歯周病予防は毎日の積み重ね
健康寿命を支える口腔ケア
井手口歯科医院
(高松市/栗林公園北口駅)
最終更新日:2026/07/29
- 保険診療
虫歯(う蝕)と並ぶ、代表的な口の中の病気である歯周病。身近な病気でありながら、自覚症状に乏しいまま長い年月をかけて進行し、気づいた時には歯を失うほど悪化しているケースも少なくない。また近年では、糖尿病や心疾患など全身の健康との関連も指摘され、健康寿命を延ばすためにも、治療だけでなく予防と継続的なケアの重要性が注目されている。「まずは患者さん自身に、お口の状態や歯周病になった原因を理解してもらうことが治療の出発点です」と話すのは、「井手口歯科医院」の井手口英隆副院長。歯周病態学を専門とし、長年にわたって歯周病の診療や研究に携わってきた井手口副院長に、歯周病のメカニズムや治療、セルフケアとプロフェッショナルケアの役割、全身疾患との関係について詳しく聞いた。
(取材日2026年7月9日)
目次
歯周病は治療だけでなく予防が大切。セルフケアとプロフェッショナルケアで将来の健康を守ることにつなげる
- Q「歯周病」とは、具体的にどういった状態なのですか?
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A
▲歯周病の検査や治療の重要性を語る井手口副院長
歯周病は、歯と歯茎の境目にたまった細菌による感染症です。細菌が長期間とどまることで炎症が起こり、歯茎だけでなく、歯を支えている骨などの歯周組織が少しずつ壊されていきます。1〜2年で急に進行する病気ではなく、10年、20年という長い年月をかけて進行していくのが特徴です。高血圧症や糖尿病などと同じ生活習慣病の一つと捉えられており、自覚症状がほとんどないまま進行することも少なくありません。気づいた頃には歯がぐらつき、最終的に抜けてしまうこともあるため、「自分は症状がないから大丈夫」とはいえないのがこの病気の怖いところです。
- Q歯周病になる原因はなんですか?
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A
▲プライバシーに配慮した個室で治療を受けられる
歯周病の直接的な原因は、お口の中の細菌ですが、なりやすさには骨格や歯並び、生活習慣などさまざまな要因が関係します。日本人は顎が小さく、歯の根が短い傾向があり、歯周病に弱いタイプともいわれます。近年の若い世代は特に顎が小さい方が多く、歯並びが悪くなることで磨き残しが増え、歯周病のリスクが高くなります。中年層では、ストレスによる食いしばりや歯ぎしり、多忙によるセルフケア不足、生活習慣の乱れなどが要因になりますし、より高齢になると、全身疾患や免疫抑制剤の使用なども影響し、お口の健康が損なわれやすくなります。
- Q歯周病の治療についても教えてください。
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A
▲精密な治療を心がける同院
先ほど説明したように、歯周病の原因は人によって異なりますので、治療ではまず「なぜ歯周病になったのか」を患者さん自身に理解していただくことから始めます。エックス線や口腔内写真で現在の状態を視覚的に確認し、歯周病が病気であることや、自分のお口の状態を知っていただくことで、治療への意識や通院へのモチベーションにつなげていきます。その上で、歯石の除去を図り、口の中を清潔に整える処置を進めます。必要に応じて抗生物質の使用や、歯茎を開いて深い部分の汚れを取り除くための外科処置を提案することもありますが、患者さんの理解や気持ちに寄り添いながら、焦らず治療を進めることを大切にしています。
- Q歯周病はどうやったら予防できるのですか?
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A
▲デンタルケアの指導にも力を入れる
歯周病は自覚症状が乏しいため、毎日のセルフケアだけでなく、定期的に歯科医院でプロフェッショナルケアやチェックを受けることが大切です。歯科検診を受けることで、自分では気づきにくい歯周病や、虫歯(う蝕)の早期発見・早期治療につながります。セルフケアでは、「どんなデンタルケア製品を使うか」よりも、「どれだけ時間をかけて磨くか」が重要です。研究でもその重要性が示されており、私自身も患者さんには、1回5〜10分を目安に、時間をかけて磨くように指導しています。最近は多くのデンタルケア製品が出ていますが、例えば「この洗口液を使っているから安心」ということはなく、基本的なケアを継続することが大事です。
- Q歯周病は全身疾患との関わりもあると聞きました。
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A
▲患者の将来を見据えた治療計画を立てていく
そうですね。ここ10年ほどで、歯周病と全身疾患との関連を示すエビデンスが数多く報告されるようになりました。歯周病は糖尿病をはじめ、心疾患や関節リウマチ、妊娠・出産などとも関係すると考えられており、お口は全身の健康への入り口といっても過言ではありません。にもかかわらず、歯周病の受診率は決して高くないという現状があります。特に生活習慣病のある方は、全身の治療だけでなく、お口の健康にも目を向けることが大切です。歯を失って噛めなくなると、食生活や健康状態もさらに悪くなるという悪循環になりかねませんので、ぜひ定期的な歯科受診を心がけていただきたいですね。

