河野 伸二郎 院長の独自取材記事
河野歯科医院
(横浜市都筑区/仲町台駅)
最終更新日:2024/09/12

念願であった駅前かつ1階の立地へ、クリニックを移転した「河野歯科医院」河野伸二郎院長。1989年に開業して以来、仲町台駅エリアの変遷を見守り、多くの住民の口腔内の健康を支えてきた。そもそも慶應義塾大学工学部を卒業して一般企業に就職した後、歯科医師を志し30歳で歯科医師となったという河野院長。インドで少年期を過ごした経験に影響を受け、クリニックでの治療の傍ら、ライフワークとして歯科の海外ボランティア活動に取り組む。そんな河野院長に同院の診療の特徴や、影響を与えた幼少時の原体験、将来の展望を詳しく聞いた。
(取材日2024年5月27日)
便利な駅前に移転し、小児歯科や矯正にも力を入れる
最近、移転されたと聞きました。

2024年4月にこちらに移転しました。もともと駅前で開業したいという思いがあったのと、高齢の患者さんも増えてきたことから1階の場所を探していたところ、ここと巡り会えました。院内の造りは明るい雰囲気を重視し、設備面では、「個人の歯科医院として提供できる最高峰のことを」というこだわりが実現できるように歯科用CTや、マイクロサージェリーの機器、レーザーなどをそろえ、もちろん滅菌など感染症対策は徹底しています。同じエリアの中での移転でしたが、やはり駅前の1階は入りやすいようで、以前からの患者さんに加えて、新しい患者さんも増えてきましたね。
以前のクリニックもこの近くだったのですか。
1989年に仲町台駅から徒歩5分ほどの場所で開業しました。当時、周りには何もなく歯科医師会が「やっていけるのか?」と心配したくらいです。1993年に、新横浜からあざみ野間で電車の運行が始まって、仲町台駅ができました。駅周辺には新しいマンションが建ち、若いファミリー層の住む街になりましたが、当院の患者さんはそれ以前から住んでいる方も多く、働き盛りの50代の方が中心でした。患者さんも僕と同様に年を取っていきますので、高齢のために通院できなくなった方にも対応して、早くからご自宅に伺っての診療も行ってきました。
診療面にはどのような特徴がありますか。

当院のモットーは「どんなことでも確実に、痛くなく、早く治療すること」です。あらゆる世代の人が安心して通え、どんな要求にも応える歯科医院でありたいと考えています。もちろん口腔外科も、保険外のインプラント治療も、矯正も、審美歯科も対応できます。副院長の大口日登美先生は、口腔外科の専門性の高い先生です。移転で便利になったので、お子さんの治療や小児矯正、成人矯正、特にマウスピース型装置を用いた矯正に注力したいですし、CTやマイクロスコープも導入したので、難易度の高い根管治療や外科手術にも力を入れたいと考えています。
先生の診療方針について聞かせてください。
僕自身が心がけているのは、患者さんの主訴を何回も聞くこと。皆さん気づいていないかもしれませんが、受付時と治療台に座ってからでは訴えが異なることがあるんです。治療台に座ったり歯科医師と向き合ったりすると、独特な精神状態になるんでしょうね。ですから同じ質問でも角度を変えて聞くなどして、患者さんは本当はどこが痛いのか、どうしてほしいのかを正確に把握するようにしています。そして、大切にしているのは、できるだけ短期間で苦痛に配慮しながら患者さんの問題解決に邁進すること。歯科医師の立場より、患者さんの立場で問題を解決することが大切だと考えています。
少年期はインドで過ごし、会社員を経て歯科医師の道へ
歯科医師になる前は一般企業にお勤めだったとのことですね。

父親の仕事の関係で、小学校5〜6年生の時にインドのカルカッタに住んでいました。父が現地で働く他の日本人の商社マンと領事館に行って新年のあいさつをしたり、ゴルフをしたり、違う会社の人が自宅に遊びにきて日本食を楽しんだりと交流するのを見て、子どもながらに「商社マンって面白いな」と思ったのです。理数系が好きだった僕は、技術を知っている商社マンになろうと慶応義塾大学の工学部に入りましたが、卒業した当時はオイルショックで今より就職難の時代。結局、商社ではなく別の会社に入社したものの、やはり「これは僕の仕事じゃない、自分で何かできることはないか」と思い始めました。そんな中、東京大学をめざしていた親友が方向転換して、医師になったことを知り、医学の道に可能性を見いだしたのです。
歯科医師になろうと思われた理由は?
インドでの歯科治療が印象的だったからです。日本で治療を受けた時に、痛そうな顔をしただけで「痛いわけがない」と怒られた経験から、「歯医者さんはあまり行きたくないところ」でした。ところがインドでは診療前に、子どもが注射をされて泣いている写真を見せられ、「これは悪い医者だ。絶対に痛くしないように気をつけるから安心して」と言われたんです。その歯医者さんは、言葉どおり痛みに配慮しながら治療してくれました。そして何よりも印象に残っているのは、大人として扱ってくれたことです。歯科治療経験に加えて、カトリック系の学校に通ったこと、イギリス人の家庭教師に教えられたこと、インドでの3つの原体験が今日の僕に影響を与えています。
少年期の経験に影響を受けられたわけですね。

はい。現地で見た貧富の差にも衝撃を受け、「将来は発展途上国の役に立ちたい」と考えるようになりました。これが現在もライフワークとしているボランティア活動につながっています。また家庭教師がイギリス人で、会話がすべて英語だったのも大きかったですね。英語がまったくわからなかったので、大きなプレッシャーでした(笑)。でも、小学校5年生というのは少年から大人になる、「僕はなぜここにいるんだろう」と思い始める重要な時でもあると思います。その時期にイエス・ノーがハッキリしている英語で考えていたのです。考え方も外国人っぽくなってはっきりと意見を言うので、日本社会では少しあつれきを感じる時もあります(笑)。
海外ボランティアの経験を生かし、小児歯科にも注力
海外でのボランティア活動について教えてください。

歯学部卒業後、横浜の歯科医院に勤務しながら、海外ボランティア活動を始めました。その活動を通して驚いたのは、口唇・口蓋裂の子どもが何人もいるということ。そのままにしていると言葉を発するのに障害があるので、日本では生後半年〜1歳半で手術をすることが多いですが、発展途上国ではほとんどの人が治療を受けられないのです。一般的なボランティア活動を行う傍ら、「フィリピン口唇・口蓋裂手術プロジェクト」を立ち上げ、15年にわたり実行委員長を務めさせていただきました。2018年からこのプロジェクトは別の組織が主催することになりましたが、現在でも主要メンバーとして当院の歯科衛生士とともに参加しています。今年はラオスに行く予定です。
今後はどのような展望がありますか。
移転で、お子さん連れや若い世代にも来ていただきやすくなりましたから、小児歯科や矯正治療、特に、お子さんの咬合誘導、噛み合わせ治療に力を入れていきたいですね。噛み合わせを正すとさまざまなメリットがありますから、できるだけ正常な歯並びにしたいけれど、矯正は費用も時間もかかりますよね。でもある時期に簡単なことをちょっとやっておけば、将来、矯正に費用をかけなくても済むかもしれない。僕は会社員も経験していますので、保険内でしっかり治療をしたいし、子育て世代の方にもできるだけ負担がないようにしたいという気持ちが強いのです。そのためにも早めの診療が重要です。今は小学校の歯科検診でも歯並びのチェックをしているので、気づかなかった不正咬合を指摘されることもあると思います。お子さんの歯並びや噛み合わせについて気になることがあれば、いつでも相談してください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

親御さんにお願いしたいことは、お子さんの治療を始めたら、矯正治療の場合は特に、歯科医師の指示どおりに通院してほしいということ。途中で間隔が空くとうまく治療が進みません。最近のお子さんは部活や塾で忙しいでしょうし、親御さんも忙しいとは思いますが、お子さんの将来を考えてきちんと通院してください。また、お口は消化器官の入り口、いわば健康の入り口になるところですから、必要な治療やケアを受けて大切にしてほしいのです。虫歯や歯周病は細菌感染であることを意識してください。ご自分だけでなく、お子さんやパートナー、ご両親などご家族のトータルな健康を考えていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~、歯列矯正(上下顎)/55万円~、小児矯正/35万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/55万~95万円、子どもの咬合誘導/3300円~、ジルコニアセラミック/クラウン5万5000円、インレー4万8000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。