片岡 観精 院長の独自取材記事
カタオカ歯科医院
(豊中市/千里中央駅)
最終更新日:2024/11/11

大阪モノレール線や北大阪急行電鉄の千里中央駅から徒歩約13分のマンション内にあるのが「カタオカ歯科医院」。片岡観精(みよし)院長は医療先進国・デンマークへの留学経験を生かした高度な診療を実践し、一般歯科をはじめ、矯正、歯科口腔外科などを中心とした総合的な診療に努めている。また、義歯やインプラント、移植など先進の情報を収集しながら自身の技術へと反映。人それぞれ千差万別の虫歯・歯周病リスクなども見極め、患者と「二人三脚」で予防・治療計画を立ててきた。患者の一生を通じて最善と思える方法を提案し続ける片岡院長に、治療の方針や工夫などについて聞いた。
(取材日2017年8月7日/情報更新日2024年10月23日)
さまざまな歯科医院で勤務をしながら大学院で研究
デンマークへの留学経験がおありなのですね。

2008年の2月から半年間です。予防ではトップレベルといわれる北欧で勉強したくて母校と協定を結んでいたデンマークのコペンハーゲン大学に行きました。北欧では唾液検査で調べる虫歯や歯周病などのリスクに応じて、保険料も変わる制度を採用しています。ちゃんと自分の口腔内をケアしていないと、保険料が高くなることがあるというシステムが確立されているので、国民も歯の健康を保つためにすごく勉強しているのです。なので、予防のための歯科検診受診率は、私が留学した当時でも60~70%を越えていたそうですし、同じ北欧のスウェーデンでは90%以上というデータもあります。日本の場合、2016年の日本歯科医師会の調査では、学校や企業での検診も含めて年1回以上検診受診率は49%ほど。かつては20%前後ともいわれていたので改善していますが、まだまだです。厚生労働省の調査では30~50歳代で8割が歯周病といわれますからね。
海外と同レベルの治療をめざしているのですね。
はい。当院では世界水準の治療をめざし、CAD/CAMシステムを使って金属を極力使用しないメタルフリーな治療に努めています。以前、シンガポールの先生とお話をした際に、「日本は先進国なのに、なぜ詰め物に銀歯を使っているのですか?」と聞かれました。その言葉にショックを受け、改めて日本の歯科治療について考えさせられたのです。近年日本の保険制度においても金属を使わない治療が一部認められていますが、世界に目を向けるとさらに金属レスの動きが目立ちます。当院でも、患者さんにしっかりと説明をすることを心がけ、選択肢の一つとして提案し、納得していただいた上で提供しています。
臨床での経験を経て大学院に進まれたのですね。

当時、さまざまな勉強会などに参加しましたが、情報が入り混じり、何を根拠として治療をしたらいいのかわからなくなっていたのです。そこで、根拠のある治療をするにはどうすればいいのかと考え、大学院への進学を決めました。大学院で研究する方法を学ぶことで、歯科治療においての世界基準を知り、臨床での自分の治療に間違いがなかったかどうかを確認したくなったのです。私は常々、歯科すべての分野を専門にしたとき初めて口腔治療ができると考えていました。そのため、虫歯や歯周病の治療、矯正、審美歯科、インプラント治療などの歯科口腔外科、小児歯科など総合的な知識や技術を大学時代から蓄積していたのです。それが正しかったかどうかを検証するための方法論を習得したかった、ということですね。そしてすべての治療は診断から始まると考え、大学院では歯科放射線科を専門にしました。
「治療しない治療」をめざす
ここで開業した理由を教えてください。

実はたまたまなのです。大学院には留学期間も含めて4年在籍し、その後大阪大学歯学部附属病院に勤務していたのですが、もともと歯科医院だったこの場所が物件として出ていると同僚が教えてくれたのがきっかけでした。それを全面改装して2012年10月末に開業したのです。地域柄なのか歯への意識の高い人が多く、私の治療方針についてもちゃんと耳を傾けてくださいますし、私の治療方針に賛同してくださる方が多くおかげさまで開業当初から順調に患者さんにも恵まれました。また多くの患者さんが知人友人などを紹介してくださるのもうれしく思っています。
先生がめざされている「治療しない治療」について教えてください。
留学中にデンマーク人の予防歯科への意識の高さを目の当たりしたことが大きく影響して、「治療をしない治療」「何度も繰り返すことのない治療」をめざしてきました。例えば、歯の痛みなどで来院される方はまずその対応を優先しますが、主訴への対応が終わったら唾液検査なども提案して口腔内の状況を診査します。なぜなら、口の中が汚れた状態でいくら治療をしても虫歯や歯周病の感染源が残ってしまい、治療を繰り返してしまう恐れがあるからです。感染源を取り除くこと。これが、良い治療の条件と考えています。治療を繰り返さないためには、初期段階から口腔診断を行い、エックス線写真や口腔内写真などを使って丁寧に説明するなど、患者さんと「二人三脚」で将来を見据えた治療計画を立てていきます。
細菌感染については、小さなお子さんにかなり気を配っている親御さんがいますね。

一時期、虫歯菌の感染予防のため、乳幼児への口うつしや食器共有禁止が叫ばれましたが、その影響で免疫力の低下した成人が多くなったとされる報告もあり、今では対応が変わってきています。具体的には、父母兄弟をケアして虫歯や歯周病の菌を減らし乳児に感染する細菌の量を減らすようになってきたのです。つまり、ご家族の唾液によって形成される免疫もまた重要ということですね。また、日本臨床歯周病学会は、歯周病によって早産・低体重児出産の危険率が約7倍になるとも報告していますから、妊娠中に歯科医院に通うのも大切です。
心がけるのは、患者にとって本当に「お得」な診療
歯科医師に頼らず、患者が自ら予防やケアを行うのは難しいのでしょうか?

もちろん、普段のセルフケアは大切です。しかし口の中には、台所・お風呂のヌメリや水あかと同様、菌の温床といわれる「バイオフィルム」ができます。これは歯周病の一因といわれているのですが、歯と歯茎の隙間にもあるため、自分だけで隅々まで除去するには限界があるのです。そのため、私たちプロによるケアも並行して受けていただきたいですね。当院では唾液から「虫歯リスク」「歯周病リスク」「口内清潔度」など自覚しにくい口腔内の現状を客観的なデータにして視覚的にわかりやすくご説明しています。また、肉眼ではわかりにくい虫歯の状態をレーザー光線で検査する機器やCT撮影装置なども導入しました。ご自分の歯周病菌の量なども把握できるので、適切な検診の回数や注意点もご理解いただけるでしょう。これは歯科医院へ通う大きなメリットだと思います。
普段の診察で心がけていることを教えてください。
口の中だけではなく全身をバランス良くトータルに診ることですね。例えば、骨粗しょう症の薬の中には、服用していると抜歯をした場合に顎が骨髄炎などになる恐れのあるものがあります。ですから、患者さんの体が今どのような状態なのかを知るために詳しく問診を行うことが重要なのです。また、口腔がんの有無も注意深く見ています。それから、早め早めの治療も重要です。歯が1本なくなったときに、そこにすぐにインプラントを入れれば周囲の歯が残る確率は高まります。また、天然の状態をなるべく保つことでバランスの取れた安定した噛み合わせが望めるでしょう。放置せずすぐに適切な治療をすれば長期的にもメリットがあると思いますし、費用面においても健康においても「お得」というのが私の考えです。
今後の展望を教えてください。

当院では、フルブリッジやジルコニア製のインプラント上部構造も作製できるCAD/CAMシステムを導入しており、金属よりも天然歯に近い硬さを実現できます。それにより歯茎への負担を軽減できるため、天然歯にもインプラントにも使用し歯周病のリスクを減らしていけたら。また、近年の子どもには顎の発育不全による不正咬合が多いようです。そのため、「拡大床」を使用した顎誘導による顎矯正、歯の移植を通じ、「治療をしない治療」「何度も繰り返すことのない治療」の提案に努めていきます。中には歯科治療を「怖い」とおっしゃる方もいますが、当然、以前よりは素材も技術も進化してきました。当院にも、歯周病治療などに役立つヤグレーザーや、精密な根管治療に有用なニッケルチタンファイルシステムなどさまざまな機器を導入していますので、気になることがあれば気軽に何でも相談してほしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはCAD/CAMシステムを用いたセラミック治療:3万5000円~
インプラント治療:25万円
マウスピース型装置を用いた矯正:25万円~
唾液検査:2万5000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。