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松井 重文 院長の独自取材記事

まつい歯科医院

(大阪市北区/天神橋筋六丁目駅)

最終更新日:2023/03/03

松井重文院長 まつい歯科医院 main

大阪メトロの複数路線が乗り入れる天神橋筋六丁目駅から徒歩2分。にぎやかな天神橋筋商店街からすぐの「まつい歯科医院」を訪ねた。開院からすでに四半世紀以上という歴史ある歯科クリニックで、広くはないがどこか懐かしい雰囲気の院内は、とても居心地が良い。そんな場所で、毎日、歯科治療にいそしむ院長の松井重文先生。気さくで話し好き。何でも根本から追求したくなる性格のため、オリジナルの咬合器も考案してしまうほど、歯科治療が楽しくて仕方がないといった様子。「患者さんのストレスを取ってあげて、私のストレスも患者さんを治療することで取れ、まったくストレスがない」と笑う。そんな松井院長にこだわりの治療方針から咬合器の話まで、じっくりと聞いた。

(取材日2021年10月7日)

何でも根本を知りたいという探究心で治療に励む

ご経歴についてお聞かせください。

松井重文院長 まつい歯科医院1

1986年に岐阜歯科大学(現・朝日大学)を卒業後、北区の大塚歯科で5年間勤務しました。その間に、他の歯科医院でもさまざまな勉強をさせていただいて臨床の経験を積みました。独立して開業したのは1991年です。20代で社会に出て、何もわからないところからのスタートでしたが、30代半ば頃には、現在、専門としている咬合治療に大きく関わる矯正治療の勉強を始めました。診断・治療計画・治療経過と、咬合器の開発を始めたのもこの頃です。当院のあるこの天神橋周辺は、歴史のある魅力的なエリアです。患者さんも老若男女問わず、幅広い層にお越しいただいておりますし、ここに開院できたことをとてもうれしく思っています。

歯科医師を志すきっかけや、この仕事につながったと思われることはありますか?

私の家は医師の家系ではありませんし、就きたい職業についてもあまり考えたことはありませんでしたが、どこの大学を受験しようかと考えたときに、自分の能力を生かせる仕事をしたいとは思っていました。私は昔から、一つのことに興味を持つと、とことん掘り下げる性格でした。例えば歴史の勉強をするときでも、さまざまなことが気になって調べ始めるため、弥生時代からなかなか先に進まないということもありました(笑)。数学は得意で好きでしたが、答えにたどりつく過程に面白さを感じていました。何事でもその根本を知りたい、という探求する精神が今につながっていると思います。

患者さんに対して心がけていることは、どんなことでしょうか。

松井重文院長 まつい歯科医院2

歯科医師として仕事をしている以上、患者さんには生涯自分の歯で過ごしていただきたい。口の中の健康を維持していただきたいと思っていますので、極力歯を残すための治療を心がけています。可能な限り保険の範囲内で治療しますが、治療計画を患者さんとお話しする上で、自由診療のほうがいいとなれば、その方針でのご説明もさせていただきます。どの治療も患者さんとのコミュニケーションを大切に、確認しながら行うのがモットーです。1回の来院で治療できる範囲は大体決まっていますので、最終的に治療が完了できるかどうかは、信頼関係次第だと思います。開業して30年がたちますが、私の考え方は開院当初からほとんど変わっていません。

3次元的に顎と歯の動きを再現するため咬合器を考案

先生の歯の治療についてのお考えを教えてください。

松井重文院長 まつい歯科医院3

歯科医師として、歯をよく知らなければいけないと思えば思うほど、「歯はどう進化してきたのだろうか?」と考え始めました。人がこの地球上に誕生した時から、現在の歯の状態であったわけではないですから、治療する際も、その歯の進化の流れに逆らってはいけない、というのが私の考え方です。そして、歯には「かむ」という役割もあります。漢字で書くと「噛む」「咬む」など、ほかにもたくさんあります。歯の役割や機能も、この漢字の数に匹敵するぐらいある、ということだと思うのです。これらを維持するのも、歯科医師の仕事です。物を噛んで咀嚼して、体にエネルギーを取り込む。熱すぎてすぐに飲み込めない物は、歯で挟んで少し冷めてから噛む。46億年前に地球が生まれた時から、人と一緒に進化を続けてきた大事な物に、仕事として関われることをいつも感謝しながら、治療をさせていただいています。

仕事や治療を進める上で、大事にしていることは何ですか?

当院には歯科衛生士と受付スタッフがいまして、それぞれがきちんと自分の仕事の役割を果たすことを、まず大事にしてもらっています。私が専門とする咬合治療では、歯に機能づけしていくことが大事です。例えばかぶせ物を入れたときに、高いから削って低くしよう、ではないのです。歯は動きますし、顎も適応する。その人の歯が進化する過程の中でどうなっていくのか、とか自分がどんなお手伝いができるのか、など難しい診断と考え方が必要な部分となります。これがもし数学なら、ルールに従って解けば0(ゼロ)という数字になり完成、終了かもしれませんが、歯科には「これが絶対に正しい」という治療もないので、ゼロもありません。と私がぐじゃぐじゃ言って、患者さんは不安になってはいけませんから(笑)、歯科衛生士が説明をわかりやすくしてくれ、帰り間際に受付スタッフが言葉をかけて患者さんを安心させてくれます。これも役割分担の一つです。

オリジナルの咬合器を作られたそうですね。どのようなものでしょうか?

松井重文院長 まつい歯科医院4

咬合器とは、義歯を製作するときなどに使用する道具です。一般的な咬合器と違う大きな点は、顎の動きや今ある歯の動きを、必要な3次元的方向に再現できることです。顎の関節を回転運動と滑走運動に、分けて考えることで生まれました。複雑な顎の動きを、より忠実に再現できるので、患者さんがその場にいなくても3次元的に考えることができるのです。また義歯を作るときには、顎をより適切な位置に決めるのに役立ちます。患者さんの多くは、ご自身の顎が後ろ側に動くことを意識されませんが、治療する側は後ろ側への動きも計算することが必要です。本来の動きを制限せず機能的に動かせるように、また不正咬合を減らすためにも、この咬合器は役立ちます。どういうときに不正咬合が生じるかの検証にも使えますし、治療のゴールを見極めることにもつながります。

食べ物も飲み物も、上手に噛んで食べる習慣を

これからの歯科医療については、どのようにお考えですか?

松井重文院長 まつい歯科医院5

近年、糖尿病と歯周病の因果関係が明らかになってきました。歯周病は治療をきちんと行えば、全身につながる疾患や合併症のリスクを減らせます。医療費全体の出費を低く抑えることも可能だといわれますので、これからの歯科医療はますます重要になると思います。高齢者医療についても、歯科と密接に関係しています。もし寝たきりになってしまうと、唾液の循環が滞りがちになり、口腔内の状態悪化によって、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクもあります。食べることは健康で生活していく上で基本ですから、生涯、機能する歯であるように、お手伝いしていきたいと思っています。私は北区の歯科医師会に所属していますので、その横のつながりも大事にし、地域の方々に貢献していけることが楽しみです。

今後の展望についても伺います。

実は、私の息子も歯科医師になりました。勤務先は別の歯科医院ですが、一生懸命に勉強しているようです。どの歯科医院にも核となる治療方針があり、得意とする治療がありますから、自分の治療方針は逆に言わないようにしています。歯科医師として何が大切かということは、臨床を続けていけば自分で気づくはずだと思っていますから、途中で意見をしたり、私の考えを押しつけるつもりもありません。私は自分にはものすごく頑固ですが、人には優しいのです(笑)。それは息子に対しても同じです。いろいろな道がありますが、どの道を進んでも、歯科医師としてどこかで一緒になる、と思っています。

最後に患者さんに知っておいてほしいことや、メッセージをお願いします。

松井重文院長 まつい歯科医院6

私たちは歯を持つように進化し、生かされています。地球が進化してきた過程の46億年には程遠いですが、私は自分の短い一生をかけて、皆さんの歯を進化させたいと思っています。上手に噛むことから、ぜひ始めてください。最近、学校や飲食店で推奨されている、黙って食事をする「黙食」。これがコツです。唇を閉じて、上下の歯を当てないで、もぐもぐと動かす。飲み物でも同じようにしてから、飲み込んでください。顎を後ろへ滑らせる動かし方の癖が、痛みの原因になっていることも多いのです。健康のためにも毎日、上手に噛んで、歯に感謝をしながら生活していきましょう。

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