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星名 拓治 院長の独自取材記事

星名歯科医院

(豊中市/少路駅)

最終更新日:2023/07/13

星名拓治院長 星名歯科医院 main

豊中市の閑静な住宅街にある「星名歯科医院」。2008年の開業以来、多くの患者が訪れる歯科医院。レトロな雰囲気が漂う院内には、星名拓治院長が選んだ懐かしい音楽が流れ、診療を待つ間も本を読んだり壁の写真やインテリアを眺めながらリラックスできる雰囲気。「後期高齢者の患者さんが増えてきたので、そこに合わせた治療や対応も工夫しています」と語る星名院長。いよいよ来院できなくなった患者のために、往診にも対応している。患者の歯だけでなく全身を見つめ、心理状態まで考える星名院長。「受付に入って来た時から、診療は始まっていますからね」と笑顔で話す、その言葉一つ一つに、患者への愛情があふれていた。

(取材日2023年3月10日)

増える後期高齢者の患者も安心して通える工夫を

開業された経緯を教えてください。

星名拓治院長 星名歯科医院1

2008年に開業しましたので、もう15年程たちますね。1986年に大阪大学歯学部を卒業して22年間、日中は他院で働き、星名歯科医院の前身である木多歯科で午後6時半から9時まで前院長に代わって夜間診療を行っていました。だんだんとスタッフの手配や多くのことを任せてもらえるようになって、最終的にはすべて担当させていただくようになりました。急患やさまざまな症状の患者さんに一人で対応することで、いろいろ勉強になりましたね。ずっと勤務医のままでも良いと思っていたのですが、前院長が亡くなった際、ご遺族から継承しないかという話があり、開業に至りました。

患者さんはどんな方が多いですか?

住宅地で学校も近いですから、お仕事帰りの方や学生さんもいらっしゃいますが、当院は後期高齢者の方が大半ですね。最近、思うのは認知症の方がかなり多くなってきている、ということです。勉強会に行ったりしてわかりましたが、認知症のタイプは4つに分かれ、タイプによって進行度合いも違います。独居なのか、家族と暮らしているのか、施設におられるのかでも変わってくるようです。そのため、患者さんの状況に応じて一緒に相談しながら、診療プランを立てることの大切さを感じています。たとえ認知症でも、歯のケアも食事も自分で行える方でしたら通常の対応でいいと思います。一方で、ケアを自分でできないとか、入れ歯を入れたかどうかもわからない、といった管理ができなくなっている方は、入れ歯が凶器になりかねません。飲み込んでしまう危険性がありますから、アプローチの仕方も変えていく必要があるのです。

患者さんごとに、あえて対応も違うということですね。

星名拓治院長 星名歯科医院2

何をどう対応するかを常に考えています。歯科的な、いわゆる歯の治療に対して考慮しなくてはいけないのか、それとも例えば会計したかどうかを忘れたり、アポイントの日がわからなくなるみたいな認知度に対して配慮が必要なのか。さらに、通院する経路が危険で通院もままならない、という場合には往診のほうが適しているでしょう。長く当院に通っておられたけれど来院が難しくなった人には、今までの経過がわかっていますからご要望があれば必ず往診に行きます。これから先、お家でどういうことに気をつけていくのが良いかは、今までの主治医が一番良くわかっているわけです。往診というのはできることが限られますし、リスクもついてまわりますが、行ってお話を聞いて、ただ病状を説明するだけになってしまったとしても、患者さんを安心させるために歯科医師として行うべきことだと、私は思っています。

悪化させないようどうするか考え、道筋をつける

メンテナンスに来られる患者さんが多いとも伺いました。

星名拓治院長 星名歯科医院3

私は、今の患者さんの口腔の状態や、次にどうするのかを説明するようにしているので、おのずとメンテナンスで来院される方が多くなるのだと思います。例えば、診療時には、どこをどう治療したかを説明し、生活上気をつけていただきたいポイント等もお話しします。そして、次回どのくらいの間隔で来院すべきかや、その間のセルフケアの方法も丁寧に説明するのです。その際に、万が一予期せぬトラブルが起きてしまったらどのタイミングで受診すべきかも具体的に伝えます。患者さんがお口の中にどんな問題を抱えているのかは、当たり前のことですが、診ればすぐにわかるものです。日常生活でつい無理をすると、こんな事が起こるだろうなあ、という予測はつきますから、体をいたわって生活していただけるよう、わかりやすく丁寧に伝えることを大切にしています。

患者さんの歯の状態が頭に入っているわけですね。

例えば、メンテナンス時期より前に、患者さんから電話がかかってきたとしたら、「この箇所の不具合のことだろうな」とすぐにピンと来ます。そのため、私はなるべく電話も自分で出るようにしていて、すぐにエックス線写真やカルテを見ながら説明できるようにしています。とはいえ、それらだけでは患者さんがお困りになっている原因がわからない場合も考えられます。そういった場合には、「日常生活で何か変わったことはありませんでしたか?」と伺うなど、口だけを診て判断しないように心がけています。全身も心理状態も、そしてどのように生活されているかも、歯の状態に現れてくることがあるのです。患者さんが受付に入ってこられた時から、診療は始まっていますから、そこから見ないといけません。これは何十年も歯科医師として経験を積んできたからこそ、わかることなのかもしれません(笑)。

患者さんとの会話を大事にされているのですね。

星名拓治院長 星名歯科医院4

患者さんがご自分の今の心理状態まで、包み隠さず言ってもらえる環境づくりを大事にしています。やっぱり歯科医院というところは、皆さん緊張して来られるところだと思います。なので、待合室では、昭和の音楽を流したり、私の趣味の写真を飾ったり、珍しい海外の楽器を並べたりして、待ってる間を楽しんでいただけるよう配慮しました。すべては患者さんに心を開いてもらうために、まず私がこういう人間ですよ、と自己紹介をするための意味もあります。歯科医師は医療人ではありますが、特権階級でも何でもない、1つの職業にすぎないのですから、患者さんが話しづらかったり相談しづらかったりすることのないように心がけています。

何でも相談できる環境を整え、患者の期待に応える

頼りになるスタッフさんがいらっしゃるそうですね。

星名拓治院長 星名歯科医院5

当院のスタッフは2人で、いずれも正社員です。1人は開業時からですから、もう15年、もう1人も10年前から勤務するベテランです。診療が始まる前にこの患者さんはどのチェアに案内して、使う器具はこれが予想されるから準備して、とある程度のことは伝えますが、あえてそんなに細かいことは言いません。患者さんのバックグラウンドもしっかり把握してくれているので、電話が来ても、久しぶりの来院でも安心して任せられます。患者さんからもとても信頼されていて、これまで揉め事が一度もないのには本当に感心します。医療人の前に社会人であるわけですが、自身の健康管理にもしっかり気を配ってくれている、それもとても大事なことだと思いますね。

ところで、なぜ歯科医師をめざされたのですか?

血を見るのが苦手だったので、初めは医学の道に進むことはまったく考えていませんでした。鉄道が好きだったので、「将来は機関車を作りたい」と考え、大阪大学の工学部に入学したのです。ところが、いざ就職という時期にその志は難しいものとなり、「入れ歯を作ったり、削って詰める歯科医師なら、工学的な知識も生かせるのではないか」と考え、歯学部の学士入学試験を受け合格したのです。ところが歯科は口腔内のオペや顔面外傷など、内科や皮膚科より血を見る機会も多かったのですが、入ったからには一人前の歯科医師になれるよう頑張ろうと思いました。

今後の展望について教えてください。

星名拓治院長 星名歯科医院6

これからも、患者さんと誠実に向き合い、患者さんが安心して治療を受けたり次のステップへ進めたりするように、その後押しをしていきたいですね。まず患者さんにとって一番良い治療法を決定して、当院で治療を行うのが良いか、他院に紹介するのが良いかも見極めることも大切だと思っています。診療において当たり前のことですが、私がベストなコンディションでないといけませんから、自分の健康にも気を使っていますよ。患者さんが信頼して通ってくださる間は、その期待に応えていくつもりです。診療以外でも地域医療に携わっておりますので、今やっていることを縮小させないようにしながら、広い意味での地域医療に、これからも貢献をしていきたいと思っております。

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