全国のドクター14,162人の想いを取材
クリニック・病院 156,490件の情報を掲載(2026年1月24日現在)

ドクターズ・ファイル会員でできること

予約情報をマイページ上で管理できます!

過去の予約を一覧化

予約内容の確認

予約の変更・キャンセル※

※一部対象外の医療機関もありますので、あらかじめご了承ください

会員登録がお済みでない方は

すでに会員の方は

メディカライアンスイベント開催レポート PC用画像 メディカライアンスイベント開催レポート SP用画像

(公開日2025年12月25日)

2025年9月20日、株式会社ギミック主催の地域医療連携交流会「メディカライアンスデー」が開催されました。7病院・1企業の共催のもと行われた本イベントには、東京都西南部・南部エリアの世田谷区・渋谷区・目黒区・港区・品川区・大田区の医療機関が集結。病院・クリニック・介護事業所を合わせて総勢222名が来場し、会場は医療連携に取り組む人たちの「学び」と「つながり」とを創出する絶好の機会となりました。

メディカライアンスデーがめざすもの

医療連携においてよくいわれる「顔の見える関係づくり」の重要性。しかし実際には、情報不足などから連携先の「顔が見えない」ことに不安を感じる医療機関が少なくありませんでした。そこで、これまで医療現場の課題解決に努めてきた私たちだからこそできることがあるのではないかと考え企画したのが、「メディカライアンスデー」です。「日頃オンラインでのやりとりが多い」「他院とつながる場がない」といった悩みを抱える病院・クリニック・介護事業所の関係者が一堂に集い、「顔の見えるつながり」をつくる――それにより、地域医療連携を「線」から「面」へと広げ、地域医療に関わる人々の「不」を「希望」に変えることが私たちの願いです。

学ぶ

イベントの目的の一つである「学ぶ」場の創出。各分野に精通するゲスト講師を迎え、医療連携を強化するための情報をあますことなく提供しました。医療連携の実践例を筆頭に、情報発信のためのSNS運用のコツや組織内ブランディング、医院経営における資金調達の仕方、さらにはAIの活用法まで。さまざまな視点から医療連携の未来を見つめ直す各種講演に、会場は熱気に包まれました。

作って満足で終わらせない効果的な“公式SNS運用”とは

本講演に登壇した大石真由佳氏(ドクターズ・ファイル編集長)は、冒頭で患者の医療機関選びにおいてSNSが果たす役割が年々高まっている現状を紹介。また、患者は単なる情報としてだけでなく、医師やクリニックの“人となり”をSNSを通じて感じ取り、受診先を選ぶ傾向が強まっていると解説しました。SNSは患者との信頼関係を築き、共感を生む「ファン化」のツールであることが強調されると、うなずく来場者の姿も。続いて、LINE公式アカウントやInstagram、YouTubeなど、それぞれの特性が紹介され、ターゲット層や発信内容に応じて使い分けることが成功の鍵と説明がなされました。加えて、SNS運用の効果を最大化するためには、アカウント設計や投稿内容の充実、定期的な情報発信が重要とも。後半では実際のクリニックでの活用事例も紹介。休診日のお知らせや予約枠の案内、院内イベントの告知など、日常的な情報発信が患者との距離を縮めることが示されると、「まずはできることから始めてみよう」という前向きな声も聞かれました。

大石真由佳氏

スタッフ採用・定着に効果を発揮! 今こそ「組織内ブランディング」を構築しよう

本講演には、鳥山正博氏(明治大学グローバル・ビジネス研究科 専任教授)が登壇しました。まずブランドとは単なるロゴや知名度ではなく、患者が「この病院にかかりたい」と感じる信頼の総体(=患者への約束)であると解説。その根幹にあるのは、スタッフ一人ひとりの態度や接客、院内の清掃・整理整頓など、日常の非言語的な行動であり、スタッフが自院のブランドを理解し、誇りを持って働くことこそが、患者との信頼関係を築く鍵であることが強調されました。また、職場の「空気」を育てることがリーダーの最大の役割であることも提言。特に小規模組織ではリーダーの感情マネジメントや、感謝の言葉を惜しまない文化づくり、成功体験の共有の有無などが組織の雰囲気を大きく左右するケースもあるようです。加えて、これらは採用の成否や定着率にも大きく影響を与えることが言及されました。後半では、実際にスタッフの自主性を尊重し、笑顔あふれる医院づくりに成功した歯科クリニックの事例も紹介。来場者に多くの気づきと、実践のヒントを与える講演となりました。

鳥山正博氏

円滑な地域医療連携を実現するための連携実践例を紹介します
~「場づくり」と「双方向コミュニケーション」の重要性とは~

まずモデレーターの大石氏が、編集部に寄せられた患者の声を紹介。そこから見えてきたのは、医療連携が不十分だと患者に不安を与えかねないという現状でした。これを踏まえ、地域医療連携に精力的に取り組む2人の講師が、より効果的で円滑な地域医療連携に向けた実践例を紹介しました。

大塚光宏氏 吉田幸成氏

最初に登壇したのは、大塚光宏氏(社会医療法人泉和会 千代田病院 事務長)。まず、複数の病院で医療連携室の立ち上げなどに携わった経験を振り返り、地域ごとに連携の最適解は異なるが、いずれも信頼関係づくりが肝になると語りました。講演ではその方法として、9つのポイントを紹介。「自院を知る」「相手に情報を伝える」「相手に会う」など、友達づくりと同じステップが必要で、中でも「相手の課題を解決する姿勢」が重要だと解説しました。実際、所属する病院では連携先の要望に応えて救急救命士によるホットラインを設けるなど、柔軟に対応しているそうです。大塚氏はこうした双方向のコミュニケーションの場づくりこそが、信頼関係を築く鍵になると強調。その上で「患者・連携先・自院」それぞれの視点を大事にしながら、「連携の先にあるのは『まちづくり』という広い視野を持って取り組んでいきたい」と締めくくりました。

続く吉田幸成氏(NTT東日本関東病院 医療連携室課長)は、同院がどうやって医療連携を強化してきたかを紹介。コロナ禍で訪問活動が制限されたのを機に、さらなる紹介の促進に向けてアンケートによる情報収集と改善を進めてきたそうです。例えば、紹介元からの「もっと早く結果を報告してほしい」という声を受けて院内ルールを見直し、報告の迅速化と詳細な内容共有を行った結果、満足度が向上。また、診療科案内の冊子をホームページと連動させた「連携ガイドブック」へと刷新したことで、より効率的な情報共有を実現しました。さらに、看護師向けのWEBセミナーや市民公開講座も展開し、医療従事者と患者それぞれの立場に応じた連携を推進。最後に吉田氏が語った「引き続き柔軟性をもって取り組みたい」という言葉は力強く、地域の声を反映した丁寧なコミュニケーションが「選ばれる病院」につながることを感じさせました。

設備導入・分院展開など経営で重要な“資金調達”

医院経営で検討すべき投資についてプロの視点からわかりやすく解説したのは、飯田光氏(税理士法人G.C FACTORY社員税理士)と、清水祐太氏(同社課長)。医療機関の経営戦略について実践的な知見が共有されました。前半では、分院設立に必要な医療法人化や行政手続きのスケジュール、分院長の選定方法など、手続きや準備について解説。そして、その上で「なぜ分院をつくるのか?」という目的の明確化が大切であることにふれ、分院展開のメリットやリスクが紹介されました。加えて、既存クリニックの収益構造を踏まえ、まず休診日の活用や拡張の検討を優先すべきとの提言も。事業拡大を視野に入れるドクターにとっては、意思決定の精度を高められる場となったようです。後半では、分院展開にかかる初期費用やランニングコスト、金融機関の選び方など、必要な資金やその調達法について具体的に紹介。さらに、後継者不在が深刻化する中、クリニックを第三者に引き継ぐ「事業承継」の選択肢や実例も紹介され、将来を見据えた運営判断のヒントが詰まった講演となりました。

飯田光氏・清水祐太氏

明日から使える業務におけるAIサポート術

昨今、多くの企業が取り入れ始めているAI。医療現場でも関心が高まっていることから、本講演には、AI開発を手がける下島健太氏(株式会社QX代表取締役)が登壇。冒頭では、わずか数分の間にAIが生成した本イベントの紹介動画が公開され、会場がわきました。続いて、「生成AIのいま」と題してChatGPTをはじめとする生成AIの進化と、医療現場での活用の可能性について解説。AIが思考時間を費やすことで出力の精度が向上するという「スケーリング則」に基づき、AIの性能を最大限に引き出すための使い方が紹介されました。後半では、クリニックからのお知らせ文章に合うイラストを生成する実演も。さらに、AI活用における課題として「使い方やツールの選び方がわからない」といった声に応え、「今日から使える医療連携におけるAI活用法」も紹介。医療現場での具体的なシーンを挙げ、AIによる情報検索や資料作成のデモンストレーションが行われ、来場者はその即応性と柔軟性を実感したようです。日々の業務にAIを取り入れるためのヒントが詰まった、実践的かつ刺激的な時間となりました。

下島健太氏

つながる

本イベントのもう一つの目的である「つながる」場の創出。医療・介護の現場を支える多職種が集い、東京都内の地域医療の未来を語り合う交流会が開催されました。また、エリアごとの課題共有に加え、7病院と1企業による講演やブース展示を通じて、先進的な取り組みも紹介。笑顔と対話があふれる会場は、「支え合う医療」への熱意に満ちていました。

交流会

本イベント中には、各病院の医療連携室やクリニックのスタッフ、介護スタッフが集う後方連携対面交流会のほか、東京都西南部(目黒区・渋谷区・世田谷区)と南部(港区・品川区・大田区)の医療機関を紹介するエリア別交流会が開催されました。
後方連携対面交流会では、三軒茶屋病院の大坪由里子院長が、医療人材不足が深刻化する中、地域医療を支えるためには「連携」が不可欠という力強いメッセージを発信。地域全体で支え合う医療のあり方が改めて問われる機会となりました。
また、東京都西南部交流会では、高齢化が進む世田谷・渋谷・目黒エリアにおいて、在宅医療の体制整備やAI技術の活用、病院間の顔の見える連携の重要性を共有。一方、東京都南部交流会では、ロボット手術や24時間対応の救急体制、登録医制度、開放型病床の活用、前方・後方連携の分担体制など、各病院の実践例が紹介されました。さらに高原クリニック イノベーティブスキャンによる全身MRI検査や無痛MRI乳がん検診の実例に加え、HOMEドクター社による夜間・休日の訪問診療支援など、医療の質と効率を高めるための取り組みも。これからの地域医療を支えるためのヒントがぎゅっと詰まった交流会となりました。

交流会

展示ブース

会場内には本イベントの共催病院・企業による展示ブースが設置されました。病院のブースには、注目のドクターや治療、新設診療科の情報などをまとめた資料がずらりと並び、多くの来場者の関心を集めました。また、注目のドクターとして紹介された先生自身が来場されているブースもあり、自ら来場者を出迎え、コミュニケーションを取る場面も。どのブースも絶えず訪問者の列ができ、時間を忘れて笑顔で会話をする来場者の姿が印象的でした。

展示ブース

各病院からの診療科紹介

前半では、東京都内の5つの中核病院が登壇し、注目の診療科・ドクター・治療の紹介に加え、特色あふれる取り組みについて講演が行われました。まず東京都済生会中央病院からは、高齢者医療に特化したセンター化や、内視鏡手術などの先進技術を駆使した診療体制が紹介されました。続いて、厚生中央病院は総合内科を中心とした幅広い診療体制について説明。特に高齢者医療や産科・小児科の充実が印象的でした。また、大森赤十字病院は、「都市型赤十字病院」としてロボット手術や無痛分娩の導入など、患者の生活に寄り添う医療について紹介。さらに玉川病院からは、心不全チームの活動のほか、高齢患者への対応、地域連携を重視した心臓リハビリ・啓発活動について発表がなされました。最後に順天堂大学医学部附属順天堂医院は、AIを活用した医療DXの取り組みを紹介。AIコンシェルジュによる患者支援や、転院調整を効率化するAIシステムの導入が医療の質と利便性向上につながることが示されました。
後半では、病診・医科歯科連携に向けた交流会も実施。開始と同時に来場者たちの輪ができ、積極的に会話をしようとする来場者の姿から、医療連携に対する関心の高さがうかがえました。

懇親会

本イベント終了後には、来場者の方々が集う懇親会も実施。冒頭では、東京都医師会の尾﨑治夫会長から本イベントの総括をいただきました。そして会長の発声後、会場は和やかな雰囲気へ。普段は電話のみで連絡を取り合っていた相手や、関わり合うことの少なかった相手と「対話」ができる貴重な機会を多くの方が楽しんだようです。来場者からは「実際に会い、話ができたことに価値を感じるイベントだった」という声も挙がっていました。

懇親会

次回開催に向けて

オンラインでの催しが定着した今、「病・診・介護をつなぐリアルイベント」という初の試みは、私たちにとって大きなチャレンジでした。最終的に200人を超える方々にお越しいただき、関係各所からのうれしいお声を頂戴しながら、すでに次回以降の開催を検討し始めています。その原動力は、皆さまからの「良い交流会だった」というお言葉や「こうしてみては?」といった貴重なご意見です。たいへんありがたいことに、今回のエリアでの継続開催はもちろん、それ以外の地域での開催についてもご要望をいただいておりますので、気を引き締めて今回得た課題と向き合っていく所存です。
引き続き、地域医療に尽力する病院・クリニック・介護施設の皆さま、そして地域住民の方々の声に耳を傾けながら、「自分たちにしかできない価値の提供」を追求し、地域医療の課題解決に尽力していきたいと思います。

ドクターズ・ファイル トップページへ戻る