和田 康彦 院長の独自取材記事
ワダ歯科医院
(大阪市中央区/北浜駅)
最終更新日:2025/08/22
大阪メトロ堺筋線・京阪本線の北浜駅から徒歩3分の「ワダ歯科医院」。北浜はかつて株式や証券取引などの金融関係が多く集まり大阪経済の中心地として発展してきた街だ。また、明治から昭和初期の豪華な近代建築が風情ある趣を醸し出す街でもある。今なおオフィス街であるこの地に生まれ育った和田康彦院長は地元をこよなく愛し、行政や医科と連携しながら地域医療に力を注ぐ。診療においては一方通行にならないインフォームドコンセントを重視。コミュニケーションを大切に患者との信頼関係を築いてきた。在宅医療にも積極的に取り組む和田院長に、地域への想いや診療スタイルについて話を聞いた。
(取材日2018年8月10日/更新日2025年8月18日)
「地元に尽くす」確固たる信念から地域医療に貢献
都心のオフィス街が地元でいらっしゃるのですね。

よく驚かれますが、昔は1階が店舗・上が住居という形態で住んでいた世帯も多かったのですよ。私の両親も、住まい併設で印刷業を営んできました。それでも、私が子どもの頃は既にドーナツ化現象を迎えていたので小学校は全校生徒120人ほどと少なく、小・中学校は合併して新しい学校になっていきました。そして家業を持たない家がどんどん引っ越して行ったバブル期も、この辺りの人口減少に拍車をかけたように思います。ただ最近ではタワーマンションなども建って新たな変化が見られます。それまでは、昔からの近隣住民や地元の方、ビジネスパーソンの来院がほとんどでしたが、新しいファミリー層も通って来られるようになりました。
先生はなぜ歯科医師をめざされたのですか?
最初に意識したのは、手先が器用だから歯科医師に向いているんじゃないかと親戚筋に言われたことです。でも、その時はまだ小学生で、私の憧れはパイロットでした(笑)。医療に関心を持ち始めたのは医師になった兄の影響が大きいです。ただ、細かい作業が得意な自分の特技を生かすことを考えると、気持ちは歯科に向かいました。歯学部を卒業後、大学病院の医局に所属し3年間勤務した補綴科は、私の性分と特性によく合っていました。一人ひとりの口の中に合ったオーダーメイドに応え、ピタッとフィットするものを作り上げることが好きなんです。黙々と集中して行う作業は得意ですし、患者さんに喜んでもらえることがやりがいになっていました。
この地に開業された理由を教えてください。

人口が少ない中で育ったので地域で助け合っていくという意識が強いのです。その一助として歯科医療を提供することで地元の役に立ちたいと思いました。開業にあたっては阪神・淡路大震災の時に傾いてしまった家をビルに建て替え、1階は家業の印刷会社、2階を歯科医院にしました。今は1階は薬局です。北浜周辺はアール・デコ調の建物やレトロな外観を持つビルが多く残っています。その中でも特に気に入っていた銀行の建物の写真を見せて設計してもらいました。院内は全体に明るい色で配色し、自然光を取り入れられるよう窓を大きく取りました。28年が経過しましたがリフォームの必要性を感じないのは、歴代のスタッフが清掃を徹底してくれているからです。シンクも水滴を拭き取るだけでなく乾拭きで磨きあげ、床のワックスがけも自分たちで行ってくれています。清潔な院内で患者さんをお迎えする姿勢が引き継がれているので、いつもうれしく思っています。
気負わず自然に取り入れられる予防ケアをサポート
院外でも多方面にご活躍のようですね。

地域のために必要なことに尽力できればとの思いから、2012年から校医を務めています。ちょっと離れた所にある小学校なので途中には歯科医院が何軒もあるのですが、お母さんたちは当院へお子さんを連れて来られます。都心なのでベースの人数は少ないでしょうが、行政による1歳6ヵ月検診も担当しているので子どもさんを診る機会は多いほうだと思います。他に、歯科医師会による歯の啓発活動の一環として行うイベントにも参加しています。成人や高齢者向けの口腔機能低下症のイベントを年に一度担っています。以前は子ども向けのフッ素塗布のイベントを実施していましたが、現在は主に高齢の方向けの口腔ケアの重要性について活動しています。口腔機能の衰えは、体の衰えに相関関係があることや、話す・噛む・笑うという口元を動かし、頭に刺激を与えることが体全体の健康を保つということを伝えることが歯科医師の役割だと思っています。
クリニックの特徴を教えてください。
ベーシックな治療を基本に、インプラントなど自費診療もリクエストがあれば応える幅広い診療が特徴です。どの治療にもメリットとデメリットがあるので詳細な説明はもちろん、患者さんの心情を察知できるよう意識しています。予防に関しても難しい認識ではなく、自然に日常生活に組み込んでもらえるように心がけています。例えば口腔内クリーニングは、クリニックでケアを受けると、口の中がすっきりしますし、ケアを受けている間も痛い・つらいが少なく、心地良くお過ごしいただけると思います。ヘッドスパやエステなどのトリートメントと同じような感覚を持っていただけるといいですね。また、歯ブラシだけだった方がデンタルフロスや歯間ブラシを使い始めたら、モチベーションを維持していただけるように、その新習慣に話題を向けるとか。そうして積み上げていく中で歯茎が引き締まってくるなど、結果が口の中に表れてくるのを見られたらうれしいですね。
診療において工夫されていることはありますか?

お子さんが歯科に恐怖心を抱かないように、小さい頃からお母さんの定期検診時に一緒に連れて来ることをお勧めしています。歯が痛くなってからいきなり治療で連れて来られて痛みを感じたりすると、トラウマになって歯科嫌いになりかねません。お母さんがゆったりメンテナンスを受けている間、おなかや膝の上に座っていてもらうと、怖い所じゃないという認識につながっていきます。また、歯磨きは大人でも磨き残しがあるくらいですから、永久歯と乳歯が混在する時期には、お母さんに最終チェックをお願いしています。そのためにもお子さんの診療中、一緒に見てもらえるように椅子をご用意しています。外で待たれる場合には、治療中に撮影した写真をお見せして説明いたします。
口腔内の改善から全身の健康に寄与できるよう診療
日頃からアドバイスされていることはありますか?

よくお勧めしているのはキシリトール入りガムです。脳への刺激による集中力アップ、唾液の生成に加えて、お子さんには噛むことによる顎の発達、年配の方には口の筋肉を使うという利点が見込めます。他では、口内炎で来院された場合にも歯科の範囲ではありますが、全体的な疾患についてお尋ねしています。歯周病と糖尿病・高血圧などの負のスパイラルに見られるように、口腔内だけのトラブルとは限りませんので、全身と密接な関係にあることを留意した問診を心がけています。口の中からトータルに目を向けることは、歯科だからこそできる役割だと思っています。
休日の過ごし方や趣味について教えてください。
趣味の一つは写真と音楽で制作するイメージビデオです。パソコンソフトで絵を描くのも好きですね。スポーツでは、フットサルの教室に通いだしたり、ソフトボールは歯科医師会のクラブに所属しています。高校時代はスキー部で、冬になると夜行列車で長野県へ滑りに行くのですが、昔の車両なので窓からスキー板を入れて新聞紙を床に敷いて寝てと、今では見られない光景ですが青春の代名詞のようで思い返すと懐かしいですね。最近は、毎週末日本国際博覧会に行っています。今の時期しか楽しむことのできない万博にぜひ行ってみてください。
今後の展望を聞かせてください。

今後さらに訪問診療に力を入れていく必要があると感じています。一人での歩行が困難になる方も増えるでしょうし「なんでも相談してください」とお伝えしています。今は中央区ですが、もともとは東区であるこの地域への包括的なケアが行き届くように、歯科だけでなく医療連携によって、よりお力になれると思うのです。地元で在宅連携を取る窓口として尽力していきたいと思っています。また、予防の大切さも幅広い世代に伝えていきたいと考えています。「食」という字は「人」が「良くなる」と書く、といわれていますよね。食べることは人にとって非常に重要で、食べるためには歯でしっかり噛めることが何よりの条件なのです。そのための予防やメンテナンスなのだとご理解を深めていただけるとうれしく思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/17万円~

