織田 和博 院長の独自取材記事
織田歯科医院
(京都市伏見区/近鉄丹波橋駅)
最終更新日:2025/05/15

近鉄丹波橋駅から線路沿いに歩くと、入り口の花壇や緑がきれいに整備された「織田歯科医院」が見えてくる。30年にわたり地域の歯科医療を担ってきた。織田和博院長は、話し好きで聞き上手だが、相手の気持ちを尊重し踏み込みすぎないスタンスを大切にする、誠実さを感じさせる人柄だ。そして自身に対する厳しさを、時に笑いを交えながらさらりと語り、歯科技術のみならず人間としての成長をめざす姿勢を持ち続ける姿が印象的だった。今回は、そんな織田院長に同院の診療方針や健康に対する考え方など、じっくりと話を聞いた。
(取材日2025年04月16日)
患者の納得と安心の上で治療を進めている
クリニックを開業されるまでのご経歴を教えてください。

この伏見の地に生まれ育ちました。父は歯科医師でしたが、歯科医院を開業せず大学で教職と研究の仕事に専念しておりました。父からは歯科医師をめざせと聞いた覚えはないのですが、幼稚園の卒園アルバムには「将来は歯医者さんになりたい」との聞き書きがありますので、歯科医師という職に幼い頃から憧れを持っていたのだろうと思います。大阪歯科大学卒業後、岡山大学の医局に入り臨床についての基礎的研究に従事した後、大阪市内や京都市内で勤務医として勤めさせていただき臨床医としての修業を重ね、1989年に開業しました。
開業から30年以上とは思えないほど清潔で、ナチュラルな雰囲気の院内ですね。
2011年に改装しました。以前から心がけてきた感染予防・医療安全をさらに向上させるため、器具の滅菌・消毒設備を刷新し保管のエリアを充実させました。さらに、昨今の事情を鑑み、感染症予防の徹底のため、昨年には換気性能を向上させるため空調設備も改装しました。また、診療室内でも、山小屋やバンガローで過ごす時のような穏やかな気持ちで、患者さんも私たちも過ごしたいとの願いを込めて木目を基調にしました。森や山、海や島、アウトドアに憧れがあるんです。
患者さんはどのような方がいらっしゃいますか?

当院は住宅街にありますので、ご家族ぐるみで来られる近隣の方々が多いです。おかげさまで近鉄丹波橋駅、京阪本線の丹波橋駅も間近、国道24号線も至近、駐車場も完備していますので、比較的遠くからもおいでになります。長年にわたり、点検・クリーニングのために定期的に通われる患者さんも多いです。その際、状態に応じた私や歯科衛生士によるアドバイスは、虫歯や歯周病など口腔疾患の悪化や発生を未然に防ぐために大切と考えています。そのことを患者さんも理解されているため、長期にわたり定期的に通ってくださっているのだろうと思います。定期的な点検・クリーニングにおいでいただいている方々は、気になることがあればご来院になる、あるいは我慢できなくなってからご来院になる患者さんと比較して、口腔環境が悪化することは明らかに少ないというのがわれわれの実感です。
口腔内だけを診るのではなく、全身を診る
診療の際に心がけていることは何ですか?

口腔内だけを診るのではなく、患者さんの全身の状態や生活背景、さらには心のコンディションまでを含めた診療を心がけています。マイナンバーカードの普及により、服用している薬や既往歴などがより正確に確認できるようになったことで、これまで以上にこまやかな対応が可能になりました。しかし、その情報だけではわからないこともたくさんあるんです。実際に診察室に入ってこられる時の足取りや表情、話し方など、体の動きや雰囲気からも状態を読み取ります。お口の健康は、全身の健康と密接に関わっているからこそ、「歯を診る」のではなく「その人全体を診る」姿勢が大切だと考えています。歯科医療を通して、患者さんが健康な人生を送るための一助となれたらという思いで日々診療しています。
患者さんとコミュニケーションを取る際はどのような工夫をされていますか?
患者さんが安心して心を開いていただけるような空気をつくり、一緒に話し合うことを常に意識しています。歯のお悩みに限らず、日々の生活習慣や食事内容、人間関係やお仕事のことまで、さまざまなお話をしてくださる方が多くいらっしゃるんですよ。その中に治療のヒントが隠れていることも少なくありません。そのため、患者さんに寄り添いながら、お話を聞くことを大切にしています。正解が一つではない医療だからこそ、一緒により良い状態を探っていける関係を築くことが、歯科医療のあるべき姿だと思っています。その一環として、自分自身でも健康法や食事の管理などを実践しており、得た知識をただ伝えるのではなく、自分の体で経験したことをもとに患者さんに合ったアドバイスができるよう努めています。
スタッフの方々についても教えてください。

当院では、歯科衛生士3人と歯科助手・受付スタッフが在籍し、チーム全体で患者さんの診療を支えています。歯科衛生士はいずれも長年勤めており、中には30年近く勤務を続けているスタッフもいます。長く通院されている患者さんにとって、顔なじみのスタッフが継続して担当する安心感は大きく「口の中の変化をよく把握してもらえているのでとても心強い」といったお声をいただくこともあるんですよ。当院では、定期的な検診やクリーニングもできる限り同じ歯科衛生士が対応するようにしており、変化に素早く気づけるのも強みです。実際に、歯科衛生士が患者さんの小さな変化を見逃さず、報告をもとに私と歯科衛生士、そして患者さんの三者でしっかり話し合いながら、納得のいくかたちで治療方針を決めていきます。日々の丁寧な関わりが、安心と信頼につながっていると感じています。
患者の想いを実現するために
織田院長の考える「健康」とは何ですか?

健康とは、病気がない状態というだけでなく、自分らしく日々を過ごせることだと考えています。何のために生きるのか、自分がどのように社会や人の役に立てるかという目的意識を持ち、心身ともに前向きに活動できることが本当の意味での健康ではないでしょうか。生きる意味や役割を感じながら暮らしていくことは、体の健康にも良い影響を与えると感じています。ただ長生きすることが目標ではなく、どう生きるか、誰と関わり、どのような思いで日々を送るかが大切だと思います。診療を通して、患者さん一人ひとりが自分なりの健康の在り方に気づき、心も体も前向きになれるようにサポートしていくことが私の役割です。歯のお悩みだけでなく、その時の気持ちや感じていることを、ぜひ教えていただけたらうれしいです。
今後の展望をお聞かせください。
今後は、歯科診療にとどまらず、より広い視点で地域に貢献できる活動をしていきたいと考えています。年齢を重ねるにつれ、自分に何ができるのか、何を次の世代へ残していけるのかを意識するようになりました。特に、若い方々に対して自分の経験や知識が少しでも役に立てば、という思いが強くなっています。これからたくさんのことを伝えていけるように、自分自身が心身ともに健やかであることを大切にしながら、地域の方々と関わる時間を増やしていきたいと思っています。医療者としてだけでなく、一人の人間として、人と人とのつながりの中でできることを模索していきたいです。
読者へメッセージをお願いします。

先ほども少しふれましたが、私が診療で大切にしているのは「一緒に話し合うこと」です。医師だからといって何かを一方的に決めるのではなく、患者さんと情報を共有し、ベストな方法を一緒に探っていく姿勢を大切にしています。「患者さんの想いを実現するために私はいる」という気持ちで、できる限りご要望に寄り添います。どうしても難しいことがあれば、選択肢をいくつか提示して、ご自身で選んでいただくようにしていますし、意見を一方的に押しつけることはありません。そして私の考える健康な状態、すなわち自分らしい日々を過ごせる状態は「心・体・気持ち」の3つのバランスが整ってこそだと思っています。そのサポートを、歯科の立場からもお手伝いできればと日々感じておりますので、何かお悩みがある際はお気軽にご相談いただけるとうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはホワイトニング/3万円~