塩田 敦子 院長の独自取材記事
塩田矯正歯科
(堺市堺区/堺市駅)
最終更新日:2024/07/12

阪和線の堺市駅から徒歩約3分、改札を出た右手に見える商業施設の3階にある「塩田矯正歯科」は、矯正治療を専門とする歯科医院だ。入居する商業施設には大きな駐車場が併設されており、車での通院も便利な立地にある。自らも矯正治療を受けたという塩田敦子院長は「矯正治療は見た目の改善を図れるだけでなく、将来の歯や全身の健康に大きな影響を与えると考えています」と熱心に語る。終始穏やかながら、矯正治療への熱い思いを感じさせる塩田院長に、同院の診療内容や矯正歯科という分野について詳しく話を聞いた。
(取材日2018年6月28日)
アクセス良好、堺市の商業施設内の矯正専門歯科医院
まず、先生のご経歴について教えてください。

私は1984年に大阪歯科大学を卒業した後、同大学の矯正歯科に入局して5年間矯正に関する研鑽を積みました。その後は複数の歯科医院で勤務しさらに矯正歯科の知見を深め、1995年に自宅で矯正治療を専門とする歯科医院を開業しました。それから1999年に、堺市駅前に商業施設ができたことをきっかけにこちらに移転しました。
自宅から移転してこられたとのことですが、この場所を選んだ理由は何でしょう?
駅前の便利な場所に移り、より多くの患者さんを治療したかったからです。当時は長女を産んだばかりだったので、実家に近いことも場所選びにおいて重要な条件の一つでしたね。この商業施設は堺市駅と2階部分でつながっており、雨にぬれずに通院できます。お子さんが1人で電車通院する場合も安心でしょう。またお子さんの治療中に、親御さんは買い物ができますし、お母さんが患者さんなら、お子さんは同じ階にある図書館で待っておられる場合もあります。
なぜ矯正治療を専門とする歯科医師になられたのでしょうか?

幼少期から外科の開業医だった父の背中を見て、私も人の役に立つ仕事がしたいと思っていました。しかし当時は時代的に、女性がやりがいのある仕事に就くには資格が必要だろうと考えていて、そんな時に「手先が器用だから歯医者に向いているんじゃない?」と母に言われました。歯医者は人の役にも立つ仕事でもあるため、歯医者の道に進みました。専門に矯正歯科を選んだのは、授業で「人の歯って動くんだ!」と衝撃を受けたからです。私が子どもの頃は矯正治療をしている子はほとんどいなくて、大学に入るまでは矯正治療自体よく知らなかったんです。ですから授業で矯正治療によって歯並びの改善を図れることや、きれいな横顔をめざせることに感動しました。しかし矯正歯科は、大学ではあまりふれられず卒業後に一から学ぶことが必要な分野でした。それでも専門にしたいと思い、両親に「一人前になるにはまだ数年かかるがやらせてほしい!」と頼み込んだのです。
見た目のためだけではない、矯正の意味を知ってほしい
矯正治療を専門とするこちらでは、どんな診療が受けられるのでしょうか?

矯正治療と、それに伴うクリーニングや歯磨き指導を行います。矯正治療中は、特殊な歯ブラシでのケアが必要となりますからね。虫歯・歯周病治療などの一般歯科診療は行っていません。ですから矯正治療中に虫歯などの治療が必要な場合は、一般歯科診療に対応している歯科医院を紹介させていただきます。矯正治療としては、歯の表側に金属の装置をつける、金属ブラケットを用いた表側矯正など複数の矯正法に対応しています。それぞれにメリット・デメリットがありますので、しっかりご説明した上で患者さんに納得いく方法を選んでいただいています。
どんな患者さんが来院されていますか?
2割が大人、8割が子どもです。近年では特に子どもの患者さんが増えてきていると感じます。私の頃は珍しかった子どもの矯正治療も、子どもの頃に矯正治療を受けた世代が親になったことで、一般的になってきたのかもしれません。性別割合としては、年齢に関わらず女性が多い印象ですね。これは、多くの人が矯正治療を「見た目を良くするための治療」と認識している表れなのかなと考えています。矯正治療は見た目だけでなく、年齢を重ねても歯の健康を温存できるか、強いては全身の健康を維持できるかにも影響しますから、性別に関わらず受けていただきたいですね。
将来の全身の健康にも影響するとは、どういうことでしょう?

矯正治療をすると、歯を健康に長持ちさせやすくなると考えられています。歯並びを整えることで、虫歯や歯槽膿漏による歯のトラブル、将来的な喪失を防ぎやすくなるからです。また歯は本来それぞれの歯で噛むことで圧力を分散していますが、噛み合わせが悪いと負担が一部の歯に偏り、そこから状態が悪くなっていきます。見た目に満足しているからといって不正咬合を治療しないと、自覚がないまま歯の健康を損ない、将来的には喪失し健康被害を受ける可能性が高いのです。また虫歯治療や補綴治療など、一般歯科の治療を受けるときも、矯正治療をしてからのほうが正しい噛み合わせで治療できるため精度が高くなりやすいともいわれています。だからこそ年齢・性別に関係なく、少しでも違和感や不便があるのであれば、将来の歯と全身の健康のために矯正治療を受けていただきたいのです。
近年主流となってきたマウスピース型装置を用いた矯正について、読者に伝えたいことはありますか?
マウスピース型装置を用いた矯正は、口腔内スキャナーで状態を確認した後、その情報をもとにパソコン上でシミュレーションを行います。この時、一般的な流れから逸脱した計画が出てくることがあるんです。しかしその問題は、矯正歯科を専門とする歯科医師でないと見抜くことが、そして適切に修正することが難しいもの。矯正歯科の知識・技術の中には、歯科医師自らの手で歯の状態を確かめ、治療を進めないと得られないものもあります。ですから当院で対応しているような矯正治療はもちろん、マウスピース型装置を用いた矯正を受ける際も、経験豊富な歯科医師がいる歯科医院を選ぶのがお勧めです。またマウスピース型装置を用いた矯正は誰でも受けられると思われがちですが、口腔内の状態によっては適用できないケースもあると知っておいてほしいですね。
患者目線に立ち、相手に合った矯正治療の提供をめざす
診療において大切にしていることを教えてください。

「自分が患者さんの立場だったらどんな治療をしてほしいか」ということを常に考えながら、最善な治療をめざし対応しています。ただ患者さんの抱えるご事情はさまざまですので、私の思う最善が、患者さんにとっては最善ではないということは珍しくありません。普段のコミュニケーションなら自分がしてほしいことをすると喜んでいただけることが多いですが、診療では一概にそうとはいえない難しさを感じています。矯正治療はそれなりの期間と費用がかかるものです。決断に勇気がいるのもわかりますから、しっかり説明した上で、最終的に患者さんご自身に決定していただくように心がけています。
印象的な患者さんとのエピソードを教えてください。
「早く装置を外してほしい」という患者さんに、治療途中に装置を外すことの意味や計画を最後まで続ける重要性について説明したところ、ご理解いただけたことですね。矯正治療は期間が長いですし、矯正期間中は痛みやメンテナンスで、煩わしい思いをすることもあるでしょう。私も経験したので気持ちがわかる一方で、途中で辞めてしまうとせっかくここまで頑張ったのに後戻りしてしまう、きちんと治療させてほしいという思いを伝えたのです。すると「わかった、じゃあ先生についていく!」と言っていただけてとてもうれしかったです。
最後に、読者のへのメッセージをお願いします。

小さな異変を感じたら、すぐにご来院ください。矯正治療は見た目でわかる歯並びだけでなく、それぞれの歯にかかる負荷や異常を取り除き、良い状態をめざすためのものです。歯並びがきれいに見えるからといって、噛み合わせや歯の状態に問題がないとは限りません。見た目でわからない歯の異常は、本人も周囲も気づきにくいもの。食事や発語の不便、お子さんの歯の生え替わりが遅い、生え方がおかしい気がするなど、気になることがあれば当院へご相談いただければと思います。ちなみに、子どもの矯正治療は、患者さんとのお付き合いも長くなるので、「あと何年くらい現役なの?」という質問をいただくことがあります。私自身まだまだ現役として診療を続けるつもりですし、将来は息子が当院を継承する予定なのでご安心ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは金属ブラケットを用いた表側矯正/5万円~