大窪 康修 院長の独自取材記事
おおくぼ歯科医院
(高槻市/高槻駅)
最終更新日:2024/05/30
JR京都線高槻駅から徒歩10分ほどのところにある「おおくぼ歯科医院」。青い看板が目印の同院は1996年に開院し、2006年に現地に移転開院。院長を務める大窪康修先生は大学卒業後、一般歯科医院の勤務医や分院長として研鑽を積みながら、障害者の歯科診療にも幅広く携わってきた。また、労働衛生コンサルタントといった資格を保有するユニークな経歴の持ち主。貫禄のある風貌に圧倒されそうになるが、話し始めると温かな人柄と優しさがにじみ出る。「焦るな、怒るな、いばるな、腐るな、負けるな」の精神を表すという、同院のロゴマーク「あおいくま」のイメージがぴったりだ。「怖い先生だという噂は本当ですよ(笑)」と朗らかに笑う大窪先生に、診療やスタッフへの思いを詳しく聞いた。
(取材日2023年3月14日)
今までもこれからも地域住民の口の健康を守り続ける
開業までの経緯を教えてください。
北海道医療大学歯学部を卒業後、1年間大阪府の歯科医院に勤務し、その後は秋田県で歯科医院の分院長を務めていました。契約期間の終了時に、高槻市内で移転される先生がいるから、そこで開業しないかという話を頂いて、1996年に上田辺町で開業しました。10年後の2006年に移転し、現在に至ります。移転後しばらくしてから、駅前の道路の拡張工事が行われたので、広々として来院しやすくなったのではないかなと思います。
どのような患者さんがいらっしゃいますか?
現在は、大半が地域の年配の方で、上品な方が多いなという印象です。中には移転する前から25年以上通ってくださっている患者さんもいらっしゃいます。夕方以降は、学校の歯科検診で何らかの指摘を受けた子どももよく来ていますね。一般歯科・小児歯科・歯科口腔外科に対応していますが、突然の歯の痛みや他院で作られた入れ歯の不具合で受診されるケースが多いです。当院では歯の健康を守るために定期検診を重視しているので、治療が一段落したら、3ヵ月後の検診の予約を取っていただくようにしています。後からメールやはがきを送るとなると、患者さんはスケジュール調整が面倒になってしまいますし、スタッフの仕事も増えてしまうのでご協力いただいていますね。
障害者の歯科診療にも携わっていらっしゃると伺いました。
秋田県で分院長を務めていた時に、近所の精神病院でアルコール中毒や統合失調症の患者さんの歯科診療の経験を積みました。現在は高槻市立口腔保健センターの障害者診療専門のチームに入っていて、ほかの先生方と意見交換をしながら、精神疾患、身体・知的障害者の歯科診療を行っています。当院にも車いす専用の診療台を設置していますし、リクライニング機能のある車いすなら、そのまま診療できるスペースも設けています。
保険診療をベースに、丁寧な診療をわかりやすく進める
治療方針について教えてください。
「保険診療をベースにした丁寧な治療」です。日本の国民皆保険制度は非常に優れた制度だと考えており、できる限り保険診療内での治療を提案しています。その上で、目に見えないところも手を抜かず、丁寧に治療することを大切にしています。例えば、歯根をどのように治療したのかは、患者さんには見えません。一番時間がかかりますし、保険点数も低い。けれども、そこで手を抜くと、何年か後になってトラブルが起こる可能性があるんですね。ですから、見えないところも丁寧に治療する。入れ歯を作る場合も、後からゆがみやずれが起こりにくいように、当院では必ず2回型採りを行っています。
患者さんに接するときに心がけていることはありますか?
少しでもリラックスしてもらえるように、親しみやすい対応を心がけています。診療中に膝掛けをかけていても、足先を見ると、力が入って緊張しているなというのがわかるんですよ。「楽にしてくださいね」と声をかけると、足の力がすっと抜けるんです。普段と違う様子があったら「今日はどうしたの?」と声をかけたりもしますね。歯科医師は口の中だけを診ていればいいというものではないと思っています。また、患者さんに説明するときは専門用語は使いません。わかりづらかったり、誤解が生じたりしないよう、簡単な言葉で話すように心がけていますね。治療計画については、カバーをかけたエックス線フィルムに直接、図や治療順序を書いて説明しています。最終的にこういう状態にするために、今はこの治療が必要で、次はここを治療するという流れをわかりやすく説明しますよ。
スタッフに対してはいかがですか?
仕事は「正確に早く美しく」が大事だと考えているので、時にスタッフには厳しいことも言いますよ。適当にゆっくりやっていたら、型採りに使う材料も固まってしまいますからね。スタッフが一つ一つの業務を正確に早く美しくできるというベースがあってこそ、患者さんに対して丁寧で質の高い治療を提供できると考えています。一方で、スタッフとは何でも話せる関係が大事だと思っているので、仕事を離れたところでもコミュニケーションを取るようにしていますね。新型コロナウイルス感染症流行前はみんなで焼肉を食べに行ったり、旅行に行ったり、僕の実家で芋掘りを楽しんだりしたこともあります。
専門的な知識を生かし、質の高い医療の提供をめざす
「労働衛生コンサルタント」の資格をお持ちだそうですが、どのような資格でしょうか?
労働衛生コンサルタントは国家資格で、労働者の安全衛生水準の向上のために、事業所の診断や指導を行うものです。単に知識がある人になるよりも、国家資格を持つ人になったほうがいいなと考えて、2度目のチャレンジで2020年に取得しました。労働衛生コンサルタントの知識は、普段の診療にも役立っていますね。
どのように役立っていますか?
院内での事故を防ぐために、患者さんがスリッパを脱ぐ位置やワゴンの位置などは、パッと見てわかるようにカラー表示をしています。また、労働災害の分野では、一つの重大な事故の背景には29の微細な事故があり、300のヒヤリハットがあるという「ハインリッヒの法則」があります。ヒヤリハットだから、軽微な事故だからと放っておくと、重大な事故につながる恐れがあるということですね。ですから、スタッフには何でも報告してくれるようにと話をしています。例えば、受付では、患者さんが診療中には言わないことを患者さんがポロッと話すことがあるんですよ。「今日の治療は痛かった」とか「口を開けると顎が痛いんだよ」とかですね。それをスタッフにちゃんと報告してもらい、カルテに書いておくと、次回の診療に生かすことができます。
お休みの日はどのように過ごされていらっしゃいますか?
土日は完全に休みにしているので、金曜日の夜の仕事を終えたらすぐに出かけるという感じですね。学生時代に北海道にいたのでアウトドアが好きで、以前は高槻市内のヨットチームにも参加していました。40代半ばでバイクの免許を取得して、今はオフロードバイクに乗っています。また、兵庫県宝塚市の実家に帰って、畑や山林の世話をしたり、シイタケ栽培を楽しむこともあります。
最後に患者さんへのメッセージをお願いします。
僕は怖い先生だって言われていますが(笑)、患者さんには優しいので安心してください。また、当院はあえて往診はせずに、来院しやすい環境を整えています。往診となると、専用の照明や診療台などの設備がない中で診療しなくてはいけません。治療の質を考えると、やはり当院に来ていただいて診療するのが一番いいと僕は考えています。車いすの方や、小さいお子さん連れやベビーカーでお越しの方も診療室の中まで一緒に入っていただけますので、気軽にいらしていただきたいですね。歯科特殊健診や企業歯科健診も受けつけておりますので、ぜひご相談ください。