岩崎 敏明 院長、岩崎 弘子 さんの独自取材記事
ヒロ歯科医院
(川崎市宮前区/宮前平駅)
最終更新日:2025/08/05

「ヒロ歯科医院」の前に立つと、周囲の住宅に溶け込む歯科医院らしくない外観にホッと安心感を抱いた。2021年に建物全体を改装した同院は、外観だけでなく内装もきれいでカフェのようなぬくもりのある雰囲気が漂う。院長の岩崎敏明先生は地域のかかりつけ歯科医師として、子どもから高齢者まで幅広い世代の歯科診療に対応。患者とのコミュニケーションを重視し、生活背景も踏まえた適切な診療を提供するよう努めている。「地域の方々の健康を見守ることが、当院の願い」と穏やかに語る岩崎院長と、「私は、ご近所の高齢の方にもどんどん声をかけるんですよ」と明るくほほ笑む、妻で歯科衛生士の岩崎弘子さん。静と動の抜群のコンビネーションで、居心地の良い歯科医院をつくりあげている。そんな2人に、院内のこだわりや診療方針などを聞いた。
(取材日2025年5月21日)
地域の見守りと健康を重視。気軽に立ち寄れる歯科医院
2021年に建物を改装されました。どのような点にこだわりましたか?

【敏明院長】「普通の家のように見えて、実は歯科医院だった」というような、歯科医院らしくない雰囲気づくりを意識しました。ここは閑静な住宅街なので、その町並みに溶け込むような造りにしたかったというのもあります。「きれいになった」というお声も多く、患者さんの評判も上々です。
【弘子さん】通り沿いに掲示板を設置したので、来院される方だけでなく、通りすがりの方にも気に留めていただきたいと思っています。掲示する内容は、お口の健康に関する情報の他、高齢者施設や地域からお願いされたイベント告知などです。それだけでなく、元気が出るようなフレーズを記した絵手紙も貼り出しているんですよ。お仕事を終えて帰る地域の方々がそれを見て、「明日も頑張ろう」と思ってくださったらうれしいです。
待合室にキッチンや大きなテーブル、ソファーがあり、アットホームな雰囲気だなと思いました。
【敏明院長】診療時間外に食育指導を行うことをめざして設置しましたが、新型コロナウイルス感染症の流行が起きてしまいました。とはいえ、待合室を居心地良く感じてくださるのか、予約時間より早めに来院されてテーブルで本を読む患者さんや宿題をするお子さんもいますね。SDGsの観点からも、地域の方々がお互いを見守り集う場所として活用していきたいと考えています。
【弘子さん】地域住民の健康と生活を見守ることも、私たちの役割と考えています。そのため治療とは関係なく、ご近所の高齢者を誘って、一緒にランチをすることもありますね。これからは、ささやかなワークショップなども企画していきたいです。例えば、子育て中のお母さんたちがおしゃべりできる時間を設けたり、地域の方々が気軽に立ち寄れる場所にしたいのです。
院全体に温かい雰囲気があります。ご夫婦、スタッフ間のチームワークはいかがですか?

【敏明院長】夫婦で長く一緒に仕事をしているので、何も指示しなくても動いてくれるところは頼りになります。それに患者さんへの説明や対応の仕方の注意といった、言いにくいこともきちんと伝えてくれるので助かっています。
【弘子さん】何でも言い合えるのが夫婦で仕事をするメリットではないでしょうか。スタッフには、月に1回スタッフの健康と感謝の気持ちを込めて私の手作り弁当を用意しています。スタッフと食を通じて定期的に親睦を深めているので、チームワークには自信があります。スタッフ一丸となった雰囲気が患者さんにも伝わって、心地良い空間づくりと満足な治療につなげられることをめざしています。
生活習慣なども聞き取り、患者との対話を大切に
このエリアで開業した経緯や患者層についてお聞かせください。

【敏明院長】この場所にもともとあった歯科医院を引き継ぐ形で、1992年に開業しました。私は日本大学歯学部を卒業後、前身の歯科医院に入職したのですが、先代の院長がお亡くなりになられたため、急きょ引き継ぐことに。それ以来地域に根差して診療を続けてきました。この地域でも高齢化が進んでいるため、比較的ご高齢の患者さんが多かったのですが、改装してからは、若い方やお子さんの患者さんも増えた印象です。高齢者の場合、痛みの症状が出てから来院される方も多いのが現状なので、気さくに世間話をするなど予防のために定期的に通いやすい雰囲気づくりに努めています。
【弘子さん】若い世代のお悩みは、ストレスが原因と考えられる歯ぎしりや噛み締めが目立ちます。中高年は歯周病や、歯が割れたといったトラブルが多いです。
クリニックの診療方針を教えていただけますか?
【敏明院長】地域の方々の健康を見守ることが当院の願いなので、食育指導や高齢者支援にも取り組みたいと考えています。診療においては、単に治療して終わりというのではなく、お口の健康を継続的にサポートしたいです。それをご理解いただくためにも、お悩み相談や世間話を交えつつ、お一人お一人と時間をかけてコミュニケーションを図ることを大切にしています。例えば、虫歯になるのは、歯磨きの仕方が良くないだけでなく、食事などの生活習慣に問題があることも。お口の中を見ただけでは不調の原因がわからないこともあるため、生活背景についてもお聞きすることは欠かせません。患者さんとの信頼関係を深め、状況に合わせて親身にサポートしていきたいと思っています。
患者さんと接する上で配慮していることは?

【弘子さん】食事を中心とした生活習慣などを伺えば、歯科トラブルの原因が見えてきて、治療後のお口の健康を守るのに役立つと考えています。そのため患者さんには世間話なども含めて、こまめに話しかけるようにしています。中高生などにも明るく声かけをすると、家庭の事情なども話してくれて食生活が見えてくるし信頼関係も築いていけますね。また高齢患者さんで、ご近所で長く通ってくれる方は、私が歩いて迎えに行ったりすることも。駐車場で家族がお待ちの方には車までお連れすることもありますよ。
一住民として、楽しく暮らせる地域づくりに貢献したい
弘子さんは訪問歯科の経験も積まれているようですね。

【弘子さん】義母を看取った後、「訪問診療を学びたい」と思い、訪問歯科専門のクリニックに5年ほど勤務しました。ご自宅や施設に伺ってケアを行ううちに、お口の状態が悪くなる前に早めにサポートすることの大切さを痛感。また、一従業員としてできることに限界を感じたため、ここに戻って主人と働くことに決めました。当院でも通院が難しい患者さんのために訪問診療を行っており、訪問時では、治療だけでなく患者さんとの世間話を大切にしながら、お一人お一人が最期までお口の健康を保てるようサポートしたいです。
【敏明院長】訪問歯科では、検診、治療、投薬、口腔ケア、口腔リハビリテーションなどができます。近年は、施設へ足を運ぶことも増えました。介護施設で歯磨きイベントなどを行うこともあります。
弘子さんは食育についてもこだわりがあると伺いました。
【弘子さん】もともと食育は大切だと考えていて、自分の子どもに手作りの料理を食べさせることはもちろん、食事メニューを一緒に考えたり、地域のカルチャースクールで不定期ですが自家製の調味料を使った簡単なお料理を教えています。食に興味が湧けば、お口の中への関心も高まると思うのです。食に興味を持つ子どもが増えることが、私の願い。来院されるお母さんたちに食生活についてのアドバイスを行うこともありますね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

【敏明院長】2~3ヵ月に1回メンテナンス目的で来てくださる患者さんも多くいます。治療して終わりではなく、口腔内の健康状態を維持していくことが大切なので、定期的に受診していただければと思います。人と人とのつながりが希薄になった今だからこそ、人とつながることは大切。歯科医師というより、一住民として皆さまと関わりたいと考えています。小さな悩みや不安などがあったら先延ばしせず、早めにご相談ください。
【弘子さん】社会が高齢化していく中で、近隣の助け合える関係性が重要だと感じており、人と人がつながる場となれるよう地域交流にも貢献したいと思っています。地域の方に会ったら、「今日は暑いですね」などと声をかけるよう心がけていますね。皆さんが気軽に立ち寄れるクリニックをめざし、「会いに行きたくなる歯医者さん」になれるように力を尽くします。
自由診療費用の目安
自由診療とはPMTC(30分まで)/3000円~