宝崎 岳彦 院長の独自取材記事
平沢歯科
(秦野市/秦野駅)
最終更新日:2023/06/08
小田急線の秦野駅から車で5分ほどの住宅街にある「平沢歯科」。広々とした敷地には大きな駐車場があり、ゆったりと余裕を持たせたスロープに配慮を感じるバリアフリーのエントランスを抜けると、高い天井が開放感を演出する待合室が広がる。出迎えてくれたのは宝崎岳彦(ほうざき・たけひこ)院長。「多様化するニーズに応える総合歯科として、地域の歯科医療を支えていきたい」と頼もしい笑顔を見せる。6人の常勤歯科医師と専属歯科技工士、18人以上の歯科衛生士がチーム力を生かしながら、治療の質を追求する同院。そのめざす歯科医療について話を聞いた。
(取材日2023年4月11日)
通いやすさにこだわり「30代からの大人の予防」を
リニューアルから8年が経過するそうですね。
1999年の開院後、2015年に「できるだけクリニックらしくないリラックス感のある空間にしたい」という考えで建築士と相談し建物を一新。人生100年時代を見据えてバリアフリー化し、通いやすさを追求しました。ユニット11台を擁する広い診療室は平坦なので、近年は運搬用ロボットシステムを導入し、診療の効率化とスタッフの負担軽減に努めています。飲食店ではよく見ますが、クリニックで導入しているのは先駆的なのではないでしょうか。また、長く診療していると通院が難しくなるケースもあるので、訪問診療も新たにスタートしました。
診療方針を教えてください。
大切にしているのは、できる限り歯を残すことと、機能を回復させること。「30代からの大人の予防」を掲げ、予防歯科も推進しています。歯科医師は悪い部分を治すために全力で治療に取り組みますが、本来は出番がないのが一番。そのためのお手伝いを担うのが歯科衛生士で、患者さんごとのリスクを考え、一人ひとりのお口の状態に合わせたケアをご提案します。レベルの高い診療のためにも、特に歯科衛生士の教育は大切です。新卒にはベテランがつき、歯科衛生士としてのスキルを学んでいきます。当院の歯科衛生士はプロ意識が高く、外部の講習会に参加するなどして知識と技術を磨くとともに、お子さんにはギフトを用意するなど、楽しく通えるための工夫もしてくれています。
そうした予防の考えは訪問診療でも生かされているとか。
虫歯や歯周病を治療したり、入れ歯を作るだけでなく、口腔内管理も訪問診療の一つの柱と考えています。お口は健康の入口ともいえる場所。汚れていては健康にも影響を及ぼしかねません。何より、デンタルケアを施してもらうと気持ちが良いでしょう。そこで歯科衛生士も訪問診療チームを組み、パーソナルトレーナーのように一人ひとりに寄り添うケアを実践します。患者さんの生活の場に入る訪問診療ですが、できる限り院内での診療と遜色ないレベルでご提供できるよう努めています。また、自宅での診療を希望される方は特に他の疾患や摂食・嚥下の障害がある方も多いので、当院に在籍するケアマネジャーの資格を持つ歯科医師をはじめ、信頼のおけるケアマネジャーさんたちとも連携し、管理栄養士も加えて全身状態と絡めたアドバイスやケアをしていけたらと考えています。
難しい入れ歯とインプラント治療にも専門性高く対応を
スタッフ体制が充実しているのも特徴ですね。
常勤の歯科医師は私を含めて6人。厚生労働大臣の指定する歯科医師臨床研修施設でもあるため、研修医の受け入れもあります。ほとんどの歯科医師が日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第一講座主任教授の小出馨先生に師事しており、理念を共有できているので、治療上の考え方のぶれやエラーを防ぐことにつながっています。また、それぞれ得意分野が異なるので、適材適所で診療にあたれます。他には、専属の歯科技工士が常駐し、歯科衛生士は開院以来20年のベテランから若手まで18人以上のメンバーがいます。歯科医師や歯科衛生士が複数いることで、それぞれの強みを生かして幅広い診療を展開できます。また、先進機器を積極的に導入しており、スタッフ一同、新しいスキルを身につけることにも熱心です。
院長の得意分野は何ですか?
入れ歯とインプラント治療が専門で、難症例を含む多数の症例を経験しています。どちらも失った歯を取り戻すために行いますが、いずれか一方にのみ精通していると、得意なほうをお勧めしがちです。その点、私は両方を長年経験し、2つとも得意としているので、それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、ケースバイケースでより適した治療をご提案できます。例えばインプラント治療では、顎の骨が少なく埋入が難しいケースや、コピーデンチャーを用いてより精度を高めた治療にも対応。手術では、日本歯科麻酔学会歯科麻酔専門医の資格を持つ歯科医師と連携して静脈内鎮静法という点滴麻酔を用いた方法を導入しています。また入れ歯では、噛み合わせの分析を行い、噛みやすく、外れにくく、痛みの少ない入れ歯の提供をめざします。院内に歯科技工士が常駐しているため、ご要望に応じて日程を調整し、最短1日で入れ歯を作製することも可能です。
治療の選択肢を多くご提示いただけると、迷ってしまいそうです。
同じ症状でも、患者さんのライフスタイルや求めるものなどによって、選ぶべき治療は変わります。どの治療を選んでいいのかわからないという患者さんには「何を求めるのか?」を中心に丁寧にカウンセリングを行い、適切な選択へと導きます。当院には完全個室の相談室が2部屋ありますので、歯科医師だけでなくトリートメントコーディネーターと呼ばれるスタッフや歯科衛生士も時間を取って患者さんへのヒアリングを行います。
診療の際に心がけていることはありますか?
電動麻酔器などもご用意して、なるべく痛みの少ない治療を心がけています。それでもどうしても痛みが出そうな場合は「痛いです」と正直に伝えます。「痛いときは手を挙げてください」と具体的にお伝えして、患者さんが戸惑うことのないように気をつけています。また同じように、何か作業をする前には必ず一声おかけします。治療中の患者さんは、何をされているか見えない状態です。「タオルを掛けます」、「機械をお口に入れます」、「お口の中の水を吸います」と事前に説明することで、少しでも不安に思う気持ちを払拭できればと思っています。
自律的に健康を求める人のために力を尽くす
患者さんにはどんな心構えで来てほしいですか?
自律的に健康を求める方のために、それをサポートしたいと考えています。そうした当院の考えに共感してくださる方に来てほしいですね。例えば、私が得意とするインプラント治療や入れ歯をはじめ、インレー、クラウンといった補綴治療は専門性が高い分野です。口腔内スキャナーや3Dプリンターなど先進の機器も導入し、環境、技術ともにレベルの高い治療を提供している自負があります。そうした治療は、時に自費診療になることもありますが、それも含めて高度な歯科医療を求める患者さんに、ぜひ来ていただきたいのです。「悪いところだけ治してほしい」という方だと、残念ながらめざす方向が違うかもしれません。私の治療方針に共感してくださる患者さんと一緒に治療を進めていくのが理想です。
歯科医師を志したきっかけと、この場所での開業を決めた経緯は?
医師や歯科医師の多い家系で、医療を身近に感じていたのと、子どもの頃から喘息で病院にかかる機会が多く、先生への憧れもあったかもしれません。いざ歯科医師になると、壊れた箇所を治療してまた機能するようにしていくという行為は奥深く、やりがいある仕事だと気づきました。この場所での開業は親戚の勧めによるものです。もともと秦野とのご縁はなかったのですが、癒やされる自然があり、水が良くておいしいそば屋うどん屋さんがたくさんある。魅力的な街だと感じています。
最後に読者へメッセージをお願いします。
健康とは何か、改めて考えてみてください。健康を損なうことで、大切な人との関係が壊れたり、体だけでなく、心の面でも失うものが大きく、これまで積み上げてきた人生のすべてを失うことにもつながりかねません。それを踏まえ、ご自身がどうしたいのか、どうなりたいのかを考えていただければと思います。当院では自律的に健康を求める皆さんの受け皿となりたいと思っています。「噛めること」の喜びを取り戻された方の姿を見れたら、歯科医師としての喜びを感じます。ただ、そうした喜びは、ご自身の歯を守る意識の上にのみ成り立つものであるのも事実です。われわれは医療者として最善を尽くしますので、歯を大切にしたいという思いがある方はぜひご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本につき37万円~50万円
骨造成/3万5000円~10万円