秋山 兼範 院長の独自取材記事
秋山歯科医院
(佐賀市/佐賀駅)
最終更新日:2026/07/31
約100年、親子3代にわたって佐賀の歯科医療を支えている「秋山歯科医院」。開業は1931年で、2021年からは3代目の秋山兼範(あきやま・とものり)院長が診療のかじを取っている。同院最大の特徴は、科学的根拠に基づく予防プログラム「MTM(メディカルトリートメントモデル)」を診療の柱に据えていること。問題が起きてから行う後手後手の治療ではなく、そもそも歯が悪くならない環境をつくり出すための予防歯科を実践している。「予防と治療は両輪」と語り、インプラントや矯正を含む幅広い領域で研鑽を怠らない秋山院長。「医療はまずは真心、技術はそっとさりげなく」というポリシーを胸に、患者一人ひとりと誠実に向き合う姿が印象な秋山院長に、予防歯科への思いや今後の展望について話を聞いた。
(取材日2026年7月16日)
予防を軸にした診療で歯を守り、笑顔で過ごせる人生を
まずはクリニックの歩みについてお聞かせください。

当院は1931年に祖父が開業した歯科医院で、私で3代目になります。もともとは佐賀市の街中にクリニックを構えていたのですが、約30年前に父が現在の場所への移転を決断しました。当時は周囲が田んぼばかりな場所だった分、環境は大きく変わりましたが、地道に新たな信頼関係を築いてまいりました。私自身は福岡歯科大学を卒業後に当時の佐賀医科大学(現・佐賀大学)病院歯科口腔外科に入り、一般の歯科医院では対応が難しい親知らずの抜歯や口腔内腫瘍の処置、骨折、インプラント手術など多様な症例の経験を積ませて頂きました。その後大学院に進み博士課程を卒業、当院に戻ってもう十数年になります。先代の頃から通い続けてくださっている患者さんも多く、5年後にはいよいよ開業100周年を迎えます。
診療室はすべて個室になっていますね。約30年前の移転当時は珍しかったのでは?
そうですね。父が新婚旅行でアラスカを訪れた際、現地の歯科のクリニックがすべて個室だったことに感銘を受け、移転を機にそれを実現したそうです。私が帰郷してから診療室を1室、オペ室を1室加え、現在は全5室の個室体制です。ゆったりとした空間で、周りを気にせず落ち着いて治療を受けていただけると思います。設備面では歯科用CTやマイクロスコープ、口腔内スキャナーなど、より精度の高い診療に役立つ機器を毎年少しずつ導入しています。また、院内には母が手がけたアーティフィシャルフラワーをあちこちに飾っていて、少しでもホッとできる雰囲気になればと思っています。
診療面では、そもそも歯が悪くならないようにする「予防」に注力されているそうですね。

当院では「MTM」というメディカルトリートメントモデルに基づき、科学的根拠のある検査と予防プログラムを柱にした診療体制を構築しています。虫歯も歯周病も、「治療して治った」とは実は言えません。風邪が治るのとはまったく意味が違って、あくまでも修理に過ぎない。どんなに素晴らしい治療をしようとも、本来の自分の歯に元どおり、にはならないんですよ。削って詰めて、また再発して、さらに大きく削ってを繰り返すと、いずれ抜歯になってしまいます。この負のサイクルは一方通行で、絶対に戻ることはありません。大切なのは、そもそもなぜそこが虫歯になったのかという原因にまで目を向けること。問題が起きてからの後手後手の治療ではなく、予防を軸にした診療が欠かせないと考えています。
患者とともに予防・治療を進めていくことが大事
具体的にはどのような流れで診療を進めるのですか。

まず初診時に、口腔内写真の撮影やエックス線撮影、虫歯・歯周病の検査、そして唾液検査を徹底して行います。その後、検査結果をもとに一人ひとりに合った予防・治療計画をわかりやすくご説明し、なぜ虫歯、歯周病が起きるのかという知識もお話しします。必要に応じて応急処置を行い、そこから担当の歯科衛生士とともに、目標値を決めて良いホームケア習慣を作り上げていきます。その習慣が身についた上で初めて必要に応じた治療に介入します。治療後は口の中の再評価を行い、治療結果の確認と今後の注意点を共有。定期メンテナンスを続けていく流れになります。当院へ来ていただいた以上、ご自身の歯を守るための正しい知識をできるだけ知っていただきたいため、丁寧な説明、数値化などさまざまな工夫を行っています。
患者さん自身での取り組みも大切になってくるんですね。
そうですね。患者さんが歯科医院に3ヵ月に1度定期的に訪れていたとしても、それは1年のうちたった4日間、1%の日数でしかないんです。残りの99%は日々のホームケアに委ねられるため、だからこそ、日々の正しいケアを行うことがとても大切なんです。例えば、フッ素の使い方一つとっても、市販の歯磨き粉にもフッ素が含まれていますが、すぐにすすいでしまってはもったいない。毎日歯磨きを丁寧に行っていても、虫歯、歯周病になる原因がどこかに潜んでいたりします。そのため当院では、正しいホームケアの方法とともに、一人ひとりのリスクに合わせた予防プログラムを組むことを大切にしています。こうした取り組みの積み重ねもあってか、当院に通っていただく中で、口腔内に関する正しい知識を持っていただける方が増えてきていると感じています。
治療が必要な場合には、どのように対応されていますか。

予防と治療は両輪だと思っています。予防に力を入れる一方で、治療の質も常に追求し続けなければなりません。虫歯や歯周病の治療はもちろん、セラミック治療、入れ歯、インプラント、マウスピース型装置を用いた矯正まで、幅広い分野で研鑽を重ねています。もちろん、当院だけで難しいケースは専門の先生と連携を取りながら対応させていただいてます。患者さんにとって何がベストか、という視点で見極めることが大切ですね。また、治療の選択肢はあくまでメニューとしてご提案するもので、最終的に選ぶのは患者さんご自身です。ご自分の口の中のことですから、一緒に考えていただきたい。どんな治療方法、どんな材料を使えば理想に近づけるのかまで考え、保険の枠にとらわれない提案も行っています。
「医療はまずは真心」。開業100年のその先へ
患者さんと接する上で、心がけていることはありますか。

「医療はまずは真心、技術はあくまでそっとさりげなく」。先輩から頂いたこの言葉を、ずっと大切にしています。口の中はとても敏感な場所で、タッチ一つで患者さんには伝わるんですよね。美容院で髪を触られるときと同じで、丁寧に向き合ってもらえているかどうかは自然と感じ取れるものです。だからこそ、触れる以上はその繊細さへの意識を忘れないようにしています。時代とともに求められるものは変わりますが、祖父や父の職人気質な、技術を磨き続ける姿勢は受け継ぎつつ、私はいつ来ても温かくホッとできる、けれど皆さんの健康のためにちょっとだけお節介なクリニックをめざしたいと思っています。
もうすぐ開業100周年を迎えられますね。
100年続くということは、私一人の力では到底成し得ないことです。ずっと支持してくださっている患者さんがいるからこそ続けてこられたのだと、その感謝は決して忘れたくありません。今取り組んでいるMTMの仕組みには確かな手応えを感じていますので、今後もこの考え方をもっと広めていきたいと思っています。具体的には、100周年を迎える5年後に向けて体制を整えていく計画です。歯科医師やスタッフの増員を進め、患者さん一人ひとりにより丁寧に向き合える環境をつくりたい。建物も移転から約30年がたちましたので、間取りの見直しや内装のリフレッシュなど、大きな改装も考えています。歴史を大切にしながらも、次の時代に合った形へと進化させていくつもりです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

一言で申し上げるなら、「ご自分の歯を本気で守りたい方のお手伝いをしたい」ということに尽きます。生涯ご自分の歯でおいしく食べ続けるためには、問題が起きてからではなく、起きる前から予防に一緒に取り組んでいくことが大切です。検査やホームケアの指導など、最初は少し手間に感じられるかもしれませんが、その一つ一つの積み重ねこそが、将来の歯を守る大きな力になると信じています。私たちは治療の選択肢を押しつけるのではなく、患者さんと同じ方向を向いて一緒に歩んでいきたいと考えています。予防にも治療にも本気で向き合い、皆さんの歯を守るために全力を尽くしてまいります。ご自身の歯を大切にしたいという思いがある方にとって、当院がその力になれれば幸いです。
自由診療費用の目安
自由診療とは唾液検査/6000円~、セラミック治療/3万8500円~、インプラント治療/38万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/77万円~

