阿部 健一郎 副院長の独自取材記事
阿部歯科医院
(木田郡三木町/農学部前駅)
最終更新日:2025/11/21
琴電長尾線・農学部前駅から徒歩約3分。香川大学農学部の正門前に、れんが造り風の外観が印象的な「阿部歯科医院」がある。2026年に80周年を迎える同院では、2代目となる阿部直樹院長と、息子の阿部健一郎副院長が診療。豊富な経験を持つ直樹院長と、日本歯周病学会歯周病専門医である健一郎副院長が力を合わせ、三木町エリアの歯科医療を支えている。今回のインタビュー取材では、患者の人生に長く寄り添い、口腔内の健康を見守り続けることを大切にする健一郎副院長に、同院の歴史や診療に対する想いなどを詳しく聞いた。
(取材日2021年9月3日/情報更新日2025年11月19日)
祖父から孫へと歴史を紡ぐ、地域の頼れる歯科医院
三木町で長く続く、歴史のある歯科医院だそうですね。

当院は私の祖父で、初代院長の阿部正が1946年に開業してから約80年間にわたって、この三木町池戸で診療を続けてきました。祖父の代から通ってくださっている患者さんも多く、「先生のおじいさんにはお世話になったんだよ」と私に教えてくださる方もいるんですよ。代替わりのタイミングで移転をするクリニックも多いですが、当院は同じ場所で、長く患者さんと関わり続けることができて良かったなと思います。1978年には父が2代目院長に就任し、2014年からは私も副院長として診療に加わりました。父とはもう10年ほど一緒に働いていますが、診療方針でぶつかるようなことはありません。父の患者さんを診れば、父が丁寧な診療を続けてきた結果が現れていると感じますし、診療や歯科医師会での活動などを通して、三木町の歯科医療に貢献してきた父のことは心から尊敬しています。
副院長に就任された当時のお話をお聞かせください。
私が中心となって、まずは改装工事を行いました。当時は高齢の患者さんが多かったことから、床は滑りにくいじゅうたんに。トイレや診療室は、車いすでも入りやすい幅や広さに変更しました。患者さんと落ち着いて相談ができるよう、完全個室のカウンセリングルームも用意しましたね。さらに取り組んだのが、設備機器の拡充です。デジタルレントゲン(エックス線撮影装置)から始まり、レーザー、口腔内スキャナー、歯科用マイクロスコープと、先進の機器を順次そろえていきました。マイクロスコープは治療中の動画を撮影できますので、他の歯科医師や歯科衛生士に対して、より高い解像度で情報を共有することが可能です。診療チェアを増やすことも一度は考えたのですが、患者さん一人ひとりにきちんとあいさつをして、「お顔が見える診療」をしていくためには今の規模感が適していると思い、チェア数はそのままです。
現在の患者層や、主訴はいかがですか?

幅広い年齢層の方々が、老若男女、受診されています。来院目的としては定期検診の方が最も多く、お子さんは特にその傾向が強いです。中には「歯医者さんが好き」だと言って、遊びに行くような感覚で来てくれるお子さんもいらっしゃいますね。歯科医師としては非常にうれしく、ありがたいことです。過去には、当院に通われていたお子さんが成長後、歯科衛生士の道に進んだこともありました。そうやって患者さんの人生に関われることは、大きなやりがいへとつながっています。
子どもから高齢者まで、長く丁寧に寄り添っていく
先生が、特に力を入れている治療はありますか?

日本歯周病学会歯周病専門医として、歯周病の治療に力を注いでいます。歯周病は糖尿病と深い関係性があり、糖尿病があれば歯周病になりやすく、歯周病があれば糖尿病が悪化しやすいことがわかってきました。当院では、かかりつけ医となる内科の先生に手紙を書くなどして患者さんの情報を共有し、患者さんに対しては、口腔内の状況がどのように全身に影響を及ぼすのかを、しっかりとお伝えしています。もちろん、食事指導や運動療法は内科での対応が中心となりますが、互いに連携して治療に取り組むため、血糖値やHbA1cの測定などは当院でも行っています。歯周病と糖尿病の治療を並行する患者さんは三木町の他、高松市やさぬき市、県外からも来られていますね。県外などの遠方から来られる方は、私が歯周病専門医であることを理由にお越しいただいているようです。
歯周病を専門分野に選ばれたきっかけは?
大阪歯科大学の在学中に、「歯周組織再生療法」という新しい治療法の登場を耳にしたことがきっかけです。歯周病が進行すると、歯を支える組織が溶かされ歯を失うことになりますが、歯周組織再生療法では、専用の薬剤を用いて失われた組織の再生を促します。歯科医師としては、やはりできるだけ歯を残せるような治療の技術を身につけたいと思い、この分野を深く勉強するようになりました。大学卒業後は、大学病院の歯周治療科に入局。京都府の歯周病専門クリニックなどに勤め、三木町に帰ってから日本歯周病学会歯周病専門医の資格を取得し、各所で歯周病治療の講師を務めてきました。2025年には「Period Lav(ペリオラボ)」と名づけたスタディーグループを発足し、歯科医師や歯科衛生士が、専門的な歯周病学を気軽に学べる場を用意しています。歯周病の予防、そして治療に向き合うため広く中四国の方々と学び、ともに成長していきたいです。
マタニティー歯科に注力されているのも、予防の観点からですか?

そうですね。妊婦中は歯周病になりやすいという話もありますが、そもそも子どもに予防の知識を与え、教えるのは難しいことですから、これから子どもを持つお母さんに説明を重ねることで、予防の意識をつないでいきたいと考えています。妊娠期の口腔ケアや定期検診の大切さだけでなく、抱っこの仕方や離乳食の食べさせ方などについても、歯科医師の立場からアドバイスしていますよ。毎年、学校医を担当する小学校の参観会では、保護者向けにむし歯や食育についての講演も行っています。自院でできることには限りがありますから、幼稚園や保育園、小学校での保健活動には引き続き力を入れていきます。
医科歯科の連携を実現し、全身の健康を見守りたい
先生の診療ポリシーをお聞かせください。

私がポリシーとして掲げているのは、「Keep28」です。80歳になっても20本以上の歯を保とうとする運動がありますが、この「8020運動」は、あくまでも歯の本数のお話です。歯がすべて口の奥に集まっていても、「20本残っている」ことになります。バランス良く歯を残すことを考えると、やはり28本以上の歯を残すべきだと思うのです。そのためにも、患者さんに対しては「歯科医院は歯の痛みがなくても、健康を維持するために行く場所です」と繰り返しお伝えしています。当院ではむし歯の治療や、歯を失った場合に人工の歯を入れるインプラント治療なども行っていますが、まずは定期検診を通じて良好な口腔環境を維持することが大切です。加えて、歯並びの悪さ、噛み合わせの悪さもむし歯や歯周病のリスク要因となり得ますので、子どものうちから歯並びと噛み合わせを整えてほしいと思います。
お忙しい毎日かと思いますが、プライベートな時間の過ごし方は?
3人の子どもの子育てに追われる生活です(笑)。私は中・高・大とバスケットボール部に所属していたので、子どもたちがもう少し大きくなったら、一緒にバスケがしたいと思っています。実は、院長も私もバスケ部出身なんですよ。香川県のプロバスケットボールチームも応援しており、スタッフ全員で試合観戦に出かけたこともあります。
最後に、今後の展望をお聞かせください。

歯周病と糖尿病の治療を基盤に、さらに予防の観点での取り組みを拡大したいと思っています。その一つが、矯正治療です。当院では月に1度、徳島大学から矯正専門の先生にお越しいただき、小児・成人矯正に取り組んでいます。歯並びや噛み合わせが悪いと、食事も早食いになって糖尿病のリスクが高まり、糖尿病のリスクが高まれば、歯周病のリスクも高まります。成人矯正に至る前、小児矯正の段階で治療を終えて、歯並びと噛み合わせを整えたお子さんを一人でも増やしていくことが目標です。歯科医院はいくつになっても通い続ける場所ですから、どなたとも長いお付き合いを大切に、これからもこの場所で診療を続けていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは小児矯正/33万〜49万5000円、成人矯正/72万〜88万円、インプラント治療/42万円〜

