吉田 宏 院長の独自取材記事
吉田歯科医院
(八尾市/近鉄八尾駅)
最終更新日:2026/07/21
近鉄八尾駅から南東へ7分ほど歩くと、落ち着いた雰囲気の住宅街が広がる。その一角にあるのが「吉田歯科医院」だ。八尾で育ち同院で30年以上診療を続けてきた吉田宏院長は、初診時には患者の口腔内の状況を確認し説明、次回までに治療計画を立て患者と相談し、応急処置以外の治療は3回目以降になる。治療に入れば「抜かない・削らない・触らない」がモットー。痛みを極力抑えた治療を心がけるほか、治療を怖がる子どもたちに、あの手この手でアプローチして心をつなぐ。一般的な歯科医院のイメージとは大きく異なることから、「歯科医院は苦手」という老若男女が、遠方からも足を運ぶ。取材では、こだわりの治療を支える技術や、吉田院長が理想とする診療について語ってもらった。
(取材日2018年6月7日)
情報収集と説明が歯科治療の基本
開業から四半世紀、これまでの歩みを教えてください。

大学卒業後、大阪市内の歯科医院で5年ほど勤務していました。自費での診療を受ける大人の患者さんが大半でしたから、先進の技術を用いつつ時間をかけて行う治療を学ぶことができましたね。また、時折来る子どもの患者さんは、若かった僕がほぼ担当することに。この時期にお子さんとの接し方を身につけられたと思います。開業にあたっては、僕の治療を受けたいと望む患者さんをじっくりと診たかったこと、また、生まれ育った地元に貢献したいという思いもあり、自宅の駐車場を改装して開院しました。周囲は完全な住宅地ですので、いわゆる「隠れ家」のような歯科医院かもしれませんね(笑)。
診療の流れを教えてください。
初診時には、患者さんにお話を聞いてから、お口の中を見せてもらったりエックス線など画像撮影をした上で、今のお口の中の状況を患者さんに丁寧に説明させてもらいます。2回目までに治療計画を作成し、その治療計画をもとに今後の治療方針を患者さんと相談して、患者さんが納得し治療することが決まれば、3回目からようやく実際の治療に入ることに。だから、応急処置を除けばいきなり歯を削るようなことはほぼないですね。話をする時間が長く、なかなか治療を始めないなど、普通の歯科治療のイメージとはかなり違うので、患者さんは驚くでしょうね。ですが、情報収集と情報提供、これだけでも十分な治療になり得るのです。
なぜ、情報収集と説明だけでも治療になるのですか。

例えば、当院ではごく小さな虫歯なら削る治療はしないこともあります。というのは、患者さんに「小さな虫歯ができていますよ、歯ブラシがきちんと届いていなかったんですね」とお伝えすると、「最近歯磨きが不十分でした」とか「今の歯ブラシが使いにくいんです」などと理由が見えてくる。もし、そのまま虫歯を放置すればもちろん悪化しますが、虫歯の存在を知った患者さんが歯磨きを改善すれば、進行を食い止めることはできますよね。ごく小さな虫歯なら、それでも良いのです。生まれ持った歯は、削ってしまえば二度と元には戻りません。また、治療をした箇所が再度悪くなることもあります。僕は生来の歯を大事にしたいので、特に初回の治療は最小限にしたいですし、なるべくなら歯を削りたくない。僕から必要な情報を得た患者さんの行動、今の例であれば歯磨きが変われば、それが適切な治療になるといえますからね。
生まれ持った歯を大切に、痛みの少ない治療を提供
実際に歯に触れる治療では、どのようなことを心がけていますか。

できるだけ痛みの少ない治療、そして「抜かない・削らない・触らない」治療をめざしています。治療の際、歯科医師は器具を持った指や手首を動かすイメージがあるのではないでしょうか。しかし僕は器具を手で動かすのでなく、指の圧力の変化でごくわずかに動かすので、患者さんには、歯に何か押しつけられているような感覚はないでしょう。「何か当たっているような気がする」ぐらいで、ガリガリ削るなんてもってのほかです。特殊な機械や麻酔を使うのではなく、繊細な動きで歯に最低限の処置を行って、痛みを感じさせにくくするのが当院の治療です。また、麻酔は「注射する」ではなく「ちょっとしびれる」、抜歯も「歯を取る」と言い換えて、患者さんの恐怖心を高めないようにしています。
では、義歯や歯列矯正はどのような方針で実施されていますか。
昔から矯正治療は得意にしているので、今も多くのご相談があります。子どもの矯正では、歯を抜くことをできるだけ避けています。顎が小さいために歯並びが悪くなっている子の歯を抜いてしまうと、顎はさらに小さくなってしまう。すると、大人になってから肩凝りなどの不定愁訴が生じる可能性もあるかもしれません。顎の正しい成長を促すことができれば、歯を抜かなくても歯並びは整えられます。同時に、矯正と合わせて萎縮している顎を育成したり、舌の位置のトレーニングも行い、正しい位置に導きます。また義歯については、義歯の研究会で、金属部分や床の少ない部分入れ歯の開発に関わってきました。非常に繊細にできているので、ピタッとはめることができますし、審美的にもこだわり、残っている歯への負担も少ない義歯です。どのような治療でも、生まれ持った歯を大事にし、患者さんの負担の少ない治療を心がけています。
歯科治療が苦手なお子さんは、なかなか治療させてくれないこともあると聞きます。

確かに、過去に歯科医院で嫌な思いをした子や警戒心の強い子は、チェアに座らない、口を開けてくれない。ただ当院では、口の中をいきなり見ることはありません。まず診療台のないブースに案内して、お話をしながら口の中を観察します。また、チェアに座れても口が開けられないお子さんとは、飴を食べるごっこ遊びなどをしながら楽しい雰囲気をつくり、口が開けられるようにしていきます。そして短時間で痛みのない治療をするので、治療を怖がることもなく、次回からは喜んで来てくれるでしょう。スタッフも子どもの心をつかむトレーニングをしていますから、診察室のあちこちで歓声や笑顔が見られます。また、その様子をそばで感じている他の子たちは、「早く僕もあそこに座りたい」と目を輝かせる。少しでも治療ができれば褒め、成功体験を繰り返しながら、本格的な治療も受けられるようにしていきます。
「自分の口の中を自分でメンテナンスできる」ように
できるだけ削らない治療、痛みのない治療を大事にされるのはなぜですか。

そうですね、僕自身が触られたくないからじゃないかな(笑)。自分がされたくないことは、人にもしたくないですからね。歯科では、歯を削ったり何かをかぶせたりすることが治療だと思いがちですが、僕らの本当の仕事は「患者さんが自分の口の中を自分でメンテナンスできるようにすること」だと考えています。生まれ持った歯は非常に貴重ですし、安易に削って詰めてしまうと、患者さんの歯のケアに対する意識を弱めてしまう気がします。だから、介入度の少ない治療法を選びたいですし、ご自身でお手入れできないような複雑なものは、できるだけ口の中には入れたくないですね。
地元での診療を続けていますが、地域との関わりを実感されることはありますか。
僕はスポーツが好きで、大学時代はバドミントン部に入り、本格的なトレーニングも積んできました。勝負のスリルが楽しいですね。現在も、週末には近隣の小・中学校へ指導に行っています。また歯科医師会の先生方とテニスをしたり、週に1回はスイミングスクールで泳いだりと、体を酷使しつつ楽しんでいます。スポーツを通じた交友関係でも、歯の話題で盛り上がったり、相談を受ける機会が多いんですよ。だから、折にふれて生来の歯の大事さや、歯並びと全身の健康との関係などについて、お話ししています。僕の周りの方は、歯に対する意識がかなり高くなっていると思いますよ。今後も院外で積極的に、口の中の衛生管理を通して、身体全体の健康について伝えていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「治療が怖くて歯科医院に長い間行っていない」という大人も少なくないと思います。当院では、まず今の自分のお口の中の状態を知っていただきます。ご自身の生活についてもお話ししていただきます。食べることは一番の幸せですので、今後も食事の取り方や口の中のケアの仕方など、かかりつけ医として健康にまつわることを伝えていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/15万円~、金属や床の少ない部分入れ歯/15万円~

