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阿部 健一郎 副院長の独自取材記事

阿部歯科医院

(木田郡三木町/農学部前駅)

最終更新日:2021/12/02

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院 main

琴電長尾線・農学部前駅から徒歩3分。香川大学農学部の正門前に、レンガ造りの外観が印象的な「阿部歯科医院」はある。今年創設75周年を迎える同院では、2代目の阿部直樹院長と、息子の阿部健一郎副院長が診療。豊富な診療経験を持つ直樹院長と、日本歯周病学会歯周病専門医でもある健一郎副院長が力を合わせ、三木町エリアの歯科医療を支えてきた。今回は、患者の人生に長く寄り添い、口腔内の健康を見守り続けることを大切にする健一郎副院長に、診療に対する思いなどを聞いた。

(取材日2021年9月3日)

祖父から孫へ歴史を紡ぐ、地域の頼れる歯科医院

三木町で長く続く歴史のある歯科医院だそうですね。

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院1

おかげさまで、今年の10月に75周年を迎えます。当院は、私の祖父で初代院長の阿部正が1946年に開業して以来、これまでずっと同じ場所で診療を続けてきました。1978年には父が2代目院長に就任し、2014年4月からは私も副院長として診療に加わっています。患者さんの中には、祖父の代から通ってくださっている方も多く、私が診療をしていると、「先生のおじいさんにはお世話になったんだよ」と教えてくださる方もいるんですよ。代替わりのタイミングで移転をするクリニックも多いんですが、このように患者さんに関わり続けることができて、長く同じ場所で続けてきて良かったなと思います。

2014年に院内の改装をしたそうですが、何かこだわった部分はありますか?

当院の患者さんは高齢の方が多いので、まずフローリングの床を滑りにくいじゅうたんへと張り替えました。トイレや診療室も車いすのままで入りやすいようになったと思います。以前の院内は暗かったんですが、改装をして随分明るい雰囲気になったのではないでしょうか。診療ユニットは適度なパーティションで仕切られていて、周りを気にせずに治療を受けていただくことができるようになりました。カウンセリングルームについては、ゆっくりと落ち着いて相談ができるように完全個室になっています。また、改装のタイミングでデジタルエックス線を設置し、最近はレーザー機器を新しく導入しました。改装する際に、診療ユニットの数を増やすことも一度は考えたのですが、やはり患者さん一人ひとりにきちんとあいさつをして、「顔が見える診療」をしていくには、自分が対応できる今の規模が適していると思いました。

院長であるお父さまと一緒に診療されていますね。

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院2

一緒に働いていると親子ですので遠慮なく意見がぶつかることもありますが、診療方針でぶつかるということはありません。当院の診療だけでなく、歯科医師会での仕事など、長年にわたって三木町の歯科医療に貢献してきた父のことは尊敬していますし、感謝もしています。ただ、その思いをきちんと言葉で伝えるというのはなかなか難しいですね(笑)。一緒に仕事をしていると、それぞれの患者さんの診療で忙しくて、父が患者さんと接している背中を見る機会も少ないのですが、以前、父が長年診てきた患者さんを私が診療した際、父がこれまで丁寧な診療を重ねてきた結果が口腔内に現れているなと感じましたね。

子どもから高齢者まで長く丁寧に寄り添っていく

先生の診療ポリシーについてお聞かせください。

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院3

私が普段からポリシーとして掲げているのが「Keep28」です。80歳になっても20本以上の歯を保とうという「8020運動」というものがあるのですが、これは本数の話であって、前歯がすべてなくて残っている歯が口の奥に集まっていたとしても、20本残っていることになるわけです。バランスよく歯を残すことを考えると、やはり28本以上残せるような治療をしていくことが重要だと思います。そのためにも、患者さんには普段から「歯科医院は痛いから行く場所ではなくて、痛くなくても健康を維持するために行く場所ですよ」ということを繰り返しお伝えしています。もちろん虫歯の治療もしますが、できる限り再治療をしなくて済むように良い状態を維持していくことが大切なのです。歯科というのは0歳の頃から高齢になるまで、年齢が上がってもずっと通い続ける場所ですので、長いお付き合いを大切にしながら診療を続けていきたいと思っています。

先生が、特に力を入れていることはありますか?

現在特に力を入れているのが、妊婦さんへの指導ですね。赤ちゃんが生まれる前からお子さんの歯のケアについて説明を重ねていくことで、歯の健康に対する意識が変わってくると考えています。例えば、抱っこの仕方が歯並びに影響することや、離乳食の食べさせ方といったことについて、歯科医師の立場からアドバイスさせていただき、少しでもお子さんの口腔に興味を持ってもらえるよう心がけています。

お子さんの歯の健康を守るという点で、院外での活動も積極的にされているそうですね。

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院4

院長が近隣の小学校と幼稚園で歯科検診を担当していて、私もその手伝いをしています。新型コロナウイルスの影響で今は思うように活動ができていないのですが、以前は小学校の参観会で保護者向けの講演を行ったり、食育の一環として2年生の子どもたちと一緒に給食を食べながら、食べ方で歯並びに影響があることを伝えたりしていました。そのほかにも、5年生の歯磨き大会に一緒に参加するなど、どの学年にも毎年顔を出して携わってきました。それをきっかけに当院に通ってくださるようになった方もいますよ。

医科歯科の連携を実現し、全身の健康を見守っていく

患者層についてはいかがですか?

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院5

以前働いていた京都や大阪のクリニックと比べると、高齢の患者さんが多いですね。私は日本歯周病学会歯周病専門医の資格を持っているのですが、この近隣ではまだ歯周病専門医の数が少ないため、ホームページなどを見て遠方から来院する患者さんもいらっしゃいます。当院に通ってくださっている高齢の患者さんの中には、糖尿病の方も多いのですが、これは糖尿病と歯周病に関係があるからと考えています。糖尿病があると歯周病になりやすく、歯周病があると糖尿病は悪化しやすいため、糖尿病のある患者さんの場合は医科歯科が連携をしていくことが大切だと思います。当院では糖尿病の患者さんについては、主治医の先生に手紙を書くなどして、情報交換をしながら診療を行っていますし、患者さんにも口腔内の状況が全身にも影響を及ぼすことをしっかりとお伝えしています。

どのような時に歯科医師としてのやりがいを感じますか?

当院に来ているお子さんたちの中には、歯医者さんを好きと言ってくれて、遊びにいくような感覚で来てくれるお子さんもいるんです。怖がることなく、好きと言ってもらえると、歯科医師としてうれしいなと感じます。また、これまで携わってきたお子さんが、成長する中で歯科に興味を持ち、歯科衛生士の道に進んだこともありました。そのように患者さんの人生に何かしらの形で携われていることは、私にとっても大きなやりがいにつながっています。

最後に、今後の展望について教えてください。

阿部健一郎副院長 阿部歯科医院6

将来的には小児科の先生との連携もしていきたいと思っています。新型コロナウイルスが発生して以来、マスクをつけることが習慣化していますが、マスクをすることで息がしにくくなってしまうため、その結果、口呼吸のお子さんが増えてしまっているんです。そうすると口の周りの筋肉が衰えるだけでなく、口の中が乾いてしまったり、低年齢のお子さんの場合にはアデノイドや歯茎が腫れやすくなったり、喘息などのアレルギーが出やすくなってしまいます。こうした問題は、鼻呼吸のトレーニングをすることで対応できますので、歯科と小児科とがうまく連携をして、子どもたちの口腔と全身の健康を見守っていけたらと考えています。

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