河村 純 副院長の独自取材記事
河村歯科医院
(岐阜市/岐阜駅)
最終更新日:2021/10/12

岐阜駅より車で15分の「河村歯科医院」。開業して40年になる同院は、一般歯科・矯正歯科・歯科口腔外科・小児歯科まで幅広く診療を行っており、中でも噛み合わせ治療を得意とすることで知られている。現在、中心になって診療にあたっているのは河村純副院長。父である院長から噛み合わせの理論と技術を受け継いでいくことが、未来の患者のためにも必要なことだと熱く語ってくれた。その治療を求めて、遠方から来院する患者は多いという。また同院では「すべての歯科治療は、矯正歯科を基本にするべき」、つまり噛み合わせを重視する治療方針を掲げ、虫歯や歯周病などの一般歯科の治療も、その土台に噛み合わせの診療を置いている。具体的にどのような治療を実践しているのか、今後の展望を含め詳しく聞いた。
(取材日2018年4月13日)
“すべての歯科治療の基本は、噛み合わせにある”
歯科医師をめざしたきっかけやこちらに勤務されている理由を教えてください。

幼い頃から父である院長の姿を見て、自然に歯科医師になろうと決めていました。大人になり「仕事とは社会に貢献するためにするもの」と考えるようになってからは、歯科医師になって患者さんの痛みを解決したい、困っている患者さんの役に立ちたいという気持ちが強くなりました。院長は開業してから40年間、歯科治療を通して噛み合わせの研究を行い、噛み合わせ治療の理論と知識、技術を得てきました。名古屋で歯科医師をしていた私が当院に勤務するようになったのは、院長の知識や技術を後世に残していきたいと思ったからです。伝統工芸と同じように、院長の技を継ぐ人がいなければ、それが途絶えてしまい、患者さんが困ってしまうだろうと思いました。
どのような患者さんが多いのですか?
地元の患者さんはもちろんですが、クチコミで当院を知り、遠方から通院される患者さんも多いです。岐阜市の近隣地域や、遠くは名古屋から通院されている患者さんもいます。当院は噛み合わせ治療を得意とする歯科医院ですので、不定愁訴を抱え、噛み合わせの相談に来られる方が多く、そうした患者さんが遠方からわざわざ来院されるようです。不定愁訴で悩んでいた方が、当院で噛み合わせの治療をしてから体調が良くなり、他の方に勧めてくれたケースもありました。噛み合わせとストレスは関係があるため、診察では必ず患者さんの職業を聞くようにしていますが、仕事をしている働き盛りの方、特にパソコンをしている方は多いですね。
一般歯科・矯正歯科・歯科口腔外科・小児歯科と幅広く診療されています。治療方針を教えてください。

当院の院長は噛み合わせを重視しているため、矯正歯科と一般歯科は分けて診療するものではなく、すべての歯科治療は噛み合わせの状況を確認しながら、つまり矯正歯科を基本にして行うべきだという考えで、治療を行ってきました。院長の診療方針を、私はそのまま受け継いでいます。当院では矯正歯科を基本にして、虫歯・歯周病治療、入れ歯やインプラント治療など、幅広く歯科診療を行っています。「歯に関係するすべてのトラブルのもとは、噛み合わせの乱れにある」という考え方です。ですから虫歯などは、まず噛み合わせにアプローチして、正常咬合に整えながら虫歯を治療していきます。そうすることで再発しにくくなり、健康な歯や口腔内が維持しやすくなります。
健康な歯を一生保つためには、噛み合わせが大切
すべての歯科治療は矯正歯科を基本にして行う。この考え方をもっと詳しく教えてください。

噛み合わせという視点から患者さんの口腔内を診察すると、トラブルをもたらしている根本の原因が見えてきます。例えば、噛み合わせがうまく合わず、一部の歯に強い力が加わって歯にひびが入ったり、歯の表面のエナメル質が傷ついて、そこから細菌が入り込み、虫歯や歯周病になっていることもあります。この場合、虫歯や歯周病だけを治療しても対症療法に過ぎません。再発しやすく、さらに悪化してしまう可能性もあります。つまり虫歯や歯周病の治療は、正しい噛み合わせがあってこそ効果があるわけです。虫歯だけを治す「対症療法」ではなく、虫歯の原因になっている噛み合わせを治す「原因療法」からアプローチしたい。それが当院の治療方針であり、そのために矯正歯科を基本にした歯科診療が必要だと考えています。
この医院で噛み合わせ治療の大切さに思い至ったエピソードがあれば、教えてください。
院長は大学病院や当院で多くの治療を行いながら、「せっかくきれいに治療をしても、前より虫歯がひどくなったり、歯がなくなるほど悪くなるのはどうしてだろう」と疑問を持っていたそうです。早期発見、早期治療、予防の大切さを周知していても、虫歯は繰り返され、歯をなくしていく人が多くいる。その疑問を追究していくうちに、患者さんの歯並びや噛み合わせを考えず、虫歯や歯周病の治療をしていることが、さらなるトラブルを生む原因なのだと考えるようになったのです。歯科治療の基本に正しい噛み合わせがなければ、何度もトラブルは繰り返されていきます。私は、院長の教えどおり、正常咬合になるよう歯列を矯正しながら虫歯や歯周病を治療していまして、健康な歯を一生保つためには噛み合わせが大事だということを、その診療を通して確信しています。
診療で心がけていることはありますか?

矯正治療は治療期間が比較的長くかかりますが、治療がゴールまでたどり着けるように、患者さんの治療へのモチベーションが下がらない工夫をしています。毎回患者さんの口腔内を撮影し、「こんなに良くなった」と思ってもらえるよう、モニターでご自分の噛み合わせの治療前・治療後の様子を確認していただいています。そして、さらにそこからどのように治療していくか、図、模型、写真などを使って説明し治療をしています。特に患者さんへの治療の説明は大切にしており、納得していただいてから治療に入るようにしています。患者さんがどうしたらよりよい生活ができるかを考えて、個人に合った治療を提供していますが、説明するときは、その治療がなぜ必要なのかがわかるように心がけています。
ストレス時代だからこそ噛み合わせが大切
院長と副院長の役割分担を教えてください。

現在は、副院長である私が主体となって、患者さんの治療にあたっています。忙しいときは院長がフォローに入ってくれます。また、私の姉も歯科医師であることから、患者さんから「女性の歯科医師に治療してほしい」という要望があるときは、姉や女性スタッフが対応しています。女性特有の繊細な相談をしたい患者さんもいらっしゃいますからね。当院には歯科衛生士と歯科助手が3人いますが、院長の治療方針を理解し、患者さんに矯正の説明もできるスタッフたちです。週に1~2回ほど「医局会議」を開いて、患者さんへの対応や治療について話し合い、考えを共有して、医師とスタッフが一丸となって治療に臨んでいます。
副院長の抱負、将来の展望をお聞かせください。
私は温故知新の治療をめざしています。父の知識を受け継ぎながら、時代とともに進化していく技術は、できる限り新しいものを取り入れていけるように心がけていきたいです。新しい技術がどんどん承認されている中で、それを積極的に使って理想的な噛み合わせをつくっていく。それが私たちの時代の治療だと思っています。今は、患者さんを3次元的に治療していく時代になっています。ローカルな岐阜にいても、患者さんが先端治療を受けられるようにしていきたい。そういう思いを持って、知識と技術を磨いているところです。先端の知識や技術を学ぶために、ウィーンをはじめ海外にも出かけています。院長や姉がいてくれるおかげで、積極的に外に出て学べるのはありがたいですね。いつか自分が院長になったときには、院内設備をさらに充実させていきたいと思っています。
最後に読者にメッセージを。

仕事や人間関係などのストレスから、人は無意識のうちに歯をくいしばり、歯ぎしりをしています。そうやって人はストレスマネジメントを歯でコントロールしているんです。現代はストレス社会といわれていますから、くいしばりや歯ぎしりに耐えられるしっかりした噛み合わせをつくることは、現代人にとって大切になるのではないでしょうか。また、噛み合わせの治療は心理的なアプローチなしでは治療できません。当院では、心理的なアプローチも含め、豊富な経験の中で得てきた矯正治療のノウハウを駆使して、一人ひとりに合った歯科治療を提供しています。ぜひ気軽にご相談ください。