喜田 睦子 院長の独自取材記事
喜田歯科医院
(吹田市/吹田駅)
最終更新日:2026/09/15
岸辺駅の西側、閑静な住宅地にたたずむ「喜田歯科医院」。1978年に先代が開業して以来、長年にわたり地域に根差してきたクリニックだ。先代の診療所を2002年に引き継いだ喜田睦子院長は、大阪歯科大学卒業後に水平診療や根管治療の研鑽を重ねてきた歯科医師。白と木目を基調とした院内は天窓から自然光が差し込み、ぬくもりのある空間が広がる。「歯を削る量や抜く数をできるだけ少なくして、患者さんの歯を長持ちさせたい」。その信念のもと、歯科用CTとマイクロスコープによる精密治療から子どもの口腔機能管理まで手がける。親子2代、3代と通い続ける患者も多く、温かな人柄が慕われる喜田院長に、理念や展望を聞いた。
(取材日2026年8月19日)
父が築いた信頼を礎に、理想の歯科医療をかたちにして
クリニックの成り立ちについてお聞かせください。

当院は1978年に父が吹田市天道町で開業した歯科医院が始まりです。その後、原町1丁目に移転しましたが、父が病気で亡くなり、2002年に私が引き継ぎました。父の母校でもある大阪歯科大学を1991年に卒業し、10年ほど研鑽を積んでからの継承です。子どもの頃から人の役に立つ仕事がしたいという思いがあり、子どもが大好きで保育の道も頭をよぎりました。ただ、患者さんのために働く父の背中を見て育ちましたし、長女として仕事を受け継ぐのが自然だと感じたんです。父から引き継いだ当時はむし歯や歯周病の治療、かぶせ物や入れ歯治療などがメインでした。患者さんを治療することで私も育ててもらった。患者さんがいてこそ成り立っている。その感謝が、すべての診療の原点になっています。
こちらの診療所はどのような思いで建てられたのですか?
大学卒業後、水平診療を実践する歯科医院で修業しました。水平診療とは、患者さんに仰向けに寝ていただき、歯科医師が定位置に座って適切に歯鏡を扱うことで治療を行うシステムです。歯科治療は目で確認し繊細な手先の感覚で処置することが大切で、のぞき込む従来のスタイルでは精度に限界がありました。しかし父から引き継いだ旧診療所には対応できるチェアがなく、めざす治療が実現できなかったんです。実家の近くに土地が空き、思い切って2010年に新築移転。設計は、父の時代からの患者さんである建築家の方にお願いしました。幼い頃にその方から父宛ての年賀状で見た建築に心を惹かれ、いつか診療所を造ってほしいと夢見ていたんです。歯科医院に通う人の目線が生きた、心安らぐ空間になっていると思います。
地域の患者さんとの関わりで、印象に残っていることはありますか?

4歳から吹田市で育ち、私が出身の小中学校では校医も務めています。教育熱心で家族を大事にする土地柄で、親子何世代にもわたって同じ地域に住み続けるご家庭も多いんです。当院にも親子2代、3代と通ってくださる方がいて、中にはお嫁さんやそのお子さんまで含めると4代になるご家族もいらっしゃいます。「〇〇ちゃん」と呼んでいた子がいつの間にか成長して「〇〇さん」と呼ぶようになっていることもありますし、大泣きして診察室に入れなかった女の子が大人になって自分から来てくれるようになった時は本当にうれしかったですね。昔から頼り続けてくださる患者さんが増えている。それが私の宝であり、日々のモチベーションになっています。
精密な治療で歯を守り、子どもの口腔機能を育む
診療ポリシーを教えてください。

私の診療の根幹にあるのは「ミニマルインターベンション」、つまり最小限の侵襲という考え方です。歯を削る量や抜く数をできるだけ少なくし、患者さんの歯を長持ちさせたい。その一念が、水平診療の習得や歯科用CT、マイクロスコープの導入など、すべての出発点となっています。歯を抜く原因の多くは歯周病や破折、深いむし歯ですが、これを防ぐには精密な根管治療が欠かせません。当院では歯科用CTで根管の位置や形態を把握した上で、マイクロスコープで確認しながら治療を進めます。根管の形態と構造がわからなければ問題箇所を見つけること自体が困難で、歯科用CTの役割はとても大きいんです。治療後も歯科用CTで経過を追い検証しています。歯科衛生士とともに予防歯科のシステムも確立し、メンテナンスにつなげてきました。
小児歯科では、むし歯予防以外にどのようなことに取り組まれていますか?
近年、お子さんのむし歯は減りましたが、歯並びの悪さや口腔の小ささ、飲み込みにくさ、口呼吸といった問題が目立ちます。こうした口腔機能発達不全症を見逃さないため、18歳以下の患者さんを対象に年齢別の管理体制を整えています。5歳、7歳、10歳と年齢を区切り、口腔内写真やパノラマ写真、CT画像、姿勢の写真に加え、舌圧や口唇圧を測定。必要に応じてMFTという、お口の周りの筋力バランスを整えるトレーニングも行います。口を閉じる力がつけば舌の位置が上がり、気道が広がって呼吸のしやすさにつながります。大切なのは、正しい呼吸ができるお口にすること。食べる、話す、呼吸や習慣といったお子さんのお口の様子は、ぜひお父さん・お母さんがよく観察してあげてください。診察時で気になることがあれば、おうちでの様子を聞かせていただいております。
お子さんの歯並びについて早い段階からできることはありますか?

マウスピース型装置を用いた矯正を導入しています。10歳頃までの顎の骨がやわらかい時期に顎の成長をコントロールし、きれいな歯並びと良い噛み合わせの土台をつくることが目的です。口の体積を広げ、舌を持ち上げる筋力を育て、口を閉じて眠れるように鼻呼吸へと導くほか、舌の位置や口唇、頬の動きを整え、正常な発育を促すことをめざします。将来矯正が必要になっても無理のない矯正につなげたいと考えています。口腔機能の管理はお子さんだけの課題ではなく、加齢とともに舌は下がりやすくなるため、50代頃から姿勢や舌の使い方にも意識を向けるようお伝えしています。私の目標は、できるだけ削らない、抜かない、メンテナンスしやすいお口にすること。矯正や機能訓練、全身の健康を保つことも大切だと考えています。
長年のチームワークで、家族の健康を守り続ける
院内の雰囲気やスタッフの皆さんについて教えてください。

スタッフは長く勤めてくれるメンバーが多く、最長で19年になる歯科衛生士がいます。続く理由は、スタッフ同士の仲がいいからだと思います。2ヵ月に1回、主任歯科衛生士が企画する院内ミーティングを15年以上続けていて、事前に報告事項や懸案事項、私への質問まで集めた上で話し合います。活発に意見交換が行われますし、普段の診療の中で見過ごされやすい課題が取り上げられ改善につながり、患者さんへのきめ細かな対応にもつながっていると感じます。女性スタッフばかりですから、子育てなどライフステージを尊重することも大切にしてきました。日々の診療が学びの場になるという考え方で、院内で成長できる環境を整えています。
患者さんが安心して通えるよう、工夫されていることはありますか?
キッズスペースを診察室に隣接させているのは、小さいうちから歯科医院に慣れてもらうためです。親御さんやきょうだいの治療を眺められるようにすることで、歯科医院への拒否反応が出にくくなります。赤ちゃんはキッズスペースのカーペットの上で横になったまま診察を受けることができ、お母さんもそばにいられるので安心です。受付からもキッズスペースを見守れる設計にしています。私が心がけているのは、一人ひとりに対して必要な時に必要なことをお伝えできるよう準備をすることです。来院のたびに役立つ情報を持ち帰り、ご自宅で実践していただけることをめざしています。全身疾患をお持ちの方の処置では、かかりつけの内科の先生に問い合わせるなど慎重に対応しています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

自分の歯で食べること、口腔機能の低下を防ぐことが生活習慣病や認知症の予防にもつながるというエビデンスがあります。今後の目標は、患者さんにできるだけ長くご自分の歯で楽しく食事ができ、健康でいてもらえるよう、各年齢層に応じたきめ細かなメンテナンスのシステムをつくることです。約50年にわたり地域の皆さんに支えていただいたこの歯科医院を、これからも家族全員で通っていただける、そしていつまでも自分の歯で噛めるよう皆さんの健康を守る場所にしていきたいですね。スタッフ一同、心を込めて診療に取り組んでまいりますので、これからもよろしくお願いいたします。
自由診療費用の目安
自由診療とは自費の根管治療(前歯部)/5万1700円~、マウスピース型装置を用いた小児矯正/3万5310円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

