川越 元久 院長、村上 香織 副院長の独自取材記事
川越歯科医院
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2024/07/25
高津区の住民を中心に、遠方からも幅広い年齢層の患者が訪れる「川越歯科医院」。この地で生まれ育った川越元久院長は、学校歯科医や歯科医師会の活動に尽力しながら地域医療に貢献している。院長とともに診療にあたる村上香織副院長は、小児歯科での経験も豊富。子どもたちの口腔筋機能に着目し、それぞれの生活背景にまで目を向けたきめ細かなケアで将来のリスク低減をめざす。先進の設備を駆使した心の通う歯科医療で、「生涯にわたってお口の健康を守りたい」と語る2人に、診療についてじっくり聞いた。
(取材日2024年5月29日)
小児から高齢者まで、生涯の口腔の健康をサポート
クリニックの特徴を教えてください。
【川越院長】開院60年を超える地域密着型の歯科医院です。父がこの場所に開院した3年後に私が生まれ、自宅を兼ねたこの歯科医院で育ちました。開院当初から通い続けてくれている患者さんも多く、親子3、4世代と幅広い年齢層の患者さんにお越しいただいています。通院が困難になった方のもとにはこちらから伺う訪問歯科診療にも応じています。虫歯・根管治療から歯周病治療、入れ歯治療、インプラント治療まで患者さんのお困り事に幅広く対応しています。また、それらの土台として不可欠な予防歯科にも注力しています。
【村上副院長】2013年に非常勤での勤務を開始し、2015年に常勤となってからももうすぐ10年。昨春からは副院長として診療にあたっています。
どのような患者さんが通われていますか。
【川越院長】高齢の患者さんも増え、2015年の全面リニューアルではバリアフリー設計にしました。車いすのまま診察室まで移動できるだけでなく、車いすからスムーズに移乗できる専用ユニットもあります。また、どなたにも安心して通っていただけるよう、高性能な滅菌システムや医療機関用空気浄化装置、残留塩素濃度補正システムを導入して、院内で使用する水にも徹底してこだわり、各ユニットには口腔外バキュームを設置しています。
【村上副院長】家族ぐるみで通い続けていただく方も多いので、最初にお会いした時は小さかった患者さんが今では大学生や社会人というケースも。自分の経験を踏まえて人生の先輩としてアドバイスしながら、進路の相談に乗ったこともあります。子どもの成長を見守る親戚のおばさんのような気持ちですね。
口腔筋機能へのアプローチに力を入れていらっしゃるとか。
【川越院長】虫歯や歯周病の治療は歯科医院として当たり前。高齢患者さんに口腔機能低下症が増えているのを実感しており、その予防に取り組んでいます。硬いものが噛めない、食べこぼす、滑舌が悪いなど、口腔機能の衰えであるオーラルフレイルに起因する症状は多々あり、食生活への影響や、人や社会との関わりの減少を招きかねません。動画を見ながら練習できるリハビリテーションプログラムや唾液腺マッサージ、口まわりの筋肉を刺激する低周波治療器などを取り入れて、フレイル予防に努めます。診療時のたまった水にむせる方などを中心に、必要と思われる方にお声がけしています。
【村上副院長】小児の口腔機能発達不全症も増えていると感じているので、トレーニングにも力を入れています。
小児の口腔機能発達不全症に教育現場とも連携して対応
小児の口腔機能発達不全症とはどのようなものなのでしょうか。
【川越院長】地域差なく3人に1人の子どもが口腔機能発達不全症であるとする調査もあり、虫歯を有する子より多くなっています。小児期に口腔機能発達不全症であった子は、十分な機能を獲得できないまま大人になり、年齢を重ねることで口腔機能低下症になりやすくなってしまうのです。
【村上副院長】当院では、口唇閉鎖力や舌圧、噛む力などを測定し、必要な機能の獲得をめざす「ハビリテーション」を提案しています。器具を用いた口輪筋トレーニングや食後の「あいうべ体操」を指導するほか、噛む力を育むグミなどを紹介するなど、小さなお子さんでも無理なく取り組めるよう工夫しています。
学校と連携した取り組みもはじめられたとか。
【川越院長】私が地域の小学校で校医を20年務めている関係もあって、村上副院長に近隣小学校の学校保健委員会で小児の口腔機能発達不全症について講義をしてもらいました。
【村上副院長】川越院長に良い機会をいただき、小児期に口腔筋機能を鍛えることの大切さを伝えることができました。給食を食べるのが著しく遅い子や、発音が明瞭でない子が増えていることを、教育現場の先生方も気にしていらっしゃるようです。私自身、歯磨き指導などの機会に子どもたちを前にすると、はっきり話せない子や背筋が伸ばせない子、集中力がない子が多いことに驚きます。いずれも、筋力不足からのものなのです。特別なことをしなくても、国語の音読なども十分トレーニングになること、近年宿題として親御さんから敬遠されがちとも聞く音読の意義を改めて学校から発信していただきたいことなどをお伝えしてきました。
診療で大事にしていることは何ですか?
【川越院長】単に虫歯の治療をするだけではなく、「なぜ虫歯になったのか」を考えることが非常に大切。患者さんの人生を診ていく、とも言えるでしょう。私は補綴が専門ですが、入れ歯やかぶせ物、インプラントは、いわば最終的な処置。どんなに良いものを作っても天然の歯にはかないません。できるだけ削ったり抜いたりしないで済むためには、そもそも虫歯や歯周病にならないようにするためにはどうすればいいのか、根本的な原因から解決できるようサポートします。
時代を意識しながらニーズに対応、長い付き合いを
お互いの、「ここがすごい」と思うところは?
【川越院長】村上副院長は歯科医師としてだけでなく、人としても安心して患者さんを任せられる頼もしい存在です。一般歯科はもちろん、小児歯科から口腔外科まで何でも診られるので、一つの家族全員担当してもらっているケースも多いですね。朗らかな対応で患者さんからの評判も良いですし、一人ひとりに根気強く丁寧に向き合っていて、本当に面倒見がいいんです。村上副院長が来てから、明らかに患者さんの幅が広がりましたね。
【村上副院長】院長はタフな方で、どんなに忙しくても疲れた顔を一切見せず、いつでも誰に対しても平常心で接しているところが、私には真似できないなと思います。それから、院長の顔を見るだけで安心するという方がとても多く、時間をかけて築いてきた信頼関係の深さを痛感しています。院長のことを小学生の頃から知っておられる高齢患者さんも多く、患者さんの手を引いて診療室に連れて来るということもよくあるんですよ。
今後の展望を教えてください。
【川越院長】患者さんの高齢化が進み、訪問診療のニーズがさらに高まると予想されます。そうしたニーズに対応できるよう、今後はスタッフ教育にもさらに力を入れていきたいと考えています。
【村上副院長】10年診療を続けていると、学童期から診ている子が高校生や大学生となります。高校生になると大人同士のコミュニケーションが取れるようになり、幼い子どもの頃には難しかったアドバイスが伝わるようになりました。自我が発達し、大人になっていく過程を通して、長く付き合うことの楽しさを実感しています。今後もこうした長いお付き合いができる子たちを増やし、ゆくゆくはその子どもたちも診察できるようになると良いなと考えています。
読者に向けてメッセージをお願いします。
【川越院長】良い歯を整えても、噛めなければ意味がありません。口腔筋の衰えにより健康寿命を縮めてしまっている方が多いのが気がかりです。当院では、「生涯を通じた予防歯科の推進」をモットーに、ハード・ソフト面ともに、常に新しいものを意識しながら、質の高い診療を提供し続けることをめざしています。
【村上副院長】誤解を恐れず言いますが、健康は空から降ってくるものではありません。健康な体は、努力して手に入れるべきものなのです。自身の不調や老いとちゃんと向き合い、定期的な通院やセルフメンテナンス、トレーニングなど必要な対処を続けていただきたいと思います。個人的に、最近は下半身強化を課題に週2回1,500〜2,000mずつ泳いでいます。歩くのが早くなり、疲れにくく、長時間の診療も楽にできるようになりました。やはり筋肉は偉大です。ぜひ鍛えてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1本)/45万円~、審美歯科:白い詰め物(1本)/3万円~、白いかぶせ物(1本)/10万円~、金属床義歯/35万円~