川越 元久 院長、村上 香織 副院長の独自取材記事
川越歯科医院
(川崎市高津区/溝の口駅)
最終更新日:2025/09/29
「日本歯科専門医機構認定補綴歯科専門医として、補綴治療にさらに注力し、ここからの10年を歯科医師としての集大成としたい」と抱負を語る川越元久院長。川崎市高津区末長で63年以上続く歯科医院を継承し、生涯を通じた予防歯科の推進を通して、地域の歯の健康と健康寿命の延伸に貢献し続けている。そんな川越院長を支え、その個性で診療に幅を加えているのが、2015年より常勤となり2023年に副院長となった村上香織先生。「多角的な視点から将来の変化を予測して行う必要がある補綴治療は、高い技術と経験が求められるもの。せっかく治療を受けるのであれば、院長のような方にお願いするべきです」と話す。世代も、性別も、得意分野も異なる2人だからこその同院の深みある診療について、詳しく話を聞いてみた。
(取材日2025年6月4日)
キャリアの集大成として専門である補綴治療に注力
歴史あるクリニックと伺いました。

【川越院長】父が1962年にこの場所に開設してから63年。開設3年後に生まれた私も還暦を迎えました。2013年に継承し、2015年にバリアフリー化と感染予防対策強化を軸とした大幅リニューアルを行ったのですが、それから10年がたちました。当時「あと20年は!」と思ったものですが、あっという間に10年。歯科医師としても36年目となり、この先の10年はキャリアの集大成として、専門である補綴治療に力を入れていきたいと考えています。
【村上副院長】2013年に非常勤での勤務を開始し、2015年に常勤となってから10年。厳しく育てていただき、院長の立派な背中を見ながら学ぶことができました。技術も知識も素晴らしい院長ですが、完全コピーしていたのでは不十分。今後は院長が築きあげてきた診療を受け継ぎながら、私自身の個性も加えた新たな診療を模索していきたいです。
お二人で担うことで、診療に幅が生まれるのですね。
【川越院長】そのとおりです。10年以上一緒にやってきた村上副院長は、口に出さずとも私のやろうとしていることを察して対応してくれます。キャラクターや診療スタイルも大きく異なっていることで、担当患者もうまく分担できています。
【村上副院長】院長ほど患者さんの話をじっくり聞く歯科医師はいないと思います。だからこそ、「他院で治らない」「入れ歯が合わない」といった悩みを抱えた方が多くご相談にいらっしゃるのです。対して私は論理的かつスピーディーな診断が得意。一般的な男女の特性とも真逆なので、驚かれることも少なくありません。患者さんの反応もさまざまで、特に院長はご高齢の女性患者さんからの信頼が厚いです。私は高齢男性からお子さんまで、守備範囲が広いことが強みです。
補綴治療について教えてください。

【川越院長】デジタルデータを活用した光学印象の登場やインプラントの普及など、私のキャリアを通して補綴治療も変化してきました。しかし、根本の部分は大きく変わらないもの。つまり、欠損部の補綴のみならず、歯周病や虫歯の進み方なども考慮して、それぞれの将来の変化を見越した治療を行わなければならないのが補綴治療なのです。
【村上副院長】年齢を重ねることによる視力や体力の低下はあれど、経験がそれに勝る分野が補綴。根管治療などは視力のある若い歯科医師に分があるのも確かですが、こと補綴に関してはどんなに若い世代が頑張っても、経験のある歯科医師にはかないません。私の地元・栃木ではイチゴと並んでメロンも名産ですが、甘さで評判の生産者を聞くと「土が肝心だから長くやっているご高齢の農家さんがお勧め」と言われます。それと同じで、経験という良い土壌を持つベテラン歯科医師だからこそ、上質な治療がかなうのだと思います。
変わりつつある地域に広く門戸を開き、多方面で貢献
患者さんは地域の方で長く通われている方が中心なのでしょうか。

【川越院長】既存患者さんに加え、変わりつつある地域に合わせて門戸を開いています。近隣にお住まいで、開業当初から親子3世代、4世代にわたり通っていただいている方もいれば、お子さんや若い世代で新たに来院いただく方も。この辺りは少子化に逆行している稀有な地域で、学校歯科医を務めている川崎市立末長小学校は現在児童数が1000人を超えています。学校健診も村上副院長と2人がかりで3日間もかかるのです。
【村上副院長】最近では、20代、30代の若い男性で、健診を受けたいと来られる方も増えています。
地域での貢献も大きいのですね。
【川越院長】学校歯科医のほか、区役所での1歳半と3歳半の健診も担当しています。また、長く通って来られた方で通院が難しくなった場合には、ご希望いただければご自宅に訪問しての診療も行っているほか、週に1度特別養護老人ホームを訪れての口腔ケアも実施しています。
【村上副院長】小学校の学校保健委員会で、小児の口腔機能発達不全症について講話する機会をいただいたこともありました。音読の際に発音が悪い子や、給食を食べるのが極端に遅い子など、学校の先生方も気にかけていらっしゃるようです。発達不全によるものかと不安に思うようですが、多くのケースは口周りの筋力不足によるもの。学校やご家庭では音読などもトレーニングになることを伝えています。
口腔機能へのアプローチにも力を入れていらっしゃいますね。

【川越院長】従来、歯科医師の守備範囲は「噛む」まででしたが、今では「嚥下」にまで広がっています。口唇閉鎖力や舌圧、噛む力などを測定し、小児では必要な機能の獲得をめざす「ハビリテーション」を、高齢者では口腔機能の衰えであるオーラルフレイルに起因する症状の解消をめざすリハビリテーションプログラムや唾液腺マッサージ、口周りの筋肉を刺激する低周波治療器などを実践しています。
【村上副院長】会話中によだれがこぼれる、うがい時にむせるといった方にはお声がけしています。ご自身は問題ないと思っている方がほとんどなので伝えづらいですが、オーラルフレイルを正すと呼吸や嚥下のみならずお顔のたるみまでも改善することも。改善に向け、手軽なトレーニング用吹き戻しなどをご紹介しています。
信頼関係による口腔の健康維持と健康寿命延伸をめざす
あらためて地域への想いをお聞かせ願えますか?

【川越院長】訪問診療に出向いてもスムーズで、特に問題が発生するようなこともないのは、地域の患者さんとわれわれの間に信頼関係があるからこそだと実感しています。そのような、長いお付き合いのある皆さんの期待を裏切ることなく、責任を持って診ていきたいと、常に強く感じています。
【村上副院長】12年前からほぼ毎年、カンボジアでの歯科医療に関連するボランティアに参加しています。決して恵まれた環境とはいえませんが、カンボジアの皆さんは勢いがあってパワフル。シンプルに生きることの幸せを噛みしめているような姿を見ると、日本に生きる私たちはなんと複雑に考えてしまっているのだろうと思います。外に出たからこそ見える地域の良い点、改善点があり、そうした気づきを少しずつでも地域に伝え、良い方向に導くお手伝いができると良いなと思うのです。
今後の展望を教えてください。
【川越院長】冒頭でもお話ししたとおり、補綴治療にさらに力を入れていきたいです。入れ歯などの補綴物は、長い人生でもそう何度も作るものではありません。せっかく作るのであれば、より質の高いものを求めていただきたいと思うのです。合わない入れ歯にお悩みであれば、ぜひご相談ください。
【村上副院長】院長が集大成として注力する補綴治療は「この機会にぜひ!」と、私からも患者さんに伝えたいです。あとは、近年少しずつ増えている若い世代の方とも、長いお付き合いを続けられるような関係性を築いていければ。今の若い世代は素直で、こちらから熱意を持って伝えれば聞き入れてくれる子が多い印象です。健康なお口と体を守るために、ぜひ通い続けてほしいです。
最後に、メッセージをお願いします。

【村上副院長】美も健康も自分でつくるもの。不調や老いときちんと向き合い、定期的な通院やセルフメンテナンス、トレーニングなど必要な対処を続けていただきたいですね。私自身も、努力して美と健康に磨きをかけ続けたいと思っています。
【川越院長】歯や歯茎のトラブルはもちろん、噛むことから飲み込むことまで、幅広い対応でお口の健康維持と健康寿命の延伸をめざします。自分の歯でおいしく食事ができる、幸せな人生を送っていただきたいというのがわれわれの願いです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1本)/45万円~、審美歯科:白い詰め物(1本)/3万円~、白いかぶせ物(1本)/10万円~、金属床義歯/35万円~

