全国のドクター9,182人の想いを取材
クリニック・病院 158,625件の情報を掲載(2024年4月25日現在)

  1. TOP
  2. 神奈川県
  3. 川崎市宮前区
  4. 鷺沼駅
  5. サギヌマ耳鼻咽喉科
  6. 山口 雅士 院長

山口 雅士 院長の独自取材記事

サギヌマ耳鼻咽喉科

(川崎市宮前区/鷺沼駅)

最終更新日:2023/11/15

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科 main

まだ周囲に菜の花畑や田んぼが広がっていた時代から、鷺沼地域の医療を担ってきた「サギヌマ耳鼻咽喉科」。院長の山口雅士(ただし)先生は、眼科の医師である妻とそれぞれクリニックを開ける土地を探し、鷺沼駅から徒歩5分のこの場所で開業したという。以来、長年にわたり、病気の治療はもちろん人と人との関わりを重視し、心のケアまで気を配った診療に力を入れてきた。歴史を感じる待合室や診療室はきれいに整えられており、愛情を込めて患者を見守る院長の雰囲気そのままに、穏やかで温かい空気が流れている。「何より不安感を取り除きたい」と優しい笑顔を見せる山口院長に、最近の患者の傾向や診療時に心がけていることなど、じっくり話を聞いた。

(取材日2023年9月15日)

患者家族の健康と成長を見守る地域のかかりつけ医

そもそも鷺沼で開業された理由から教えてください。

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科1

もともと、眼科の医師である妻と一緒に、建物の上下階でそれぞれ開業できる場所を探していました。当時は近隣に同じ診療科があると開業できないルールがあり、耳鼻咽喉科と眼科の両方が開院できる場所としてようやく見つけたのが鷺沼だったんです。それで私が1階でサギヌマ耳鼻咽喉科を、妻の訓子は2階でサギヌマ眼科を構えました。花粉症といったアレルギー疾患をはじめ、鼻と目が関連している症状は結構あります。「なんだか見えにくい」という時に鼻の症状が影響しているケースもありますからね。だから、同じ建物内で連携できることは患者さんにとってかなりメリットが大きいと思います。当院に来た時に眼科で診てもらった話を聞かせてくれる患者さんもいますよ。そうやって何でも気軽に話してもらうことで、安心した気持ちになってもらえたらと思っています。

クリニックを始めてから約50年になるそうですね。

開業は1976年のことですから、まだ鷺沼小学校などの学校ができ始めた頃です。周りには田んぼばかりで建物がなく、港北まで見渡せるほど。今とは全然風景が違いました。耳鼻咽喉科のクリニックも他にありませんでしたから、朝から患者さんが並んでいましたね。待っている間に患者さん同士が仲良くなっていることもありましたし、当時から家族的な雰囲気でした。長くお付き合いのある患者さん家族も多いんですよ。妻も含めて家族ぐるみのお付き合いですから、治療しながら家庭の話になることもよくあります。そうした話の中に病因と思われることが見つかることもあるんです。お子さん、お孫さんと2世代、3世代で来られる方もいらっしゃいますね。小さかった子が就職や結婚をして、また来てくれるのはとてもうれしいことです。

子どもを診る時に気をつけていることは何かありますか?

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科2

甘えん坊や怖がっている子といろいろいますが、うまく話しながら診ています。「今日はどうしたの?」と聞くと、中にはお母さんのほうを見る子もいます。でもそうするとお母さんが話しちゃうので、本人に「どうだった?」と促すと、照れながらもだんだん自分から話すようになるものです。小さくても、「痛かったの?」「どっちの耳?」と聞けば、「痛かった」「こっち」と返すことができます。何でもお母さん頼りではなくて、そうやって少しでも自分の言葉で話すことができれば、自信がついてきて、自分から「病院に行く」と言い出すんじゃないでしょうか。あいさつも変わってきますよ。最初はもじもじしていたのに、他の人をまねして「どうもありがとうございました!」と言えるようになる。みんな、ちゃんと成長していくし、そういう過程も見られるとすごく楽しいと思いますね。

めまいなどの不定愁訴には心のケアも有用

最近の患者さんの傾向はどのようなものですか?

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科3

耳鼻咽喉科全般を診ていますので、いろいろな症状の方が来ます。ただ気になるのは、薬をもらうと来なくなってしまう方がいることですね。それで症状がぶり返すと、また悪くなったと来ることになる。副鼻腔炎もそうですが、鼻の病気は治療をきちんと続けてほしい場合が多いんです。とりわけ新型コロナウイルス感染症になった後、副鼻腔炎でかかる方がすごく増えていると実感しています。あとは嗅覚や味覚の問題ですね。そうした場合もちゃんと通って治療したほうがいいでしょう。放っておくと、だらだらといってしまいかねません。定期的に来ている人は、通院を続ける重要性をわかってくれるみたいです。できるだけ自己判断で治療を中断しないことが大切ですね。それからもう一つ、めまいなどの症状で心のケアが必要な患者さんも多くなっていると感じます。

耳鼻咽喉科の症状で心のケアが必要とはどういうことでしょうか?

めまいや耳鳴り、また喉の異常感を訴える患者さんが意外に多いんです。喉が詰まる感じがするとか、声が出づらいとかですね。調べても具体的な原因がわからず、精神症状もあるような場合は、精神科領域の薬を出してあげることもあります。もともと心療内科でいろいろな薬を処方されている方もいますね。不定愁訴のような症状でかかる患者さんは、お話しするだけで気持ちが落ち着いていくこともあり得ます。そうした方が増えているのは現代社会のせいもあるのかな。忙しい人が多いのだろうと感じています。

診療の際に心がけていることはありますか?

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科4

やっぱり患者さんには安心感を持たせてあげたいんです。みんな不安で来るわけだから、ここに来て余計不安な気持ちが大きくならないようにといつも思っています。まずは話すことで安心してほしいので、「もう大丈夫。自信持ったほうがいいよ」なんて声をかけることもありますよ。帰りに不安感だけは持たせたくないですからね。基本的に、患者さんが気楽に話せるような雰囲気にしています。かしこまらずに、家族的な感じでやわらかく。そうすると患者さんも乗ってきますからね(笑)。こっちがこわばっていると相手も堅くなるもの。そうならないようにするのがすごく大事です。

信頼関係をもとに、患者の気持ちを楽にする医療を

スタッフの方々について教えてください。

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科5

最近はメンバーの入れ替えがあり、新しい人も入りましたが、みんな患者さんに対する対応がしっかりしていてありがたいですね。子育て中のスタッフが多いので、子連れの方も安心して来院してもらっていますね。スタッフとも長いお付き合いをしていて、辞めたスタッフも、子どもの顔を見せに来てくれたり、今度は患者さんとして通ってくれたりしていますよ。私が大切にしているのは、スタッフにも患者さんにも優しいクリニックの雰囲気ですね。何だか受付で話しづらいし先生にも聞きづらい、というようなことがないようにできたらいいなと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

これからも患者さんに寄り添い、地域医療に貢献していきたいですね。開業当時と比べると、この辺りにもクリニックが増えました。それぞれの特徴がある中で、当院には安心感や話を聞いてもらうことを求めて来る方が多いのかなと感じます。長く診てきた私だからできる医療、かけられる言葉があると思うので、患者さんに還元していきたいです。またもう一つ、年を重ねても働けるロールモデルをめざすといったらおこがましいかもしれないけれど、多様な人が地域社会で力を発揮する中、私も頑張っている姿を見せられたらという思いもあります。そのためには常にチャレンジしていくことも重要でしょう。診療でタブレット端末を活用するなど、新しい取り組みを進めているのもその一環です。

最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

山口雅士院長 サギヌマ耳鼻咽喉科6

私が大切にしているのは患者さんとの信頼関係です。薬をもらって「これ飲んだほうがいいのかな」ではなくて、「飲んでみよう」と受け入れられるようになるには、気持ちの部分が大きいんじゃないでしょうか。病気を治そうと思ったら精神面は重要です。このまま治らなかったらどうしようと不安に思うのではなく、「治るんだ」と自信を持ってもらうためにどうするか。先進的な治療が必要な時もあると思いますが、やっぱり話を聞いたり、背中を押す声をかけたりすることが大事です。ですから、そういう気持ちの部分も考えながら患者さんと向き合っています。いつも患者さんの気持ちを楽にすることにこだわっていますので、気がかりなことがあればぜひご相談にいらしてください。

Access