河野 伸二郎 院長の独自取材記事
河野歯科医院
(横浜市都筑区/仲町台駅)
最終更新日:2025/09/02

1989年に仲町台駅から徒歩5分ほどの場所で診療を開始し、2024年にはより駅に近い場所へと移転した「河野歯科医院」。多くの住民の口腔内の健康を支えてきた河野伸二郎院長は、慶應義塾大学工学部卒業後、企業への就職を経て歯科医師を志し、30歳で歯科医師となったという経歴の持ち主。また、インドで過ごした少年期の経験をもとに、日本のクリニックでの治療の傍ら、ライフワークとして海外でのボランティア活動に取り組んでいる。そんな河野院長に、同院の診療の特徴や将来の展望などについて詳しく聞いた。
(取材日2025年5月9日)
便利な駅前に移転し、小児歯科や矯正にも注力
2024年4月に移転されたと伺いました。

以前から駅前に移転したいとの思いがあり、高齢の患者さんも増えたことから、1階の場所を検討する中でここと巡り会えました。院内の造りは明るい雰囲気を重視し、設備面では「個人の歯科医院として提供できる最高峰のことを」というこだわりが実現できるように、歯科用CT、マイクロサージャリー用機器、レーザーなどをそろえ、滅菌など感染症対策も徹底しています。同じエリア内の移転でしたが、やはり駅前の1階は入りやすいようで、以前から通っている方に加えて、新しく来られる方も増えてきましたね。当院のモットーは、どんなことでもしっかりと、痛みを抑え、早く治療すること。幅広い世代の方が安心して通え、どんな要求にも応えられる歯科医院でありたいとの考えにマッチした環境が整ったと感じています。
診療面ではどのような特徴がありますか。
虫歯や歯周病の予防・治療をはじめ、口腔外科、インプラント治療、矯正歯科、審美歯科など多様な症例に対応できます。大口日登美副院長も幅広く診療し、特に専門の口腔外科に力を入れていることが特徴です。さらに、移転を機に矯正歯科を専門とする澤村萌香先生も加わり、現在は月1回のペースで診療しています。今後はお子さんの治療や矯正、成人の矯正、特にマウスピース型装置を用いた矯正、また、導入したCTやマイクロスコープも活用した難しい根管治療や外科手術にも力を入れたいと考えています。
矯正歯科で重視されることは何でしょうか。

整った歯並びは歯磨きがしやすく、虫歯や歯周病の予防に役立ちますし、澤村先生は噛み合わせの不具合解消にも力を入れています。このように見た目だけでなく、噛む・飲み込むといった口腔機能も考慮して診療するのが当院の特徴です。噛み合わせの不具合は、舌が上顎の適切な位置に収まっていない、口をポカンと開けている時間が長いなど、患者さんが意識していない習慣から生じることも多く、改善をめざした指導も行っています。また矯正は、ワイヤーと同じぐらいマウスピース型装置を用いて行うことも多いのですが、当院には矯正専門の歯科医師が在籍しているので、マウスピース型装置だけでは対応が難しいときに補助装置を組み込む、顎の成長を利用して顎の幅を広げるための装置を使うなど、さまざまな症例に対応しやすい点がメリットです。現在は中学生以上の患者さんが中心なので、今後は小児の患者さんにも来ていただきたいですね。
先生の診療方針についてお聞かせください。
僕自身が心がけているのは、患者さんの主訴を何回も聞くこと。皆さん気づいていないかもしれませんが、受付時と治療台に座ってからでは訴えが異なることがあるんです。ですから同じ質問でも角度を変えて聞くなどして、患者さんは本当はどこが痛いのか、どうしてほしいのかを正確に把握するようにしています。そして大切にしているのは、苦痛に配慮しながらできるだけ短期間で、患者さんの問題解決に向けて進み続けること。歯科医師の立場より、患者さんの立場を考えて問題解決に取り組むことが大切だと考えています。
少年期はインドで過ごし、会社員を経て歯科医師の道へ
歯科医師になる前は企業にお勤めだったそうですね。

父の仕事の関係で、小学校5〜6年生の時にインドのカルカッタ(現・コルカタ)に住んでいました。父が現地で商社の営業部員として働く他の日本人と領事館に行って新年のあいさつをしたり、ゴルフをしたり、違う会社の人が自宅に遊びに来て日本食を楽しんだりと交流するのを見て、子どもながらに面白いなと思ったのです。商社の営業部員をめざしつつ、理数系が好きだった僕は、技術を知っている営業部員になろうと慶応義塾大学の工学部に入りましたが、卒業した当時はオイルショックで今より就職難の時代。結局、商社ではなく別の会社に入社したものの、やりがいを感じられませんでした。そんな中、東京大学をめざしていた親友が方向転換して医師になったことを知り、医学の道に可能性を見いだしたのです。
歯科医師になろうと思われた理由は?
インドで受けた歯科治療が印象的だったからです。日本で治療を受けた時に、痛そうな顔をしただけで「痛いわけがない」と怒られた経験から、歯科医院は「あまり行きたくない所」でした。ところがインドでは診療前に、子どもが注射をされて泣いている写真を見せながら「これは悪い医者だ。絶対に痛くしないように気をつけるから安心して」と言われたんです。その歯科医師は、言葉どおり痛みに配慮しながら治療してくれました。そして何よりも印象に残っているのは、大人として扱ってくれたことです。歯科治療経験に加えて、カトリック系の学校に通ったこと、イギリス人の家庭教師に教えられたこと。このインドでの3つの原体験が今日の僕に影響を与えています。
幼い頃の経験が影響したわけですね。

はい。現地で見た貧富の差にも衝撃を受け、「将来は発展途上国の役に立ちたい」と考えるようになりました。これが現在もライフワークとしているボランティア活動につながっています。また家庭教師がイギリス人で、会話がすべて英語だったのも大きかったですね。小学校5年生というのは少年から大人になる、「僕はなぜここにいるんだろう」と思い始める重要な時でもあると思います。その時期にイエス・ノーがハッキリしている英語でものごとを考えていたのです。その影響か、はっきりと意見を言うので、日本社会では少しあつれきを感じる時もあります(笑)。
海外ボランティアの経験を生かし、小児歯科にも注力
海外でのボランティア活動について教えてください。

歯学部卒業後、横浜の歯科医院に勤務しながら、海外でボランティア活動を始めました。その活動を通して驚いたのは、口唇・口蓋裂の子どもが何人もいるということ。そのままでは言葉を発するのに障害があるので、日本では生後半年〜1歳半で手術をすることが多いですが、発展途上国ではほとんどの人が治療を受けられないのです。そこで一般的なボランティア活動を行う傍ら、「フィリピン口唇・口蓋裂手術プロジェクト」を立ち上げ、15年にわたり実行委員長を務めさせていただきました。2018年からこのプロジェクトは別の組織の主催になりましたが、現在でも主要メンバーとして当院の歯科衛生士とともに参加し、近年はラオスでも活動しています。
歯科医院の今後の展望もお聞かせください。
移転で来院しやすくなったので、お子さん連れや若い世代を対象に小児歯科や矯正、特にお子さんの咬合誘導、噛み合わせの改善に力を入れたいですね。将来的にできるだけ矯正に費用をかけずに済ませるためには、小さな頃、適切な時期に簡単な対処をしておくことも重要です。僕は会社員も経験していますので、できるだけ費用を抑えてしっかり治療をしたいですし、子育て世代の患者さんにもできるだけ負担がないようにしたいという気持ちが強いのです。そのためにも早めの診療が重要です。今は小学校の歯科検診でも歯並びのチェックをしているので、気づかなかった不正咬合を指摘されることもあると思います。お子さんの歯並びや噛み合わせについて気になることがあれば、いつでも相談してください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

主に親御さん向けですが、お子さんの治療を始めたら、特に矯正の場合は、途中で間隔を開けず、歯科医師の指示どおりに通院していただくことが大切です。最近のお子さんは部活や塾で忙しく、親御さんも忙しいとは思いますが、お子さんの将来を考えてきちんと通院してください。また、お口は消化管の入り口、健康の入り口ともいえる部分なので、必要な治療やケアを受けて大切にしてほしいのです。虫歯や歯周病は細菌感染で、家族にもうつりますから、患者さんご自身だけでなく、お子さんやパートナー、親御さんなど、ご家族のトータルな健康を考えていただきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/35万円~、歯列矯正(上下顎)/55万円~、小児矯正/35万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/55万~95万円、小児咬合誘導/3300円~、ジルコニアセラミッククラウン/5万5000円、ジルコニアセラミックインレー4万8000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。