三倉 健太朗 先生の独自取材記事
三倉医院
(川崎市宮前区/宮前平駅)
最終更新日:2024/07/08

東急田園都市線宮前平駅近隣に1995年に開業した「三倉医院」。2011年に患者の利便性を考え駅前に移転した。診療を行うのは院長の三倉亮平先生と息子である三倉健太朗先生。健太朗先生は日本糖尿病学会糖尿病専門医と、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医でもある。同院が大切にするのは、幅広く総合的な診療姿勢だ。専門分野を持ちながら、地域のかかりつけ医として可能な限り多くの患者を診察したいという。健太朗先生は現在も大学病院や甲状腺疾患の専門病院で勤務を続け、知識を磨いている。多様化する患者層に対応するため、英会話の勉強を始めるなど、勉強熱心な医師だ。「子どもの頃から、父のように患者とよく話す町の医師になりたかった」という健太朗先生に、なぜ糖尿病と内分泌科を専門に診たいと思ったのかなど話を聞いた。
(取材日2024年5月31日)
充実した設備と多職種によるチーム医療
診療の特徴について教えてください。

当院は1995年に開業し、今年で29年目になります。2011年にこちらに移転し、駅近でより便利に利用していただけるようになりました。患者さんは高校生から90歳を超える方まで幅広いですし、風邪症状や高血圧、喘息など主訴もさまざまです。一方で、糖尿病や内分泌疾患については専門性をもって治療にあたっています。私は糖尿病専門医と内分泌代謝科専門医でもありますし、甲状腺疾患については院長も私も大学病院などで研鑽を積みました。血糖値や脂質コレステロール値などをすぐに出せるよう、検査機器もそろえ、可能な限り当日に治療方針を決められる体制を取っています。後日検査結果がわかるものは、データと一緒に医師がコメントを添えて郵送することも可能です。患者さんは仕事や育児、家事などでお忙しいですので、できるだけ負担を軽減できればと考えています。
管理栄養士や理学療法士を通じた、生活のアドバイスも受けられるそうですね。
検査結果に応じて希望する患者さんには、管理栄養士からの食事指導や、理学療法士からのリハビリテーションなどを実施しています。例えば食事指導では、患者さんがメモを取った食事内容をもとに、健康状態に合わせたメニュー変更やレシピ提案などが可能です。診察時に私も食事や運動のアドバイスを行いますが、管理栄養士からはより詳しい情報が聞けるでしょう。さらに、超音波検査専門のスタッフによるエコー検査も実施中です。こうした多職種によるチーム医療は、大きな病院では当たり前になってきています。そうした流れを受けて、地域医療を担う当院でも患者さんを多方面からサポートできる体制にしようと取り組んでいます。
院長先生との二診体制には、どういったメリットがありますか?

院長と私は同じ糖尿病・甲状腺疾患・内科を専門としていますが、お互いの得意な領域や経験は異なります。そのため、患者さんの症状について二人の医師の視点で診断できることですね。注射については、私より慣れている院長に対応していただくということがあります。反対に、内分泌の疾患が疑われるケースの検査項目について、院長から質問を受けたこともあります。また、勤務中は院長と医師という関係性ですが、親子であるからこそ、遠慮せずに質問できるというのは私にとってのメリットですね。当院が大切にしているのは、「地域のかかりつけ医」として幅広い患者さんを診ることです。幅広い疾患を診るにあたり、2人の医師が連携しているというのは、患者さんにも安心していただける点だと思います。
医師としてのやりがいは患者との対話
なぜ「地域のかかりつけ医」であることを大切にしているのでしょうか。

そもそも私の医師のイメージが「町のお医者さん」なんです。当院ができたのが私が10歳くらいの時で、父が患者さんと会話しているのを間近で見てきました。父も糖尿病や甲状腺疾患については専門的な知識がありますが、来院する患者さんの主訴は幅広く、当時からさまざま疾患を受け入れていたと思います。自分では意識していませんでしたが、父の影響を受け、いつしか将来の夢として医師を志すようになっていましたね。そうした父の姿がまさに私の思う医師なので、専門分野をもってからも「地域のかかりつけ医」であり続けたいと思ってきたのでしょう。
総合的な医療を提供する中でも、糖尿病や内分泌科を専門に診ようと思われた理由を教えてください。
「町のお医者さん」はめざしていたのですが、研修医として各科を経験するうちに、自分の興味が向くことができました。中学から大学まで12年間アイスホッケーをしていたこともあり、最初は整形外科に関心を持ちました。しかし、整形外科の医師として働く自分の将来が想像できなかったんです。何十年先も手術しているのかというと、そのようなイメージが湧かず、それよりもこうして診察室で患者さんとお話しし、ああしてこうしてとやっている未来像のほうが強かったんですね。糖尿病や内分泌疾患はまさにそうした診療が必要な疾患だということで、興味を持ちました。糖尿病や内分泌疾患の治療は患者さんの生活と切り離せません。症状や治療法も患者さん一人ひとり異なります。つまり、私がイメージする診療を提供していける分野だったということですね。
先生はとてもスリムですが、ご自身の健康維持で気をつけていることは?

今は体型を維持していますが、小学6年生の時は身長157~8センチで80キロちょっとあって太っていたんです。ですので、太りやすい体質であることは確かです。ただ、患者さんに運動のアドバイスを行う立場上、自分も気をつけなければいけないと、定期的に筋力トレーニングやランニングを行うように心がけています。患者さんに運動や食事のアドバイスを行う時には、自分だったら実践できるかという視点は忘れません。例えばスクワットを勧める時には、実際に診察室で一緒に動きながら説明したり、食事量を伝える時にはおにぎり1つ分というように、具体的に示したりします。具体的になれば、患者さんも実践しやすくなると思うからです。患者さんの視点を忘れないことで、無理なくできる方法を一緒に探したいと思っています。
甲状腺疾患は意外と身近だが発見されにくい
大学病院や甲状腺疾患の専門病院での診療も行われているのは、どういった理由がありますか?

現在は、大学病院と甲状腺疾患の専門病院でそれぞれ週1日ずつ勤務しています。2024年から当院で本格的に外来を担当していますが、各病院に担当患者さんがいらっしゃいますので、そちらも継続している状況です。また、大学病院や専門の病院でより多くの症例を経験し、知識や経験を深めたいという想いもあります。甲状腺疾患は他の病気に隠れてしまうことがあり、時に発見が困難な病気です。大学病院や甲状腺疾患の専門病院で難しい症例を経験することで、当院の患者さんの疾患により早く気づけることにつながるかなと思っています。さらに、大学病院で勤務することで、医師や病院とのつながりができ、当院で対応困難な患者さんを紹介できる選択肢を広げることが可能です。実際に、当院で検査や治療が難しいと判断した患者さんは、すぐにご紹介しています。高度な医療は大きな病院へ、一人ひとりを診る医療は当院でという連携が理想としているところです。
甲状腺疾患で患者さんが気をつけるべきことは何でしょうか。
内分泌の疾患で特に多いのが、甲状腺疾患です。一般的には甲状腺ホルモンの値が高いか低いかで自覚症状が異なります。甲状腺ホルモンの値が高いバセドウ病では、動悸や息切れ、強い倦怠感、多汗などが主な症状です。女性に多い疾患で、同じような症状が月経や更年期障害などでも見られるため、受診に至らないケースも少なくありません。反対に甲状腺機能が低い方は、むくみや体重の増加などがあります。甲状腺の異常は不妊の原因にもなるため、妊娠を望む女性は一度検査してみてもいいでしょう。内分泌疾患も他の病気に隠れてしまいがちですので、少しでも気になる症状があれば、専門機関にご相談ください。
今後取り組んでいきたいことについてお聞かせください。

まずは院長が積みあげてきた、「地域のかかりつけ医」としての役割を継続して果たしていきます。どんなことでも結構ですので、体調に不安を感じたら気軽に受診してください。一方、町の医院でありながら、診療に関しては病院並みの質を提供していきたいと思っています。そのために、大学病院での研究にも参加し、発表なども行う予定です。そうして学び続けることで、新しい知識を取り入れ当院の患者さんに還元できればと思っています。