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三好 良一 院長の独自取材記事

港南歯科クリニック

(伊予市/伊予市駅)

最終更新日:2021/10/12

三好良一院長 港南歯科クリニック main

伊予市米湊、国道56号を少し入っていくと、温かみのある木造の建物が現れる。1985年開業、2003年に国道沿いから移転した「港南歯科クリニック」だ。穏やかな笑顔で迎えてくれたのは、院長の三好良一先生。建物同様、優しい雰囲気にホッと緊張も和らいでいく。開業当初、虫歯に苦しむ子どもたちの治療に注力する中で予防歯科の重要性を痛感したという三好先生。以来、生活習慣まで含めた予防の観点から、口腔内の健康づくりに情熱を注いでいる。「歯科は一方的な治療ではなく、患者さんと一緒に協力し合うことが大切。年を取っても自分の歯で噛めるように、寄り添っていきたい」と熱く語る三好先生に、予防歯科に目覚めたきっかけや、患者に伝えたいことなどをたっぷり話してもらった。

(取材日2019年9月4日)

子どもの大切な歯を守るため、予防歯科に尽力

この地で開業に至った経緯を教えてください。

三好良一院長 港南歯科クリニック1

私は愛媛県の宇和町(現・西予市)で生まれ育ち、歯科医師をめざして広島大学歯学部に進みました。卒業後、そのまま大学に残り研修をする中で上司から「開業するから一緒に歯科医院を立ち上げるのを手伝ってほしい」と言われてお手伝いをしたのですが、その時に開業のノウハウを学ばせてもらったことが、自分の歯科医院を開業する後押しとなりました。場所を伊予市に決めたのは、大学時代の先輩のお父さんが愛媛県歯科医師会伊予支部(現・伊予歯科医師会)に開業されていて相談に乗っていただいたのがきっかけです。1985年に開業することになりました。

先生は予防を大事にされていますが、開業当初からのコンセプトでしょうか?

最初から予防に注力していたわけではなく、かなりの方向転換がありました。私が開業した三十数年前は「虫歯の洪水」といわれた昭和の時代の終わりのほうでしたが、それでも虫歯の子どもが多かった。生え始めの永久歯なのに、神経を取らなくてはならないほど虫歯が進行しているというケースも多々ありました。大学時代は補綴を専門としていたので、もともとクラウンやブリッジなどのかぶせ物や詰め物をきちんと入れようという感覚でいたのですが、それではなかなかうまくいかない。自分が丁寧に治療して入れた物が数年後には無残なことになっていたり、虫歯が再発したりということが起こってしまっていました。開業から4〜5年がたった頃、削って詰めるという治療に限界を感じ、虫歯の原因を探るほうが大事だと気づいてからは、徐々に予防、メンテナンスへとシフトしていきました。

子どもでも、神経を取らないといけないほど虫歯が進行してしまう場合もあるのですね。

三好良一院長 港南歯科クリニック2

むしろ、子どもの歯のほうが虫歯になりやすく進行も早いのです。永久歯に生え変わってから根っこがしっかりできるまでには少なくとも2〜3年かかるといわれていますが、その未成熟な時に甘いものを食べたり、間食のとり方が悪かったりすると、すぐに大きな虫歯になりやすいのです。成熟する前の歯の神経を取ると、根っこがそれ以上成長しませんから、弱い歯のままになって、将来的に抜けてしまう可能性が高まります。それこそ同じ場所に虫歯が再発するようなことになれば、もう抜くしかない状況になってしまいます。だから、永久歯の生え始めは大事な時期。子どもの時に「絶対虫歯をつくらない!」くらいの意気込みが大事なのです。伊予歯科医師会が働きかけて、伊予市伊予郡のほとんどの園、学校でフッ素洗口をしていただけるようになって、現在、全国でもここは子どもの虫歯の少ない地域になりました。

患者の生活に寄り添う歯科のかかりつけ医をめざす

それで先生は、子どもや大人への予防の意識づけやメンテナンスを大切にされているのですね。

三好良一院長 港南歯科クリニック3

そうですね。でも、この30年で虫歯治療も随分変わりましたし、社会全体で虫歯の予防意識が高まってきているので、親御さんも、自宅での歯磨きなどのセルフケアを頑張ってくれています。私は地域の小学校の校医をしているのですが、フッ素洗口のおかげもあって、今では歯科健診で虫歯を見つけるのが難しいぐらい、子どもの永久歯の虫歯は減っています。ですが次の問題は、高校生以降、親御さんの目が離れた時に食生活が乱れて、ひどい虫歯をつくってくる人がいるということ。成人してからの虫歯は、歯が成熟しているので子どもの未成熟な歯に比べれば予後の良いこともありますが、長く自分の歯を保つのには、やはり重要なのは虫歯をつくらないこと。親元を離れても自分でセルフケアができるよう、子どものうちから自分の口腔内の状況を管理できるようにしておく必要があります。

どのような患者さんが来院されますか?

長年通っていただいている高齢の方が増えてきて、患者さんと一緒に年齢を重ねていることを実感しています。以前は自分で歯磨きなどのセルフケアができていた患者さんが認知症になり、やがて通院が難しくなるということもありますので、希望があればできる限り往診にも伺っています。私が行う治療は一般歯科の範囲で、技術的に先進的なものではありませんが、患者さんが自分の歯で噛んで食事ができるように、必要なことはしっかりやっていきたいと考えています。年齢によって必要な治療も違いますし、その患者さんがどの程度の自己管理をできるのかによっても向き合い方は変わってきますから、その方に合った方法を一緒に考えていくことに注力しています。

診療の際にはどんなことを心がけていますか?

三好良一院長 港南歯科クリニック4

私がめざしているのは「歯のかかりつけ医」です。歯科においては、虫歯でも歯周病でも、患者さんのお口の中のことならなんでも気軽に相談に乗れるような、そんな存在になりたいと考えながら日々の診療に臨んでいます。当院では治療と同時に、予防にも取り組んでいるのですが、そのプロセスにおいては患者さんの生活を知ることが重要。そこで大活躍してくれるのが、口腔ケアを担当する歯科衛生士です。彼女たちのコミュニケーション能力はすごいですよ。患者さんの目を見ながらお話をして、お口の中の状況だけでなく、家庭状況、生活習慣、さらには歯科医院までどうやって来院されたのかまで、丁寧にヒアリングしてくれるのです。私がめざす予防歯科、メンテナンスは、彼女たちを抜きには考えられません。

患者と歯科医師、協力体制で口内環境を保つ

生活と口の中の関連性を感じる印象的な症状はありますか?

三好良一院長 港南歯科クリニック5

歯が痛くなると、真っ先に虫歯を疑うと思いますが、意外と原因は別にあることも多いのです。その一つが、食いしばり。試験や仕事で忙しい時、力が入ると無意識に歯を食いしばってしまう。そしてその状態が続くと、痛みが出たり歯が浮いているように感じたりしてしまうのです。食いしばりが疑われる患者さんには、最近どんなことがあったか、どんなお仕事をしているかなど、できるだけ生活背景を伺うようにしています。悪いところを付け焼き刃的に治すだけではなくて、なぜそうなっているのかという原因に迫る、それが私のやりたいことです。

とても若々しい先生ですが、健康の秘訣は何でしょう。

毎朝のルーティンでしょうか。朝6時に起きて、まず尺八をしばらく吹いて呼吸を整えます。それから五色浜まで約2kmのランニング。さらに海で泳いで、帰ってきたら朝食を取って、診察開始といった流れです。診察後の過ごし方としては、週一度は近くのお寺で座禅を組み、週に一度はストレッチの教室に通っています。長年、ストレッチを続けていると「ちょっと肘肩などが動きづらい」など些細な変化にも気づけるようになります。自分の状態を知るためにも、毎日何かを続けることって大事です。歯科も同じで、普段から自分のお口の状態を気にしていれば、歯茎の異常などにもすぐに気づけますから、ひどくなる前にセルフケアでコントロールできます。私自身もセルフケアを突き詰めていきながら患者さんにお裾分けして、一緒に年齢を重ねながら助け合っていきたいですね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

三好良一院長 港南歯科クリニック6

一方的に治療を受けるのではなく、治療に参加するという意識で、歯科医院から何か収穫を得て帰っていただけたらうれしいです。虫歯が起こった原因は、患者さんご自身が握っています。私たち歯科医師がいくら主訴を治したとしても、その根本に隠れている生活習慣の問題などが明らかにされないと、改善できません。だからみんなで力を合わせることが大切なのです。歯科医師、スタッフは歯に関するいろんな引き出しを持っていますから、なんでも聞いてください。わかることは喜んでお答えします。そして一緒にお口の健康を守っていきましょう。

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