セルフケアのみでは防げない?
歯周病は歯科でコントロールを
深野歯科医院
(堺市西区/諏訪ノ森駅)
最終更新日:2023/08/08


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放っておくと歯を失う原因となり得る歯周病。糖尿病のリスクを高めるほか、最近では、アルツハイマー型認知症との関わりもわかってきた。しかし、毎日こまめにブラッシングなどのセルフケアをしても歯石や原因菌を完全に取り除くことは難しく、「自分で見えない部分は歯科でコントロールするのが、一番の近道です」と教えてくれるのは「深野歯科医院」の深野秀明副院長。歯科衛生士が主となる歯周病の処置だが、症状が進んだ場合は歯科医師が歯周外科を担当する。さらに歯科技工士や放射線技師ともタッグを組んで、チームで患者の歯を守ることに努めている同院。「われわれは皆さんのお口のコンシェルジュですから、丸投げしてもらいたい」と話す深野副院長に、歯周病の原因から治療方法、予防についてまで、最近のトピックスを交えて教えてもらった。
(取材日2023年6月22日)
目次
認知症との関わりも指摘される歯周病。セルフケアで原因菌を取り除くことは難しいため、歯科でのケアも大切
- Qよく耳にしますが、歯周病とは具体的にはどんな状態でしょうか?
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A
▲歯周病の治療はセルフケアと歯科でのケアが必要
歯周病とは、厳密には歯肉炎と歯周炎に分けられます。歯肉炎というのは歯茎が腫れる、出血があるという状態で、歯周病の初期の段階です。それが進行すると歯周炎になってしまい、歯を支える骨に影響し、歯が揺れてくる、もしくは移動して歯並びに乱れが生じてくることもあります。では何が原因で歯周病になるのかと言うと、歯周病原菌という菌に感染することで起きる、実はれっきとした感染症なのですね。お口の中には平均的に300〜400種類ぐらいの菌がいるといわれています。多くは常在菌という悪さをしない菌なのですが、中にはレッドコンプレックスと呼ばれる悪玉菌がいて、それらが悪さをすることで静かに歯周病が進行していきます。
- Q歯周病は歯だけでなく、全身に影響するそうですね。
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A
▲歯周病を悪化させる原因は、喫煙や糖尿病などさまざま
一番皆さんに身近なところでは糖尿病との関係でしょう。ここで間違えてほしくないのは、歯周病になったから糖尿病になるわけではありません。歯周病原菌が体内に入り込むことで、糖尿病のリスクが上がるというふうに考えてもらうと、いいと思います。当院では検査などで出血する箇所が極端に多い方には「血糖値は大丈夫ですか?」と尋ねて、内科受診をお勧めするようにしています。最近では認知症と深く関わっていることもわかってきました。認知症の原因と考えられているアミロイドβという物質を歯周病菌が生み出してしまうのです。歯周病を予防、コントロールをすることは、今後認知症発症を抑える一助になる可能性は十分にあると考えます。
- Q歯周病はどのように治療するのでしょうか?
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A
▲歯周病予防が全身の生活習慣病予防にもつながる
まず歯周ポケットの深さを計る検査で歯茎の状態を把握し、歯茎の溝と根面についた歯石をしっかりと取り除いていきます。これがスケーリング・ルートプレーニングと呼ばれる処置で、主に歯科衛生士が担当します。一通り処置が完了したら再度検査をして、問題がなければ終了。そこからメインテナンスに移行する、というのが軽度から中等度の方の治療になります。ここでまだ問題が残ったり、歯石が取りきれない場合は、われわれ歯科医師の出番です。歯茎を開いて中まで徹底的にお掃除をして、必要なら骨の形まで整えることをめざす、という歯周外科処置を行います。ここまでは保険診療ですが、再生療法適用などがあれば提案も行っています。
- Q歯周病の予防や再発予防のポイントを教えてください。
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A
▲歯垢の蓄積を除去し続けることが、歯周病予防には重要となる
歯周病は毎日のブラッシングだけでは防ぎきれません。残念な言い方になりますが、原因となる歯周病原菌がお口の中に常にいる状態なので完治も望めません。歯周病はサイレントキラーとも呼ばれ、ゆっくり進行していきます。ですから「今は問題ないから大丈夫」と思わずに定期的に歯科医院でチェックを受け、お掃除をしてもらうことが、やはり一番効果的だと思います。実は歯周病は思春期の後半18歳頃から、食事やパートナーとの関係などが原因で最初は外から感染するといわれています。歯周病はすでに人の生活や文化と密着しているため、残念ながら防ぎようがないのです。症状がなくてもできれば20代から定期的なチェックをお勧めします。
- Qクリニックとして大事にしている考えなどはありますか?
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A
▲スタッフが力を合わせチーム一丸となり、患者の治療に取り組む
お口の中のトラブルは大きく分けて3つあります。歯周病、虫歯、噛み合わせ、この3本柱が崩れないように、トータルで診ていくことが必要なのだと思います。治療の程度、範囲に関わらず、行った治療をいかに長期的に安定させていくかが重要。そのためには歯科医師だけでなく、歯科衛生士や歯科技工士、診療放射線技師の力も不可欠です。各分野を担当するスタッフが力を合わせ、受付もアシスタントも含めたチームで患者さんを診ていくこと。それを心がけているのが当院の大きな特徴だと思っています。患者さんにお任せていただいている以上、責任を持って、誠実に診させていただいていますし、今後も歯科医療の現場から社会に貢献していきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯周組織再生療法/5万5000円~(税込)