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林 康子 院長の独自取材記事

やすこレディースクリニック

(横浜市都筑区/センター南駅)

最終更新日:2023/09/12

林康子院長 やすこレディースクリニック main

センター南駅から歩いて5分ほど。大通りに面したビルの2階に、開業20年目を迎える「やすこレディースクリニック」はある。やわらかなピンク色を基調とした優しい雰囲気の待合室や、患者同士が顔を合わせにくいように配慮された動線など、隅々まで心配りがなされた院内空間が印象的だ。院長の林康子先生は、日本産科婦人科学会認定の産婦人科専門医。気さくな語り口と明るい笑顔の中にも、芯の強さと婦人科医療に対する熱い思いを感じることができる。「女性たちにもっと自身の体のことを知ってほしい。適切な知識を身につけるためのアドバイザーのような立場でサポートしていければ」と語る林院長に、近年注力しているという子宮頸がん予防のワクチン接種やクリニックでの診療について、たっぷり話を聞いた。

(取材日2023年6月8日)

効率化したシステムで子宮頸がん予防に力を尽くす

子宮頸がん予防のワクチン接種に注力されているとか。

林康子院長 やすこレディースクリニック1

ご存じのとおり2023年4月から9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが公費での接種の対象となり、このタイミングを待っていたという方も含めて多くの方が接種されています。9価ワクチンではHPVのいくつかの型のうち9種の感染を防ぐことに役立ち、子宮頸がんの原因の80〜90%を占める7種類のHPV感染の予防が望めます。小学6年生から高校1年生の女性が対象ですが、副作用の報道が相次ぎ積極的な接種呼びかけが一時中止されていたことにより接種機会を逃した1997〜2005年生まれの女性を対象に、公費でのキャッチアップ接種や自費で2価・4価ワクチンを接種された方への返金も実施されています。

ワクチン接種についてさまざまな取り組みを行っているそうですね。

子宮頸がんを予防するためにワクチンはとても有用とされています。年間に約1万人が罹患する子宮頸がんは、がんの中では比較的若い世代に発症しやすく、ワクチン接種により予防することが図れるがんです。命を、そして将来に産む力を守るために今できることとしてワクチン接種を勧める当院では、接種前に必ず説明会に参加していただき、理解を深めていただくようにしています。毎月数回、日曜日などを利用して説明会を開催していますが、お父さまの参加も少なくなく、関心が広がっていることを感じます。男子への4価自費接種も行っていますよ。説明会や接種の予約は専用サイト経由で可能です。

休診日の説明会や専用サイト構築など、とても尽力されていますね。

林康子院長 やすこレディースクリニック2

少しでも多くの患者さんに対応したいという強い思いがあり、「どうしたらもっと多くの方に効率良く情報や治療を届けられる?」という問いから、こうした形となっています。おかげさまで多くの方にご来院いただいており、診療の質や提供する情報の量・密度は維持しながらも、少しでも待ち時間を短縮したいと試行錯誤を繰り返してきました。早くからインターネット予約のシステムを導入していることに加え、まだ一般的でなかった開院当初からウェブサイト経由で問診票をダウンロードできる仕組みを活用していますし、病気や治療についての情報を伝える動画などの資料も多数ご用意しています。生理周期を記録・共有できるアプリも導入しました。20年間、医師は私一人で診療していますが、とにかく患者さんを診るのが好きで、こうしたスムーズな診療をめざす仕組みを取るのも、もっと多くの患者さんを診たいという思いが根底にあるのですね。

女性たちの悩みに寄り添い、丁寧に原因を探る診療を

先生の診療ポリシーを教えてください。

林康子院長 やすこレディースクリニック3

とにかくじっくりと患者さんの話を聞いて、状態を把握することから始めます。産婦人科は他の科と違って、一見関係がなさそうな部分に病気の原因を探るヒントが潜んでいる可能性もあるのです。ですから、患者さんに「子宮が痛いです」と言われて、「はい、それではこの薬を」という単純な診察はしていません。薬の処方だけをしても、根本的な解決にはならないからです。大切なのは、なぜその症状が現れたのか原因を分析してあげること。例えば異常な出血がある場合、1ヵ月前の出来事が原因となっていることもあります。ご自宅で周囲を気にせずゆっくりご記入いただく詳しい問診票で得られた情報をもとに質問を重ね、顔色、体調や時期など、さまざまなヒントから答えを導き出すのです。時には時間がかかりすぎて他の患者さんにご迷惑をおかけすることもありますが、この姿勢は変えられません。

患者さんの悩みを聞く中で感じられることはありますか?

自分の体のことをあまりわかっていない患者さんが多いなと感じます。例えば、「ホルモンバランスのせいで体調が良くない」と受診されるケースが少なくないのですが、ホルモンをコントロールしているのは他でもない脳。このことを十分に理解していらっしゃらない方が多いのです。脳の働きに異常を来してホルモンバランスが崩れているのだから、食事を見直して適切な栄養摂取をめざすべきというお話をしても、受け入れられない方が多く見受けられます。ホルモンが人間の体に大きく影響することは確かですが、ホルモンだけでは説明できないこともたくさんあります。食事などの生活面を見直すことなくホルモン剤さえ使っていれば良いという考えは、改めるべきものだというのが先進の知見です。

セミナーなどにも積極的に参加していらっしゃるそうですね。

林康子院長 やすこレディースクリニック4

医師として、セミナーなどで得た新しい知見を、少しでも早く患者さんに共有することは大切なことだと考えています。そうした機会に感じるのは、病院で先端の医療に携わっている先生方が、一般の患者さんについてご存じないことも多いということです。多くの場合病院で診るのは器質的に問題が見つかり、手術などの治療が求められる患者さんですが、クリニック診療の現場には、器質的問題がなくても症状にお悩みで受診される方も多数いらっしゃいます。近年、過多月経が問題視されていますが、子宮筋腫などがなくても出血傾向の方はずっと以前から多く存在しているのです。そうしたお悩みを抱えた女性たちに丁寧に寄り添い、症状の原因を一つ一つ探ることこそ、こうしたクリニックの役割であると、改めて実感しています。

女性が適切な知識で身を守るためのサポーターをめざす

産婦人科の医師を志されたきっかけを教えてください。

林康子院長 やすこレディースクリニック5

ずっと周囲に理系女性が多い環境にいたので、医師になることに抵抗はありませんでした。研究の道に進む友人が多い中で医師の道に進んだのは、「人と接して答えを出す」ということが好きだったからです。研究もいずれ人を救うことはできるのかもしれませんが、私は「今目の前の人と話をして、今その人を助けてあげたい」と思ったのです。大学時代にいろいろな科を回りましたが、当時の産婦人科は、患者さんのプライバシーには配慮が足りないし、じっくり悩みを聞く環境も整っていませんでした。女性特有の悩みに対しての理解もありませんでしたしね。そういった現実を見た時に、「この状況を何とか改善したい」と思ったのです。

休日の気分転換方法は?

新型コロナウイルス感染症への対応が求められた近年では、休日というものはほとんどなく、2020年は都内の自宅に帰ることもままなりませんでした。近くに部屋を借りて365日体制を取ってきましたが、体も心も追い込まれていてほとんど記憶がありません。そんな中、唯一の支えになってくれたのが、愛犬であるチワワの「チェリー」の存在。親や友人にも一切会うことなくクリニックでの診療に集中してきましたから、久しぶりに会った友人につい「チェリー」と呼びかけてしまったほどです(笑)。近頃では双眼鏡を買って月を見たり、自宅のベランダに営巣したヒヨドリの子育てを見守ったり、ようやく少し余裕が出てきたでしょうか。上を向いて歩くことが増えた気がしています。

最後に一言メッセージをお願いします。

林康子院長 やすこレディースクリニック6

女性たちには体に対する適切な情報を得てほしいですし、女の子の親御さんにはご自身の時代とは大きく異なる現在の婦人科医療の常識を知っていただきたいと思います。増加している子宮頸がんの予防に努めることはもちろんですが、生理の痛みも我慢する時代ではありません。10代から生理に適切に向き合うことも、今や当たり前になりつつあります。断片的な情報で思い込むことなく、知識で身を守ってください。

自由診療費用の目安

自由診療とは

子宮頸がん検診/7000円
低用量ピル/1ヵ月2750円(自費)※別途診察料がかかります。

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