全国のドクター8,992人の想いを取材
クリニック・病院 161,454件の情報を掲載(2020年2月24日現在)

  1. TOP
  2. 大阪府
  3. 枚方市
  4. 長尾駅
  5. 多田歯科医院
  6. 多田 一雄 院長

多田 一雄 院長の独自取材記事

多田歯科医院

(枚方市/長尾駅)

最終更新日:2019/08/28

104697 %e5%a4%9a%e7%94%b0%e6%ad%af%e7%a7%91%e5%8c%bb%e9%99%a2

JR学研都市線・長尾駅前の「多田歯科医院」は、同地に移転開業して約20年となる老舗のクリニック。常に自然体で患者に接する多田一雄院長は、開業当初から保険治療をベースに、患者にとって最良の治療を提供することをモットーにしている。長年、歯科医師として多くの経験を積み重ねながら、今もなお新たな知識・技術を積極的に取り入れ地域の人々の口の健康を守り続けている多田院長に、クリニックの特徴や診療にあたり大切にしている点、力を入れている虫歯・歯周病予防などについて話を聞いた。
(取材日2018年4月17日)

保険治療をベースに、患者にとって最良の治療をめざす

歯科医師になられて約40年、この地で開業されて20年と伺いました。

20180502 1

1979年に大阪大学歯学部を卒業後の勤務医時代、勤めた先の院長はとてもいい方で、さまざまな経験を積ませていただきました。しかし院長は経営者としての顔を併せ持ちますから、保険点数の上積みや自費診療の推奨による“利益”も重要になってきます。ある種の“営業”が求められるため、それが性格的に向いていない私は精神的につらかったのです。もともとやるからには勤務医よりも開業医に、と考えていたこともあって、1984年に枚方市伊加賀寿町で開業しました。そして1998年、建物の老朽化に伴い、現在の長尾元町に移転したんです。移転から20年でこの辺りも大きく変わり、当時30代~60代くらいだった患者層は、現在は50代~80代。小中学生だったお子さんたちも社会人になって来てくれています。

現在も思いはそのまま、保険内での治療にこだわっているのですか?

患者さんに本当に納得してもらえる治療を提供できるかはわかりませんが、やれるだけの治療は行っています。これは私の個人的な考え方ですが、お金のことだけを考えてしまうとその場しのぎの話をしてしまうんじゃないかと思うのです。私は「前も同じこと言ってました」と患者さんからよく言われるんですが、何年も前に言ったことはカルテにでも書いていない限り覚えていないですよね。同じ患者さんであっても違う患者さんであっても、“一つの視点”で接することができているから「同じこと」を言っているのかなと思います。しかし、それがどの先生でも当然にできることかと言ったら難しいのは事実。私の場合は開業して長年経過し息子も自立していますので、そこまで利益を追求しなくてもいい。歯科医院が少なかった頃に開業できたことも、時代に恵まれていたなと感謝しています。

患者さんと接する際に大切にしていることは何ですか?

2

ケースによって違いはありますが、その患者さんの口の中の健康を考えれば、何をすべきかはおのずと決まってきます。その線を外さないことを前提に、患者さんの話をよく聞き、その主訴をきちんとマネジメントする。その一回で終わることもありますが、患者さんの状態によっては、ある程度まで治療が進み多少なりとも信頼関係ができた時に、今こういう状態だからこうしたらいいのではないかという提案はしますね。特に丁寧に診療しているのは義歯と、かぶせ物や詰め物を装着する時の噛み合わせの調整です。義歯は装着時の調整が不十分ですと、のちに痛みが出てくるケースが多いので、極力痛みを出さないようにするためにはかなり精度の高い調整が必要となります。またかぶせものや詰め物も同様に、調整が不十分ですと後々に症状がでてきたり噛み合わせのバランスが悪くなったりしますので、それらを回避するために時間をかけて丁寧に診療しています。

虫歯・歯周病予防に注力、メンテナンスで保つ口の健康

虫歯や歯周病の予防に注力されていると伺いました。

Cs3 3

開業して何年かたった頃、治療後その状態を維持できるかどうかは患者さん自身のメンテナンスによって変わると気づきました。現在とは認識が違い、昔は「いい治療をすれば保てる」「保てないのは治療のレベルが低いから」と教えられていて、私たち歯科医師もそう思っていました。しかし経験を重ねていくにつれ、そうではないと気づいたんです。例えば、治療して部分入れ歯にした患者さんは、掛け金のかかっている歯が悪くならないようにメンテナンスが必要ですし、こまめに義歯も合わせ直しをしないと歯茎が痩せるなどの問題が発生してきます。治療も大事ですが、治療後の状態をキープするには患者さん自身のケアを含めたメンテナンスが必要だと考えています。どれだけ一生懸命治療をしても、患者さんがメンテナンスを怠ってしまうと結局悪くなってしまうんです。

メンテナンスは患者さん自身が意識を持ってやらないといけないのですね。

そうですね。こちらに移り20年になりますが、徐々に理解してくれる方が増えたと思います。ですが開業時は「治療を長く引っ張っているだけじゃないか」と思われるのではないかと不安で、患者さんによっては言い出せないこともありましたね。結局、歯周病治療は歯医者だけでは治せず、患者さんの努力も必要なんです。患者さんがそのことをしっかり理解して、「やろう」という気持ちにならないとうまくいかないものなんですね。今は口の中の健康に関心を持っている患者さんも増えてきて、歯周病を予防しようと清掃を普段から一生懸命している方も多いです。痛みがなくても早めに来院するという方も増えています。

歯周病予防についても認識は広まっていると思いますが、実際はどうでしょうか。

4

歯周病に関しては「歯茎が健康なら大丈夫」と思っている方が多いのですが、それは違うんです。実際には歯槽骨(しそうこつ)や歯根膜(しこんまく)が歯を支えている組織で、歯茎は歯槽骨や歯根膜が口腔内の菌に感染しないように防御しているもの。ですから歯茎は健康でも歯槽骨や歯根膜に炎症があると「組織が健康」とは決して言えません。しかし、歯を磨いた際に歯茎から出血しなければ健康だと思っている方が多いのが実情です。歯周病は検査しないとわからず、歯科医師であっても見た目ではわかりません。当院に10年、15年と長く来ていただいている患者さんの中には、口の中の清掃が驚くほど上手で歯茎も炎症がなくピカピカの健康な人がいますが、検査をすると歯茎の隙間から出血したり、膿が出てくる場合もあります。歯を支える組織の外と内の健康はイコールではないことを、ぜひ知っていただければと思います。

新たな技術・知識の習得にも積極的

印象に残る患者さんのエピソードなどはありますか?

5

治療がうまくいったことより「今だったらもっとうまく治療できたのに」という思いのほうが強いですね。昔はどうにもできず手も足も出なかったケースもたくさんありました。しかし技術が進んだ今ならいい材質のものもたくさんあり、今だったら治療できたものもいっぱいあると思っています。また、かなり昔の話になりますが患者さんのグラグラの歯を抜いたら、血栓防止のお薬を飲んでいらっしゃった方で大量に出血したということもありました。問診が不十分で確認し忘れたんですね。それ以来、問診での確認はもちろん、止血薬を用意するなどかなり慎重になりました。

日々進歩する歯科医療ですが、新しい情報なども積極的に取り入れていらっしゃるのでしょうか。

勉強は大事だなと思いますね。8年ほど前、吸着義歯といって、外れない総義歯を生み出した先生のお話を聞きました。最初は半信半疑でしたけれど、勉強会に行って講演の模様を録画したDVDを見て、一度やってみたことがあるんです。そうしたら時間はかかりましたが、うまくいったので今ではその先生の方法を踏襲して行っています。条件がよければ本当に外れないですし、私が外そうと思っても相当な力が必要で、外す際には「ポンッ」と音がするんですよ。現在は総義歯の患者さんは減ってきていて、この吸着義歯で恩恵を受ける方は少ないですけどね。しかしこれを契機に、古い概念にとらわれていると勉強する機会をなくしてしまう、と改めて思ったので、「これは」と思ったらまずは一回、話を聞くなど行動に移すようにしています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。

6

虫歯も歯周炎も、その疾患に対する正しい知識を持たないと本当の意味で予防はできませんし、誤った知識を持っている患者さんには、きっちりと説明していきたいと考えています。まずは当院にいらっしゃった患者さんにきちっとご理解いただければ、それをご家族やご友人に話をしてくれるかもしれません。地道にやっていくことで少しずつでも正しい知識が広がっていけば、予防ができる人の数が増えるかなと思っています。

Access