和賀美 院長の独自取材記事

和みのクリニック

(横浜市青葉区/あざみ野駅)

最終更新日:2019/08/28

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あざみ野駅から徒歩5分。ピンクやクリーム色のバラが咲き誇るエレガントなフレンチジョージアン様式の建物がひときわ目を引く「和みのクリニック」。院内は丹羽和賀美(にわ・わかみ)院長が自ら選んだというセンスの光るインテリアで、まるですてきな友人宅に遊びに来たかのよう。その名のとおり訪れる者の気持ちをほっこりと和ませてくれる。患者同士の目線が合うことのない窓から外を見渡す造りの待合室など、随所に見られるきめ細かな配慮は診療においても同様で、丹羽院長は「人と人の間の空気」を大切にした医療を提供。運動療法としてヨガを組み合わせた自律訓練法も推奨している。診療の合間を縫って世界中を旅するというパワフルな丹羽院長。診療にかける思いや人生哲学について語ってくれた。
(再取材日2014年6月5日)

ヨガを組み合わせた自律訓練法に注目

ヨガと精神医療の関係に注目されているとお伺いしました。

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5年ほど前から、ヨガを組み合わせた自律訓練法に注目しています。もともとは私自身の健康のためにと始めたのですが、実際にやってみると精神医療に通じる大きな発見があり、これはぜひ運動療法の一環として導入したいと考えたんです。近年、精神医療では何かあるとすぐに薬を出すことが多いのですが、私はそれに疑問を感じていました。もちろん、どうしても薬を使わなくてはいけない患者さんには使用しますが、薬を飲んだという安心感のほうが大きい場合や、まずは休養や環境変化から入ったほうが良い場合があるのです。そこで、薬や精神療法以外の方法で対応できればと、ヨガを組み合わせた自律訓練法に興味をもつようになったのです。

具体的にどのような方に自律訓練法を行うのでしょうか。

人間には自分で動かせる神経(随意神経)と自分では動かせない神経(不随意神経)があり、例えばパニック障害や不安神経症の患者さんの場合、始めは「原因が思いあたらない」とおっしゃっていても、お話を伺っているうちに「そういえば過去にこんなことが……」と思い出されるケースがよくあります。つまり、これらの症状は無意識の葛藤のようなものが随意神経を動かして起きていることが多いんですね。体の不調で検査をしても何も異常がないからと心療内科の受診を勧められた場合などは、まず会話のキャッチボールをしながら少しずつ心を開いてもらうと、このような無意識の葛藤が根っこにあることが徐々にわかってきます。自律訓練法はこのような病態の患者さんに適していると考えています。

自律訓練法を行うことでどのような変化が期待できますか?

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自律訓練法ができるようになると、例えば電車の中で突然パニック発作が起こっても、「これは自分で起こしているのだから自分で解除もできる。大丈夫!」と、ご自身を落ち着かせることができるようになるのが期待できます。そんなときは呼吸、特に吐く息が大切です。「吸う」ことは交感神経が優位になる興奮系、「吐く」ことは副交感神経が優位になる鎮静系。パニック発作が起こると、多くの方は不安のあまり息を口から大きく吸います。過呼吸症候群も胸式呼吸でどんどん口から吸って苦しくなってしまう。でも本当は、吸う前に全部吐き出して肺を空っぽにしてから鼻から吸えば、おなか、胸、背中まで十分に酸素を入れることができる。人間は力を入れることと・息を吸うことは得意ですが、力を抜くこと・息を吐くことは苦手です。鍵となるのは力を抜くことと入れることのメリハリです。人生もそう、パンパンに張っていてはダメ。いかに力を抜くかが肝心なのです。

人と人の間の空気。非言語的コミュニケーションが大切

先生が診療において大事にしていることは何ですか?

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特に精神医療では、人と人の間の空気がとても大事だと私は考えています。人間が持つ他人との間の意識上の距離を「対人距離」といいますが、適度な対人距離は人により異なり、遠い人、近い人、近づいてもらえないと不安な人、逆に近づかれると怖いと感じる人、とさまざまです。私は治療者として、その方にとっての適度な距離がどのくらいかを見極めながら接するよう心がけています。精神医療というのは、きちんと患者さんに“面と向かって”、その患者さんと私との間にある空気を互いに混ぜ合いながら、共感を極めていく非言語的コミュニケーションが大切だと思っています。

患者さんの症状で最近気になるものはありますか?

よく「うつ病が増えた」といわれますけれど、私は増えていないと思います。マスコミも一般の方も、皆さんうつ病を誤解しているのではないでしょうか。そもそも「うつ」の語源はギリシャ語の「メランコリア」で、体中に胆汁酸がたまって動けなくなった状態を意味し、本来のうつ病は、意欲も感情も思考も体も全部止まってしまう状態をいいます。“電池切れ”の状態なので、まずは休んで充電すること、つまり充電器としての薬と十分な休養が必要なんですね。回復に向かってきたら自律訓練法を導入するようにしています。

しかし今、うつ病に対して一般に誤解があるとお考えなんですね。

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そうです。日本では「思いどおりに生きていけないから悔しい」とか「友達との関係がうまくいかない」といった“嘆き”や“嫌だ”という感情までもうつと勘違いしている方が多いようです。そういうものはうつ病とは区別しなければいけません。それを「うつ」という言葉で表現してしまっては、うつの本当の意味を理解できない気がします。最近特に多いと感じる“嘆き”は、文化が豊かになり過ぎたことで欲が増え、その欲が満たされない反動で生じているのではないでしょうか。だから私は、欲を減らすことが生きやすくなるコツだと思っているんです。

人が持つ自己治癒力を伸ばし助けるのが医療の役割

男性と女性では診療方法も異なるのですか?

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男と女は同じホモサピエンスですが、全然違う動物だと私は考えています。脳の中や体の造り、ホルモンも違うし、女は出産・子育てにより種を「縦」につないでいく使命が、男は力を誇示して「横」に競い合う本能があります。こうした違いから、女性と男性それぞれへの対応をおのずと変えていることはあるでしょうね。私は神経内科の医師としてキャリアをスタートさせましたが、専門は精神病理学という哲学に近い分野なので、内科と精神科、両方の視点から診ているからかもしれません。医学には科学的に割り切れる部分と、割り切れない部分があって、医学=科学ではないと思うんです。人と人との間が精神医療には大事で、切っても切り離せない心と体を両側から診ることが必要ではないかと。「男と女」「医学と科学」「心と体」など、“対比”と同時に“融合”が私の実践している医療の特質なのかなと思っています。

お忙しい毎日だと思いますが、先生のリラックス法は?

水泳と、世界中の海でダイビングをすることです。海はいろいろなことを教えてくれるんですよ。地球って海が7割で陸が3割でしょう? だから海の中の生物のほうがはるかに多い。海底に潜るとこれだけ多くの生命体を生んでいる地球は生きている!と感じ、いつも「入らせていただきます」という謙虚な気持ちで海に入っていきます。最近、私は自分のことを日本人でなく“地球人”と称しているんです(笑)。体を動かすことと地球上を巡ること、海に潜ることは私にとって必須で、趣味というより人生の一部だと思っています。

最後に、今後の展望を教えてください。

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人間には自己治癒力というものがあり、その力を伸ばすことも医療では大事なのではないでしょうか。体の病気も、医師が治したのではなく患者さんがもともと持っていた力を発揮したと言うべきであって、心の病についても、自分で治す力を持っている人の助けをする、という発想で診療していかなければと考えています。私は小・中学生の頃クラス中から嫌われ外されて苦しんだ経験から、「いったい人の心ってどうなっているんだろう?」と思い、精神科の医師をめざしたのですが、実際精神科医師になって患者さんを診ているうちに、いつの間にか生きやすくなっていたんですね。ですからこれからも患者さんから学びつつ、世の中に還元していきたい。そして世界中を旅して気づいた言葉にならなさそうなことを言語化し、書き続けていきたいです。

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