国吉 寛仁 院長の独自取材記事
くによしデンタルクリニック
(高崎市/群馬八幡駅)
最終更新日:2026/07/23
国道18号沿いの閑静な住宅地を北に進むと見えてくるのは、オレンジ色の看板が目を引く「くによしデンタルクリニック」。国吉寛仁(くによし・ひろと)院長が30年以上この地で診療してきた父のクリニックを承継し、クリニック名も新たにリニューアル開業した。同院のコンセプトは、「痛くなる前に通うクリニック」。特に予防歯科に力を入れ、検査結果や口の状態を「見える化」することにより、患者に予防やクリーニング、セルフケアの大切さを伝えている。「お口のトラブルは全身疾患につながることをもっと広く知ってもらい、健康診断のように定期的に歯科を受診するのが当たり前になってほしい」と語る国吉院長に、クリニックの特徴や予防歯科について話を聞いた。
(取材日2026年6月19日)
治療だけではなく「予防のための」クリニックをめざす
こちらのクリニックはお父さまから承継されたそうですね。

はい。父が30年以上院長を務めていた「国吉歯科医院」を2代目として継ぐにあたり、建て替えてクリニック名も新たにリニューアル開業しました。今も父は顧問として当院に在籍して診療に携わっているので、以前から通院している患者さんも多いです。私は父の背中を見て育ったからか、子どもの頃から歯科医師に憧れていて、小学生の時は作文にも書いていました。父は当院だけではなく、校医や園医としても地域に貢献してきました。そのため、2歳くらいのお子さんからご高齢の方まで幅広い層が当院に相談に来られます。私も父と同じように、生まれ育った地元の皆さんの健康寿命に貢献していきたいです。
院長就任前は、大学病院やクリニックで診療されていたと伺いました。
大学病院では臨床研修医として診療し、重度の歯周病などクリニックでは対応が難しい状態の患者さんをたくさん診てきました。ほとんどが歯科治療から長年遠ざかっていた方で、定期的に受診していれば、大規模な処置は回避できた方も少なくなかったんです。ですから当院では、トラブルがあってから相談するのではなく、「痛くなる前に通うクリニック」というコンセプトを掲げ、予防歯科をメインに提供することにしました。実際、勤務していたクリニックでは、痛みなどがなくても検診やメンテナンスで定期的に通院される患者さんは結構おられたんです。虫歯は気づかないうちに進行して、神経に到達した瞬間にいきなり痛くなるので、そうなる前に予防していくことが大事です。
予防のために定期的に足を運んでもらえるよう、工夫されていることはありますか?

通いやすいと感じてもらえる環境づくりに力を入れています。例えば、ウェブとSNSを利用した予約システムを採用し、検査結果もSNSで共有しています。利用者の割合はまだ低いですが、若年層の方を中心に少しずつ増えているようです。建物でこだわったのが、明るさと清潔感。全面バリアフリー設計で、スロープや入り口も含めて白を基調に仕上げてもらい、院内の随所にビタミンカラーのオレンジを使いました。ガラス張りの壁は私のこだわりで、以前からの患者さんには最初驚かれましたが「開放感があって良いですね」という声が多いですね。通常の診察台に加え、以前勤務していたクリニックに倣って個室診察室を設けました。診療内容にかかわらず利用できるので、周囲の患者さんの治療中の音が気になる方などは、遠慮なく声をかけてほしいですね。
ライフステージと口腔状態に適した予防歯科診療を提供
予防歯科について、診療内容とこちらのクリニックならではの特徴を教えてください。

基本的に検査からスタートします。当院では、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)の深さを測定し、タブレット型端末で患者さんに確認してもらえるシステムを導入しました。現状が可視化されるので、患者さんには治療に前向きになってもらえるのではないでしょうか。歯周ポケットが歯ブラシが届かない深さの場合は、治療方法やクリーニング・検診の受診間隔を調整しながら診療を進めていきます。クリーニングについても、口腔を上下左右で分割して細かく行うほか、検査結果などに応じたセルフケアをアドバイスしています。これから患者さんのデータが蓄積されていけば、数値の推移をもとに長期的なメンテナンス計画を提示できるので、お口の健康維持を末永くサポートできると思っています。
先ほどお話にあった重症化を防ぐ意味でも、常日頃から予防しておくことが大切なのですね。
すべての世代でいえることです。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020(はちまるにいまる)運動」という指針を耳にした方は結構おられるのではないでしょうか。実際、「8020」を達成されている方は増えていて、予防歯科の概念はかなり浸透してきていると実感しています。今の歯科治療では、「悪くなった歯は抜くのが当たり前」という傾向は薄れてきているので、抜かないのであれば余計大事にしなければなりません。歯茎はどうしても年齢とともに下がってしまうので、できるだけ食い止めるためには定期的な検診は必要です。特にご高齢の方にはセルフケアに加えて、磨ききれない部分の汚れをクリニックできれいにしてもらうことをお勧めします。
お子さんの予防歯科についてはどのようにお考えですか?

乳歯がある場合、虫歯が進行して乳歯の根っこに感染が起きると、乳歯の下の永久歯に影響を及ぼす可能性があるので、積極的に予防歯科を受けてほしいです。診療では、定期的なフッ素塗布とフッ素入り歯磨き粉による歯磨きを主に提供しています。3ヵ月ごとの塗り直しが目安ですね。ただ、無理やり治療してしまうと、お子さんに恐怖心を与えかねません。そこで当院では、カプセルトイのご褒美や人気キャラクターの診察券など、お子さんが治療を頑張ってくれるきっかけづくりに取り組んでいます。また、診察スペースの壁に掛けたキャラクターの絵や、診察台から見える場所に置いている小さな人形に興味を持って自ら診察台に歩み寄ってくれるお子さんはかなり多いですよ。
治療の精度と質にこだわり、先端の機器や技術を導入
診療で心がけていることは何ですか?

予防歯科をメインにしているので、患者さんに「定期的に通おう」と思ってもらえるような動機となるコミュニケーションを、スタッフ皆で心がけています。以前、「歯科医院が苦手だったけれど、ここに来たらとても安心しました」と言われて、本当にうれしかったのを覚えています。一人でも多くの患者さんに同じように感じてもらえるクリニックをめざしています。治療で意識しているのは、痛みに気を配ることと、歯と神経を極力残すこと。歯にぐらつきがあっても「痛みがないので残したい」とのことであれば、代わりにこまめなクリーニングやセルフケアの管理を行うなど、患者さんのニーズに柔軟に対応しています。
リニューアルに伴い、設備面もずいぶん変わったようですね。
はい。神経が近い場所など精密な治療に用いる歯科用CTやマイクロスコープ、印象材を使わずに型採りできる口腔内スキャナーなどを導入し、治療の精度向上につなげています。治療についての説明では、言葉による説明に加え、ユニット前のモニターに、治療の流れやシミュレーションを解説するアニメーションを映しています。口の中の治療は患者さんに見えないので不安になる方も多いはず。「どんな治療をしているのか」をわかりやすくお伝えすることで、安心して受診してもらいたいですね。もうデジタルの時代ですから、先進の医療機器を導入しましたし、今後も積極的に取り入れていかなければならないと考えています。
最後に、読者へのメッセージをいただけますか?

私はいつも、デンタルフロスと歯間ブラシ、洗口剤を使って入念にセルフケアを行っています。皆さんにも食後の歯磨きと、抗菌作用のある唾液が減る就寝前のセルフケアを習慣づけてほしいですね。そして、特に気になるお口の悩みがなくても、半年に1回は歯科衛生士によるクリーニングをお勧めします。予防歯科というワードは定着してきていますが、なぜか歯科は「歯が痛くなってから行く場所」というイメージが浸透しているんですよね。歯周病は脳梗塞や糖尿病、誤嚥性肺炎などの疾患や妊婦さんの早産など、全身に関わってくるので、定期的な歯科受診が人間ドックや健康診断のように浸透してくれればいいなと思いますし、そうなるように力を尽くしていきたいです。

