武市 えり子 院長の独自取材記事
みやま歯科医院
(船橋市/京成大久保駅)
最終更新日:2025/11/07
洋館風の外観が印象的な「みやま歯科医院」。待合室に入ると、ほのかにアロマの香りが漂い、気持ちをふと和らげてくれる。武市えり子院長は、患者が少しでもリラックスして受診できるようにと、スタッフとともにアットホームで温かい雰囲気のクリニックをめざしている。診療では、患者の口腔環境を整えるだけでなく、全身の健康と若さの維持にも配慮。そのためには何よりも食事が重要と考え、患者一人ひとりに即した食事のアドバイスや栄養相談も行っている。さらに、最近では食いしばりや歯ぎしりから生じる歯や顎の痛みなどを訴える人が増えていることから、噛み合わせへのアプローチにも力を入れる。そんな武市院長に全身の健康づくりへの思いなどについて話を聞いた。
(取材日2025年8月27日)
歯ぎしりや食いしばりによるトラブルが急増
こちらは天井が高くて気持ち良く過ごせますね。

歯科医院には無機質なイメージがありますが、ここは、患者さんにリラックスしていただけるよう、アットホームな雰囲気になるようにしています。何でも気軽に相談できる、お友達の家のような、そんな場でありたいですね。広いユニットには小さな椅子を置いて、親御さんの治療中でもお子さんがそばにいられるよう配慮している他、半個室の特診室も設けています。もともとここは義母が銭湯をやっていた場所で、お店を畳むにあたり土地ごと提供してもらい、歯科医院と2世帯住宅を建てました。私には子どもが3人いますが、開業当初はまだ小さかったので、義母に子どもの面倒を見てもらって朝から夕方まで私が診療し、夜間診療をしていた頃は勤め先の大学から帰ってきた夫が診療していました。義母や主人の協力のおかげでやってこられたと思います。そんな子どもたちも成長し、今は医療の道に進み、うち2人は歯科医師になってここを手伝っています。
それは頼もしいですね。
息子は口腔外科が専門ですので、主に外科的処置やインプラント治療などを担当しています。娘は一般歯科ですが、今は育休中で、子育てが落ち着いたらまた戻ってくると思います。私はもともと補綴治療や義歯治療が専門です。当院は、幅広い世代の方にいらしていただいていますが、中でもシニア層の方は義歯治療や審美面を考慮した補綴治療をご要望なさることが多くなっています。うまく噛めなくなった、口元が閉じにくいなどといった症状のある方は、噛み合わせのバランスが崩れて口腔機能が低下していると考えられます。その場合は義歯治療や審美面に配慮した補綴治療で、口腔機能の回復と、見た目の美しさの両方をめざしていきます。
他に最近増えてきた主訴や気になる症状はありますか。

奥歯や顎が痛い、詰め物が取れた、歯が欠けた、などといった訴えが増えています。例えば奥歯が痛いという場合、調べても特に虫歯が見つからないようなこともあると思います。実はこれらの症状は歯ぎしりや食いしばりが原因で起きていることもあるのです。ストレスによって無意識に食いしばっている方も多いと思います。特に新型コロナウイルスの流行以降はそんな症状が目立ってきています。あるいはスマホのゲームやパソコンに集中して食いしばっていることも多いでしょう。そのような方の中には、最近肩や首の凝りがひどい方もいらっしゃるのではないでしょうか。食いしばりや歯ぎしりによって顎の筋肉や側頭筋が緊張しますので、肩凝りや首の凝り、頭痛といった不定愁訴も起きやすくなります。
噛む力を数値化し噛み合わせに適切にアプローチ
そのような噛み合わせの乱れにはどのような治療を行うのですか。

奥歯が少しだけ当たっている場合には、ほんの少し歯を削って咬合調整をしたり、歯全体の噛み合わせを調整するためにマウスピース型装置を用いた矯正を行うなど症状に適した対応を行います。ほかにも、寝ている間の食いしばる力を分散させるために夜だけ装着するマウスガードを使用することもあります。また、当院では筋電計を用いて噛む時に使われる筋肉、咬筋の力を測定しています。患者さんは、食いしばりの時にどの程度歯に力がかかっているかわからないと思います。筋電計で測れば咬筋力を数値化でき、ご自身の状態を適切に把握できます。また、虫歯治療の際に前歯も含めて全体的な噛み合わせの調整が必要な場合は、前歯の形や歯茎の位置など審美的な面も重視したセラミック治療を行っています。
診療でどんなことを大切にしていますか。
口の中や歯だけでなく、全身の健康と若さをいかにキープしていくか、そのことを重視しています。全身の健康に気を配ることで、若々しく元気に年を重ねていくこともできます。そのために、まず重要なのが食事です。食べることの大切さ、人と一緒にコミュニケーションを取りながら食事を楽しむことの大切さについてよくお話ししています。それと栄養状態をしっかり整えることも大切ですね。最近の若い方はしっかり食べているつもりでも栄養が偏っていることが多いようです。炭水化物ばかり食べていて、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足しているのです。タンパク質が足りず、若くても歯周病になっている方は多いので注意してください。栄養バランスの乱れは体調不良や病気の原因にもなり得ますので、歯科の診療だけでなく、栄養をきちんと取ることの大切さをお話ししています。
その一環としてサプリメントのアドバイスも行っているそうですね。

こちらから積極的に話すことはありませんが、「この方には必要かもしれない」と思った場合には行っています。私には、産婦人科医の姉とサプリメントの専門知識がある姉がいますので、お互いに知識や情報のやりとりをして診療に生かしています。「食事で健康に」という概念は多くの方に広まっていますが、忙しいときちんと食事が取れず、必要な栄養成分が不足しがちです。栄養が整ってこそ健康と美しさがめざせますので、栄養補助という点でもサプリメントを上手に活用してみてはいかがでしょうか。
しっかり噛めて食事を楽しめることが最も大事
子どもの口腔機能発達不全にも力を入れているとか。

この頃は子どもたちの口腔機能の発達不全が話題になっています。うまく噛めない、いつも口が開いているなどといった症状の子どもも多いですから、口腔筋機能療法も活用しながら予防・改善に努めています。子どもの口腔の健康のためには、まずは妊婦さん・お母さんの口腔も必要不可欠です。というのも、もともと赤ちゃんの口腔内には虫歯菌や歯周病菌はなく、虫歯になるのは多くの場合母子感染によるものといわれています。また、ミルクの与え方などについてもお話ししています。赤ちゃんは母乳を吸うことで、舌や口の周りの筋肉が鍛えられるのですが、やわらかい吸い口の哺乳瓶ですと筋肉が鍛えられず、不正歯列になりやすくなるとされています。こうしたこともお伝えしながら、将来、矯正しなくて済む歯列をめざすためのアドバイスをしています。
そもそも歯科医師をめざしたきっかけは何だったのですか。
私の実家は代々医療に携わっている家でして、自然と医療の世界をめざすようになりました。その中で歯科を選んだのは、私自身が子どもの頃、とても虫歯が多かったというのが大きいです。コンプレックスがあったのですが、当時通っていた女性の先生に治療していただいて、「こんなふうに人を助けられる仕事っていいな」「私も患者さんに喜ばれる仕事がしたいな」と思ったのがきっかけでした。その先生は、お人柄もはつらつとしていて、とてもすてきな方でした。そういった面でも一つの目標にさせていただきました。
ところでお休みの日はどのようにお過ごしですか。

この頃は専らいろいろなセミナーや勉強会に参加しています。例えば歯科医師のための英語セミナーや口腔機能改善をテーマにしたセミナー、先進の噛み合わせへのアプローチや審美的な面を考慮した補綴治療技術の勉強会など、さまざまな新しい歯科医療の知見の修得に努めています。また、若さと健康の維持に関するセミナーなどにも数多く参加しています。私が得た知識や情報を患者さんに伝えますと、スタッフの耳にも自然と入って情報共有できますし、患者さんにも喜んでいただけているのではないでしょうか。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
美と健康は食べることから始まります。正しい噛み合わせでしっかり噛めて、人と会話しながら食事を楽しむことが何よりも大切です。そして栄養のバランスも大事です。当院では栄養相談などのアドバイスも行っていますので、気になることや不定愁訴があれば、気軽に相談に来てくださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/27万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/77万円~、セラミックを用いた補綴治療/セラミックインレー:5万5000円~、セラミッククラウン:9万9000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

