水野 恭一 院長、水野 将徳 副院長の独自取材記事
水野クリニック
(横浜市都筑区/東山田駅)
最終更新日:2024/07/12

グリーンライン東山田駅から徒歩約11分の場所にある「水野クリニック」。敷地内には30台分の駐車場が用意され、センター北駅から循環送迎バスを利用することもできる。1981年の開業以来、水野恭一院長は土日診療を続け、地域のかかりつけ医として乳幼児から高齢者まで診ることを信条としてきた。2014年からは息子の水野将徳先生が副院長として加わり、小児科や内科で研鑽を積んできた経験を生まれ育った地域に還元している。介護老人保健施設や病児保育室の運営にも情熱を注いできた院長と副院長に、クリニックの特徴や地域貢献への思いを語ってもらった。
(取材日2024年5月8日)
小児科がなかった時代から地域医療を支える
クリニックと先生方の歩みについて聞かせてください。

【水野院長】1981年に当院は内科・小児科としてスタートしました。当時、このエリアはニュータウンが造成中だったものの、田んぼや畑ばかりで、まだ日本の原風景が多く残っている状態でした。近隣には小児科がなく、開発が進んで住民が増えるにつれて、大人も子どもも通えるかかりつけ医が必要になることは明らかだと考え、当院を開業しました。
【将徳副院長】私が2歳の時に開業した当時から、父は土日も診療をしていました。ゆっくり遊んでもらった記憶はほとんどなく、ずっとクリニックの駐車場で暇をつぶしていましたね。大学卒業後は小児循環器や内科の病院で幅広く経験を積み、最終的に水野クリニックに戻ってきたのは、いつでも地域医療に貢献することを第一に考えて働く父の姿に、憧れの気持ちを抱いていたからだと思います。
クリニックの特徴を教えてください。
【水野院長】休日診療所がない時代から土日も診療することで、赤ちゃんからお年寄りまでとにかく幅広い患者さんに寄り添ってきたことが特徴だと思います。また、エックス線検査や心臓の超音波検査、肺機能検査、動脈硬化検査、骨粗しょう症検査など多様な検査に対応していることも特徴です。患者さんの症状に応じて、必要であれば専門病院を紹介できる体制を整えています。
【将徳副院長】新型コロナウイルス感染症流行下においても、発熱患者さんを診ないという選択肢は初めからありませんでした。現在の医療は細分化される傾向にありますが、私も父と同じように万人に向き合える医師になることをめざしています。長年在籍した聖マリアンナ医科大学小児科を離れた後は、済生会横浜市東部病院総合診療科での診療を通じて、内科領域を中心に皮膚科、整形外科、泌尿器科などプライマリケアに必要な知識と技術を学びました。
診察ではどのようなことを心がけていますか?

【将徳副院長】「病気を治療するのではなく、患者さんを治療する」ことを肝に銘じています。これも父が大事にしてきたことと同じですが、やはり患者さんの話をしっかり聞くことが大切。単純な風邪で受診したように見えても、その背景は十人十色です。直近に行事、試験、会議などの大事な予定があるかもしれませんし、「大丈夫なら保育園に預けたい」「大きな病気でないことを知って安心したい」など、求めている医療もかけてほしい言葉も違います。それらをうまくくみ取って診療を終え、患者さんが安心して笑顔を見せてくださる瞬間は、本当にうれしいです。また、特に高齢の患者さんの場合は、病気は患者さん個人ではなく、ご家族も含めての問題となります。教科書的な治療を押しつけるのではなく、その家族がどうなったら一番幸せになるのか、地域のサポート体制も巻き込んでマネジメントすることが大切と考えています。
「最後まで患者に寄り添う」環境づくりに尽力
1996年に設立された医療法人活人会内での連携について教えてください。

【将徳副院長】内科・小児科を手がける当院を母体とする医療法人活人会では、介護老人保健施設、グループホーム、訪問リハビリテーション、病児保育施設を備え、当院と連携することで、赤ちゃんから高齢者までサポートする体制を整えています。例えば当院に通院していた患者さんが高齢になったら、訪問リハビリテーションと連携します。さらに日常生活レベルが低下してしまった場合は、介護老人保健施設とともにサポートします。認知症が進行したらグループホームに入所しながら当院の診療を受ける選択肢も用意しています。また働く保護者を支援するため病児保育室を開設しました。このように法人全体で連携して、患者さんが生き生きと生活できることをめざす取り組みを続けてきました。そしてその活動の中心に当院があるのです。
多忙な日々の中で、恭一院長が医療法人を立ち上げた背景とは?
【水野院長】2000年頃、私は横浜市医師会で介護福祉を担当し、高齢者の方々が安心して暮せるような地域包括ケアシステムの構築に力を注いできました。そして、同じ時期にクリニックに隣接する土地が空いたため、医療法人を立ち上げ、さまざまな施設を開くことになったのです。当初は介護老人保健施設だけを開く予定でしたが、待機児童の問題に感心が高まっていたため、保育園とご高齢の方の施設を同じ敷地内で建てることになりました。結果的に、子どもの声が聞こえることはご高齢の方にもポジティブな影響を与えることもあり、予想外の相乗効果を生み出しています。
地域医療の発展に尽力する情熱の源をお聞かせください。

【水野院長】私の座右の銘は「利は義の和なり」。医療は個人の利益を求めると失敗します。これまでクリニックを続けることができたのは、たくさんの患者さんが通い続けてくださったおかげです。だからこそ、利益が出た際には駐車場の面積を広げるための資金に回すなど、患者さんにメリットがある環境をつくることを優先してきました。これからも自分が医師として正しいと思う行いを追求したいと思っています。
【将徳副院長】自身の生活にも多く関わってきた水野クリニックですが、生まれ育った都筑区に貢献したい、そんな想いから日々の診療に限らず地域の皆さまと密接に関われるような取り組みを行っております。父の背中、温かい地域の皆さまを見て育ったことでこの地域に貢献したいという想いが自然と自分の中に芽生えてきました。これからも今後移り変わる地域からのニーズに応え、成長していきたいと考えています。
近隣住民のメリットを追い求ることが使命
毎年、地域住民と交流を深めるための活動を主催しているそうですね。

【水野院長】当院は医療・介護にとどまらない働きかけを行っています。コロナ禍は交流を控えていましたが、2024年から再開し始めました。毎年、子どももお年寄りも楽しめるようなイベントを計画しています。
【将徳副院長】地域の方々が気軽に交流できるような活動もしていきたいと考えております。病院に苦手意識を持っている方々も、クリニックのことを身近に感じていただけたらうれしいですね。
今後の展望についてお聞かせください。
【将徳副院長】昨今、医療のIT化は国を上げての政策となっています。水野クリニックでも以前から電子カルテを導入し、最近ではホームページのリニューアルやメッセージアプリケーションを通じての情報発信も行っています。診療システムに関しても、現在の「来院して順番が来るまで待つ」というシステムはわかりやすいですが、新型コロナウイルス感染症の流行後の時代に合わせた対応が必要だと考えています。子育て世代の若いご両親からご高齢の患者さんまで、便利に利用できる診療システムを構築していかなければならないと感じています。同時に、スタッフにとって充実感が得られるような仕事環境を提供し、全員で前を向いて地域に貢献していきたいと思っています。
読者へ向けてのメッセージをお願いします。

【水野院長】今までと変わらず、地域に密着したクリニックとして、お子さんからご高齢の方まで、幅広く診察していくことが基本姿勢です。将来的には副院長に外来診療を任せて、私は老人保健施設や患者さんのご自宅への訪問診療を中心に行いたいと考えています。長年通ってくださっている患者さんや、頼ってくださる地域の方を最期まで診るのが、私たちの役割だと思っています。どんな症状でも、お体に関して心配なことがありましたらお気軽に相談してください。
【将徳副院長】水野クリニックは、地域の皆さまに支えられてこれまで診療を続けることができました。今後、時代に合わせて院内の設備やシステムを変えていかなければいけない部分も出てくると思いますが、水野クリニックらしく「患者さんのためになるか」という視点を大切にしていきたいです。