平沼一良院長の独自取材記事

平沼歯科クリニック

(川崎市宮前区／宮前平駅)

最終更新日：2023/11/13

1983年の開業以来、多くの患者が訪れる「平沼歯科クリニック」。患者一人ひとりに最適な治療を提供することをめざす平沼一良院長の専門性の高い技術、幅広い知識が特徴だ。成人総合歯科診療に特化し、「切らない歯周病治療」「骨から造るインプラント治療」「1回で完了をめざす虫歯治療」を3本柱に難症例にも数多く対応する。また平沼院長は、診療においてエックス線写真やCT画像などを用いた「見える化」を徹底。患者と情報共有することで、治療に対する理解と協力を得ている。歯と全身の関係、自然治癒力を促すための栄養指導など、多方面の知識とアプローチを取り入れながら治療に臨み、後進の育成にも取り組む。そんな平沼院長に、診療方針やさまざまな治療の特徴、歯科医師としての思いを聞いた。

（取材日2023年6月20日）

成人総合診療に特化して、専門性の高い治療の提供を
歯周病治療、インプラント、白い歯をめざす治療に注力
栄養のアドバイスも行い自然治癒力を促すアプローチを

成人総合診療に特化して、専門性の高い治療の提供を

こちらは大人の歯科治療に特化しているそうですね。

そうです。開業当初はお子さんの診療にも対応していましたが、大人の難しい症例が多いことから成人の総合的かつ専門的な診療が必要だと考えて、集中して治療に取り組める環境や、説明やカウンセリングの時間の確保など、成人に特化した診療体制をスタートさせました。その後、「切らない歯周病治療」「骨から造るインプラント治療」を中心に診療を行い、「抜かない歯列矯正」にも力を入れてきましたが、患者さんのニーズの変化に応えて、最近は「抜かない歯列矯正」ではなく、「1回で完了をめざす虫歯治療」に力を入れて、当院の診療の3本柱としています。

カウンセリングや説明にも力を入れていると聞きました。

10年以上前から「治療の見える化」を実践しています。治療前の状態の説明、治療中の現状、そして治療後、術後の仕上がりすべてを記録し、CT画像や写真を患者さんと確認しながら治療を進めます。各診療台にモニターなどのシステムを整備して、その日1日の治療に関しても術前、術中、術後の写真を撮り、一本一本の歯の現状、治療歴などがわかる写真、エックス線写真などがすぐに見られるようにしています。「百聞は一見にしかず」というように、「見える化」することで患者さんの理解、協力が得られやすく、安心感を持って治療に取り組んでいただけると考えています。

先生の診療方針について聞かせてください。

「歯を残すこと」「神経を残すこと」と、自然治癒力を生かせるような歯科診療を基本としています。そして、初診時のカウンセリングでは、1時間ほどかけて患者さんの悩みや希望を伺った上で、こちらでできる治療法を複数ご提案し、十分に理解し納得していただいてから治療を進めていきます。そして「見える化」によって患者さんにも治療をよく理解して、進んで協力していただけることをめざしています。また安心して治療を受けていただける環境づくりにも留意して、開業当初から感染症対策は徹底しており、「水消毒システム」も導入しました。治療用ユニットのうがい水、歯を削るタービンの水、歯垢除去の超音波スケーラーの水など、院内の水はウイルスや菌を不活化した水を使っています。

歯周病治療、インプラント、白い歯をめざす治療に注力

こちらの歯周病治療について聞かせてください。

歯周病治療では、約20年前から、予防にも役立つ「高周波通電治療」をレーザー治療と組み合わせて行っています。歯周ポケットの深いところに入っていこうとする高周波の性質を生かし、歯周ポケットに入れたチップに通電させることで、薬剤では取れない細菌にアプローチします。薬剤を使った治療も広まっていますが、患者さんの体に粘膜から吸収されることが避けられない以上、個人的には薬剤を使うことには抵抗があります。高周波通電治療は薬剤を使用しませんし、1回あたり15〜20分程度で済みます。歯周病は生活習慣病であり、慢性疾患ですから、定期的なメンテナンスが重要で、それもブラッシング指導だけではなく、積極的な予防が必要なのです。当院の患者さんは、それを実感されているようで、熱心にメンテナンスに来られますね。

インプラント治療でも専門的な取り組みをされているそうですね。

私は、安心で安全なインプラント治療、患者さんに満足していただけるインプラント治療を30年以上にわたって追求してきました。例えば、当院の歯科用CTは、顔面、頭部、頸椎までフルフェイスで撮影できるため、骨の形状や骨密度を含めて精密な診断が可能です。また歯周病で骨が痩せてしまった方には、骨造成などを行います。インプラントと骨が確実に結合したかどうかをエックス線撮影だけでなく、強度を数値化して確認するテストを行うなど、すべてにおいて質の高い治療を心がけています。

虫歯治療についても教えてください。

神経までは進行していない虫歯の治療に関しては、口腔内スキャナーで型採りをして、CAD／CAMシステムで精度の高い補綴物を作成することに努めています。最短1回で白い歯をめざすことも可能ですので、特に前歯は女性の患者さんを中心にニーズが高いですね。ただし、虫歯や口腔内の状態によっては、2回以上に分けて治療を行う必要がある場合もあります。進行してしまった虫歯に対しても、いろいろな治療の選択肢をご用意していますので、ぜひご相談いただきたいですね。

専門的な立場から、気になることなどがありますか。

最近は、ネット情報などで、多くの方が「頭でっかち」になっているのではないかと思っています。例えば、インプラント治療で切開しないフラップレスという治療方法を希望される方が多いのですが、骨の細い人やもろい人では、インプラントが周囲の粘膜に触れて痛みを生じる恐れがあります。また、抜歯して即時のインプラント治療を望まれる方もおられますが、事故で折れたケースなどならともかく、歯周病で炎症を起こしているような場合は即時の治療はできないのです。口腔内の状態や衛生環境などご自分の立ち位置を知っていただきたいと感じています。ネット社会の中だからこそ、信頼できる専門家を見つけて相談していただきたいですし、私たちも、患者さんの立場になった情報を提供していかなければならないと思っています。

栄養のアドバイスも行い自然治癒力を促すアプローチを

先生が歯科医師を志したきっかけなども教えてください。

歯科医師だった父の後を追うように歯学部に進学して、中でも病理解剖に興味を持ち、大学院では生理学を学び、当時の教授の専門であった皮膚のつぼや鍼まで学びました。さらには歯科と関連の深い骨格について学びたいと、カイロプラクティックの専門学校の門をたたいたこともあります。そうした数多くの学びの中で、栄養状態を整えることから自然治癒力を促すという考え方に出合い、栄養学全般を深く学びました。私自身、幼少期は病弱で喘息やアレルギー体質にも悩まされていましたし、人間に本来備わっている自然治癒力を重視して、患者さんの持つ自然治癒力を促す姿勢を大切にし、真の意味で患者さんのためになる治療とは何かを追求してきました。

栄養状態を整えることを重視されているのですね。

そうです。例えば、食生活が乱れていて栄養バランスの悪い方は、インプラントと骨が結合しにくい傾向があるので、適切なサプリメントをお勧めします。というのも、食生活や食習慣は長年続けてこられたものですから、甘い物や脂っこい物をやめる、禁酒するといった「禁止食」は実際には難しいものなのです。しかし、サプリメントや食物繊維などをプラスすることは、比較的容易なので、禁止するのではなく前向きなアドバイスを心がけています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院には80歳でインプラント治療を希望される患者さんも珍しくありません。そうした方は心身ともにお元気で前向きです。人生100年時代と言われる中で、高齢になっても健康を大切にしたい、しっかり自分で噛んで最後までおいしく食べたいという皆さんの希望をかなえることが私の役割だと考えています。先を考えた高度な歯科治療を提供することはもちろん、今まで学んできたことや経験を後進の先生方にも伝えて、より多くの患者さんに還元していきたいと考えています。これからも本当の意味で、患者さんのためになる治療をご提供していきたいと思いますので、まずは気軽に相談にいらしてください。