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兼元 妙子 院長の独自取材記事

タエ小児歯科クリニック

(習志野市/津田沼駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR津田沼駅から徒歩約10分。秦の杜の大通りに面して立つのが「タエ小児歯科クリニック」だ。船橋市田喜野井で30年以上にわたって診療してきた兼元妙子院長が、心機一転、2019年1月に移転開業した。エントランスから2階に上がり待合室に入ると、右手奥に巨大な2つのキノコのオブジェが並んでいるのがまず目に入る。キノコの中は実はトイレと歯磨きレッスン室。さらに目を床に向ければ、次々と画像が変化するプロジェクションマッピングが映し出されている。まるでテーマパークのような印象だ。これらの演出はすべて兼元院長の子どもたちへの深い愛情から生まれ出たもの。子どもたちが大好きと話す兼元院長は日本小児歯科学会小児歯科専門医。小児歯科に対する思いについて話してもらった。
(取材日2019年2月15日)

“食育、知育、体育、徳育”を楽しみながら学べる場に

こちらには最近移転なさったそうですね。

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33年以上にわたって船橋の田喜野井で診療していましたが、駅から少し遠い場所だったのです。私もそろそろ職住接近を考える年齢になりましたし、若い歯科医師2名がクリニックをずっと継承したいと話してくれたこともあって、スタッフや患者さんたちが通いやすいこの場所に移転しました。これまで大学病院時代も含めますと40年以上、歯科医師として子どもたちを励ましてきたつもりでしたが、実は自分が子どもたちに励まされてきたのですね。励まされてきた分、今度は子どもたちに恩返しがしたいと思いました。以前のクリニックよりももっと楽しい、もっと喜んでもらえるクリニックにしたいと考えました。今、歯科医療は虫歯の治療よりも、食べる・話す・呼吸するといった口腔機能の改善・指導が重視されており、来てもらわないと指導ができませんから、楽しく通ってもらえるクリニックとして作り変えました。

クリニック内がまるでテーマパークのようで、大人でもワクワクします。

コンセプトは森の中のクリニックです。ここが子どもたちの食育、知育、体育、徳育などの場になればと思っています。子どもはみんな好奇心いっぱい。例えば、診察室の壁に描かれている動物は原寸大になっています。象ってこんなに大きいんだ、リスは小さくてかわいいなと動物に興味を抱くかもしれません。待合室の床に広がるプロジェクションマッピングは、足の動きに応じていろいろと画面が変化します。桜の花を足で踏むとふぁーっと花びらが散ったり、恐竜の骨格標本の上を足でなぞれば、その体表が現れて恐竜の姿に変わったり。プログラムを工夫すれば、食育にも応用でき、遊びながら自然と学ぶこともできます。プロジェクションマッピングで遊ぶ中、お互い譲り合うということも学ぶでしょう。

ここは院長のいろいろな思いが詰まっている空間ですね。

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長く小児歯科医療に携わってきた私の思いのすべてが詰まっています。子どもたちがここで楽しい時間を過ごす中で、食べることや歯磨きの大切さなどを自然と身につけてほしいと思っています。大人が上から目線で、歯磨きはこうしましょうと言っても子どもたちには伝わりません。今、教育現場では、アクティブラーニングが注目されていて、子どもたち自身が自分で考えて行動し、学んでいくことが求められています。実は、あの大きなキノコのオブジェの中は、歯磨きレッスン室になっています。子どもたちは好奇心旺盛ですから、キノコの中はどんなになっているのかなと興味津々です。それで、中に入ったところで、じゃあここで歯磨きの練習してみようかなどと自然と誘導することもできます。その横の棚には顕微鏡もあり、「お口の中をのぞこう」と口腔内細菌が動く様子を見せます。自然と「口から始まる健康」を学んでもらいたいと考えています。

離乳食期の食べ方で口腔機能に影響も

子どもたちと接する中で何を心がけていますか。

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まず笑顔でいること。笑顔は人のため、人を楽しい気分にしますので、とても大切です。そして子どもと同じ目線に立つことです。子どもたちが「上から押しつけられている」という感覚をもたないよう、子どもと話すときは、まずは姿勢から、子どもと同じ高さの目線に合わせます。また、自分が子どもだった頃を思い出して、精神的に同じレベルに合わせることも大切です。子どもと同じように楽しいことを発見し、その楽しさを一緒に共有するのです。大人はやるべきことが10個あれば10個できてはじめて完璧と認識しますが、子どもはそうではなく、1個できたらその都度褒めて励ましてあげることも重要です。励ますという漢字は、「万の力」と書く通り、子どもたちにとって一番の栄養になると思います。

口腔機能発達不全の改善についてはどんな指導を行っているのですか?

最近では、奥歯で物が噛めない、すっと飲み込めない、いつも口が開いている口呼吸といった子どもが増えています。ふうせんガムがうまくふくらませないといった子どももいるほどです。当院では口腔機能発達不全の予防・改善のために、食育に関する冊子を作成して、子どもやお母さん方を指導しています。口腔機能発達不全は実は離乳食期の食べ方に起因していて、助産師や小児科の医師は月齢での離乳を考えますが、歯や口の成長度合いは個人差があります。子どもの歯や筋肉の成長に合わせた形や大きさ、硬さの離乳食を与える必要があります。一番大切な時期が、前歯が生えてくる“舌食べ期”で、正しい舌の位置や動かし方を身につける時期です。また、”手づかみ期”に自分の一口サイズを覚えます。口腔機能改善のトレーニングは、両手をほほやこめかみに当てて、奥歯をかみ締めてその筋肉の動きを確認するトレーニングなどさまざまな手法を行っています。

お母さん方への指導も重要ですね。

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トレーニングはお母さん方にも一緒に受けてもらっています。また、お母さん方にお話するときは、一つ一つの指導内容説明ならびにしっかり理解できているかどうか、納得されているかどうか表情を見ながら確認します。もしも理解していないようでしたら、より丁寧にわかりやすくお話しするようにしています。保護者、特に母親に理解していただくことが重要です。診療のときは、家庭環境や生活スタイルなど子どもたちのバックグラウンドも注意して見るようにしていて、子どもの口は「生活が見える」と申します。

かつての患者が成長して小児歯科医師や歯科衛生士に

これまでで何か心に残った出来事について教えてください。

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2世代で来ている患者さんも多いのですが、小さい頃に虫歯でここに来ていた子どもがお母さんになって、そのお子さんを虫歯で連れてきたことをきっかけに、「私、歯科衛生士になりたい」と。それで見事に合格して今度ここに入局することになったんですよ。本人曰く、これまでの人生でこんなに本気になって勉強したことはなかったって(笑)。タエちゃん先生みたいになりたいってよく言っていた子どもで、歯科医師になった、しかも小児歯科という人も2人います。他にも検査技師になった子どももいたり、そんな話を聞くととてもうれしいですね。

なぜ小児歯科医師をめざされたのでしょう?

私は昔からとにかく子どもが大好きだったからです。高校生の頃は小児科の医師を志していました。高3の受験の時に歯が痛くなって歯科医院に行ったのですが、予約制だからとすぐその場で治療を受けられなかったことがありました。それで「今、痛い」という苦しみをすぐにとってあげられる小児歯科の医師になりたいと思ったのです。恩師の鶴見大学の大森郁郎教授からは、知識や技術など多くのことを学びましたが、中でも「Child is not a little man」という言葉が今でも心に残っています。子どもは大人を小さくしたものでなく、子どもには子どもの個性があるという意味ですね。大森先生は、残念ながら亡くなられましたが、私について「子どもの感性をよくわかっている、小児歯科以外はやるな」とお話されていたことも思い出されます。

最後に今後の展望をお願いいたします。

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若い小児歯科の歯科医師たちに、小児歯科の楽しさややりがいをより深く感じていただきたいと同時に、このクリニックで日本小児歯科学会小児歯科専門医も数多く育てていきたいと思います。地域の患者さんたちには、歯や口から始まる健康について啓発していきたいですし、噛むこと、唇を閉じることなど口腔機能や鼻呼吸の大切さをもっと伝えたいですね。これからも、小児科の先生方たちとも連携して、子どもたちを取り巻く医療環境をより良くしていきたいと考えています。

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