治療の不安や心身の負担を軽減へ
静脈内鎮静法を用いた歯科治療
中井歯科医院
(京都市伏見区/伏見桃山駅)
最終更新日:2024/12/25


- 保険診療
口腔の健康と全身の健康には相関関係があるといわれる昨今。人々の口腔への関心も高まりつつあり、メンテナンスに足繁く通う人も少なくない。しかし、その一方で歯科に強い恐怖を感じたり、ひどい嘔吐反射に悩まされ、歯科治療を受けることができない人も一定数いる。京都府京都市伏見区にある3代続く歯科医院である「中井歯科医院」の中井徹院長は「そんな人にこそ、静脈内鎮静法を用いた歯科治療を体験してほしい」と語る。鎮静剤を点滴し、ウトウトした状態で治療を受けることが期待できるというこの治療法。口腔外科で研鑽を積み、歯科麻酔の専門家である中井院長に、具体的な方法など詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2021年6月12日)
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q静脈内鎮静法とはどんなものですか?
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A
歯科に強い恐怖を感じる方、嘔吐反射がひどい方、時間がかかる治療や手術、心身障害などで治療が困難な方など、これまで受けたくても歯科治療を受けることができなかった方々が、心身ともにリラックスして治療を受けていただけるように、治療の際に静脈から鎮静剤を点滴する方法のことです。完全に意識がなくなる全身麻酔とは違って人口呼吸管理や入院は必要なく、日帰りで行うことができます。治療中の患者さんは意識があり簡単な応答はできるものの、ウトウトと寝たような状態で治療を受けることができます。
- Qどのような方が取り入れるべきですか?
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A
「歯科治療の必要があるのに、歯科治療を受けられない人」にぜひ検討していただきたいと思います。身体的な面、精神的な面、治療が受けられない理由はさまざまあると思うのですが、多くの場合は静脈内鎮静法を用いることで治療が可能になるでしょう。幅広い年齢層に対応できますし、全身疾患など不安な点があっても医科と連携を取り、状態を確認しながらの治療となりますので、安心して相談していただきたいですね。また、毎回ではなく苦手な治療の時だけ鎮静下で行うなど、柔軟に対応しています。寿命が長くなった今だからこそ、口腔の状態を健康に保つことは大切です。ぜひ勇気を出していただきたいですね。
- Q治療前後に注意する点はありますか?
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A
まず、治療中の事故を防ぐため、処置開始の6時間前からは固形物の摂取はできません。また、処置開始の2時間前からは飲水もできません。それから、治療当日はご自身での自動車・バイク・自転車等の運転は避けてください。当日は楽な服装でお越しになると良いと思います。治療中の体調管理のため、ストッキングやマニキュア、口紅は取っていただくことになります。日帰りの処置となりますが、安全に配慮して行うための注意となりますので、わからないことがあればなんでも気軽に質問してください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・事前検査
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まずは問診表に記入。生活習慣や既往歴、全身状態、診察についての希望を記入する。服薬中の薬などがある場合は「お薬手帳」を持参すると良いだろう。また、かかりつけ医がある場合は伝えておこう。問診が終われば口腔内をチェック。恐怖を感じることや苦手なことに配慮しながら、エックス線撮影などを行う。
- 2治療計画のプランニング
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検査結果を踏まえ、治療計画をプランニング。静脈内鎮静法なしでも行える治療、鎮静下で行う苦手な治療や、してほしくないことを考慮して立案していく。全身疾患がある場合は特に、安全に配慮して治療を進めるためにも患者のかかりつけ医と連携し、全身状態を確認しながらの治療となる。
- 3点滴による麻酔の投与開始
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治療当日の簡単な体調チェック後、血圧や呼吸を監視するためのモニターを装着。その後は、リラックスした状態になるように、腕の静脈(点滴)から少しずつ麻酔を投与する。
- 4歯科治療スタート
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鎮静の状態を確認したら治療スタート。治療中の痛みにも配慮し、必要に応じて局所麻酔を併用する。また、治療による誤嚥やむせを予防するため、ラバーダム等を使用する。意識はあるので不快なことなど会話は可能だが、ウトウトしたような状態で治療が終了する。
- 5休憩
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治療後はしばらく診療台で休憩。しっかり意識が回復し、体調が落ち着いたことを確認したら、その日に行った治療内容、予想される痛みや対処方法、次回以降の治療予定の説明などを受けて帰宅となる。意識が回復するまでの時間は個人差があるため、無理のないスケジュールを立て、帰宅後もいつもよりゆっくり過ごそう。