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(公開日2020年3月26日/更新日2020年3月26日)

2019年末に中国で感染者が確認されて以降、世界各国で感染が拡大している「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」。2020年3月現在、未だ治療法は確立されていませんが、自身、そして大切な家族を守るためには、予防方法などを正しく理解して行動することが重要です。東京都病院協会常任理事を務める竹川勝治医師監修のもと、新型コロナウイルスについての情報をまとめました。

※本特集の内容は3月26日時点の内容です。最新の情報は厚生労働省『新型コロナウイルス感染症について』をご確認ください

そもそも、コロナウイルスって?

大流行の前まではあまり耳馴染みの無かった「コロナウイルス」ですが、実は私たちの生活に身近に存在する、ポピュラーなウイルス。日常的にかかる風邪の10~15%(冬の流行期は30%程度)はコロナウイルスが原因とされており、多くの感染者は軽症で済むと言われています。
コロナウイルスは複数種類存在しており、過去に多くの感染者の重症化を招いた「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や「中東呼吸器症候群(MERS)」も、実はコロナウイルスの1種です。

新型コロナウイルス感染症とは?

2019年末以降、各国で流行が確認されている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」は、上記に述べたコロナウイルスの一種である新型のコロナウイルス(SARS-CoV-2)によって発症する感染症です。 WHO (=世界保健機構)の知見によれば、潜伏期間は1~12.5日(多くは5~6日)と季節性インフルエンザより長いとされ、軽症で済むことが多いものの、重症化の例や死亡例も確認されているウイルスです。

感染経路は?

現時点での感染経路は、飛沫感染と接触感染の2つが考えられています。

飛沫感染

感染者が発するくしゃみ、咳などによる飛沫(唾液など)に含まれるウイルスが口や鼻、目から入り込むことによって感染することを飛沫感染といいます。特に屋内などで一定の時間、お互いの距離が十分に取れない環境に置かれたときは注意が必要です。近距離で多くの人と会話をする状況では、咳やくしゃみなどをしなくても、感染を拡大させるリスクがあります。

接触感染

感染者が咳やくしゃみをしたときに手で押さえるとウイルスが付着しますが、その手で物に触れるとさらに拡散されます。このように、接触によって感染することを接触感染といいます。電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなど、多くの人が触れる物を通じて感染することが多いとされています。

なお、上海市民政局が発表した「エアロゾル感染」は飛沫感染に相当すると考えられています。現時点での国内の感染状況からは、病原体が長時間浮遊する「空気感染」の可能性は少ないとされています。これまでの感染経路追跡調査からは、特に換気が悪く人が密に集まって過ごす空間での集団感染事例が報告されています。

症状は?

初期症状

発熱や呼吸器症状が1週間前後続き、強いだるさ(倦怠感)を訴えることが多いのが特徴です。罹患しても無症状や軽い症状のまま、自然治癒する例も多いとされます。また、新型コロナウイルス感染症の入院患者は、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる傾向にあると報告されています。

重症化のリスク

一部の感染者では、呼吸困難などの肺炎症状を呈することがあります。重症化するリスクは、致死率がきわめて高い感染症(エボラ出血熱など)ほどではないものの、季節性インフルエンザと比較すると高く、特に、高齢者や基礎疾患がある人が感染した場合は、リスクが高いとされています。一方で、高齢者や基礎疾患がない人の場合でも重症化する可能性として、「サイトカインストーム」という現象があります。

サイトカインストームとは
体内にウイルスなどの外敵が侵入した際、免疫細胞が過剰に反応し、自身の健康な細胞までをも攻撃してしまうことをいいます。激しい頭痛や高熱を招いたり、最悪の場合多臓器不全を引き起こすケースもあります。2003年に流行したSARSでは多くの若者がサイトカインストームにより重症化を引き起こしました。

サイトカインストームの発症率は非常に低いため恐れる必要はありませんが、重症化した人を対応する体制を整えておく必要があるとされています。なお、致死率については、中国では3.9%、日本では2.8%(3月15日時点 厚生労働省発表)であり、致死率がきわめて高い感染症(エボラ出血熱等)ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べると高いリスクがあるとされています。

発症後の対応は?

まず、発熱などの症状があるときは、学校や会社を休むようにします。また、風邪の症状が現れたら、毎日体温を測定して記録することを心がけましょう。以下のいずれかの場合は、各都道府県の「帰国者・接触者相談センター」に相談してください。

  • 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く場合 (解熱剤を飲み続けなければならないときも同様)
  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
  • 高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある人や透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人で、これらの状態が2日程度続く場合
  • 妊娠中の人

現時点では子どもが重症化しやすいとの報告はないため、厚生労働省は上記の受診目安どおりの対応を呼びかけています。

なお、受診にあたっては、同センターから勧められた医療機関を受診し、複数の医療機関を受診することは控えましょう。自己判断で受診する患者が特定の病院に集中すると、感染していなかった人もそこで感染するリスクがあるほか、重症者への医療提供が遅れる恐れもあるからです。受診の際にはマスクを着用し、手洗いや咳エチケットを心がけましょう。

検査方法は?

検査方法

診断方法としては、咽頭ぬぐい液(インフルエンザの検査と同じように、綿棒で喉をぬぐって採取した液体)を用いて、核酸増幅法(PCR法など)でウイルス遺伝子の有無を確認します。結果は1日から数日で判明します。

検査の手順

実際に検査を検討する場合は、「帰国者・接触者相談センター」に連絡の上で、「帰国者・接触者外来」を設置する医療機関を受診します。その上で医師が必要と認めれば、疑似症として保健所に届け出後、保健所経由で各試験施設に検体を送り、検査を行います。

【2020年3月9日更新】new!
2020年3月6日には健康保険が適用され、医師が必要と判断すれば、保健所を通さずに医療機関が直接、民間検査会社に検査を依頼することも可能となりました。
しかし、院内感染を防止、及び検査の精度管理の観点から、当面の間は

  • 帰国者・接触者外来
  • 帰国者・接触者外来と同様の機能を有する医療機関

上記の機関のみで、検査の実施が可能とされています。

検査の費用について

診療報酬上、保険が適用されるものの、「都道府県から医療機関等に検査を委託するもの」として取り扱われ、窓口負担分も公費で補填されるため、患者の自己負担は不要となります。
検査費用の詳細は以下の通りです。

【金額詳細】
1. 指定感染症医療機関等以外の施設へ輸送し検査を実施した場合は1万9500円
2. 指定感染症医療機関等で院内検査を行った場合は1万5000円

※いずれも判断料1,500円を含む
※2020年3月9日時点 厚生労働省健康局結核感染症課『新型コロナウイルス核酸検出の保険適用に伴う行政検査の取扱いについて』より引用

ただし検査の結果が陰性で、医療機関で別の病気(インフルエンザや細菌性の肺炎など)の検査をした場合は、それらの費用は別途発生するのでご留意ください

治療法は?

2020年3月初旬の段階で、有効な治療法は確立されていません。感染者には解熱や咳止めなどを目的とした対症療法が実施されています。重症者には、人工呼吸器およびエクモ(体外式膜型人工肺)による管理が必要になります。また、国内では既存の抗ウイルス薬3種類について、新型コロナウイルス感染症に対する有効性を見極める臨床研究が開始されています。
現在、予防に用いるワクチンの開発が世界中で進められています。しかしワクチンの開発にあたっては、その有効性・安全性を確認し、一定の品質を担保しつつ、大量生産が可能かどうかといった確認を行う必要があり、もう少し時間がかかるとみられます。日本政府もできるだけ早期に実用化できるよう支援に努めるとしています。

【2020年3月18日更新】 new!
抗炎症薬の「イブプロフェン」が新型コロナウイルスによる症状を悪化させる恐れがあるという指摘がSNS上で拡散されていますが、危険性を証明するための研究結果は無く、WHOは3月17日の国連ヨーロッパ本部の定例記者会見にて、「調査を進めている段階」と表明し、「家で服用する場合はイブプロフェンではなくアセトアミノフェンを勧める」「専門家の処方がある時は専門家の指示に従うように」との声明を出しています。

予防方法は?

新型コロナウイルスの感染予防の基本は、「①手洗い、②咳エチケット、②人混みを避ける」の3つで、インフルエンザ対策と同様です。

手洗い

まずは、石けんやアルコール消毒液などによる手洗いが重要です。ドアノブや電車のつり革などさまざまなものに触れることにより、自分の手にウイルスが付着している可能性があるため、外出先から帰宅した際や調理の前後、食事前などにはこまめに手を洗いましょう。
手洗いの際は、手のひらだけでなく、指先や爪の間、指の間、手首も忘れずに洗うことが大切です。
(参考:厚生労働省ホームページ 「手洗い」

咳エチケット

咳エチケットとは、病気をほかの人にうつさないため、咳・くしゃみをする際にマスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻を押さえることです。マスク着用時は、しっかりと鼻と口を覆うことが大切。マスクが入手できない場合は、ティッシュやハンカチで鼻と口を覆うか、袖で口・鼻を覆うだけでも、飛沫の飛散を防ぐことができます。一方で、予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では1つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合っていない限りマスク着用による予防効果はあまり認められていません。
(参考:厚生労働省ホームページ 「咳エチケット」

人混みを避ける

人で混みあう場所に行くことを避けるのが望ましいでしょう。屋内でお互いの距離(目安として2メートル以内)が確保できない状況で一定時間を過ごすときは、注意が必要です。

家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合

同居されているご家族は、以下の8点にご注意ください。

  1. 感染が疑われる人(以下、患者)とは部屋を分け、個室内でできるだけ部屋から出ない
  2. 患者の世話はできるだけ限られた人が行い、妊娠中の方や持病のある方は避ける
  3. マスクを装着し、外す際はゴムやひもをつまんで表面に触れないようにする
  4. 手洗い、アルコール消毒を徹底する
  5. 定期的に部屋の換気をし、共有スペースや他の部屋の空気も入れ替える
  6. ドアノブやベッド柵など、手で触れる共有部分を薄めた塩素系漂白剤で消毒する
  7. 体液で汚れた衣服やリネンは手袋とマスクをつけて家庭用洗剤で洗い、完全に乾かす
  8. 鼻をかんだティッシュなどのゴミはすぐにビニール袋に入れ、密閉して捨てる

※参考:2020年3月9日時点 厚生労働省『新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)

~妊婦や子どもへの影響は?~

母体への影響は?

新型コロナウイルスに限らず、一般的に妊娠中に肺炎を起こした場合、妊娠していないときに比べて重症化する可能性があります。そのため、妊娠中に次のような症状がある場合は、まず最寄りの保健所などに設置された「帰国者・接触者相談センター」に相談し、指示された医療機関を受診しましょう。必ず妊娠中であることを伝えてください。

  • 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が2日以上続く場合
  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合

胎児への影響は?

胎児への影響についてはわかっていませんが、現時点で胎児障害の報告はありません。しかし新型コロナウイルスに感染すると、かかりつけの医療機関が産科の診療や分娩に対応できないこともあるので、十分な感染予防を心がけましょう。

小児の受診

小児は熱が上りやすいため、「37.5℃以上4日」という基準は一般的な風邪にも当てはまってしまいます。日本小児科学会は「原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしているなどの様子が見られるときは、速やかに医療機関を受診してください」と呼びかけています。濃厚接触者、健康観察中の小児は、まず「帰国者・接触者相談センター」に相談してください。

感染予防のポイント

学校(学童保育も含む)や幼稚園、保育所などでの生活においては、子ども同士、または教師・保育士との会話や遊びが多く、新型コロナウイルスが伝染しやすい環境にあります。そのため、手洗いと咳エチケットを徹底することが重要な対策となります。学校や幼稚園、保育所でも指導していますが、自宅でも子どもに正しい手洗い方法やマスクのつけ方、咳エチケットを教えるようにしてください。
特に食事やトイレの後、ドアの開閉後、共有の器具や道具に触れた後、帰宅時などは、手洗いまたはアルコール消毒を行うことを徹底しましょう。

さいごに

今後も健康被害を最小限に抑えるためには感染者増加のスピードをできる限り抑え、重症者に十分な医療を提供できる状態を保つ必要があります。そのためには、一人ひとりが手洗いや咳エチケット、人混みを避けるといった感染予防を実践することが重要です。
また、新型コロナウイルスの検査体制拡充、治療薬開発などに関して、政府は急ピッチで準備を進めています。これらの整備状況と今後の感染の広がりにより、受診できる医療機関や手順、医療内容などが変わる可能性があります。一方、SNSなどでは誤った情報も多く流布されているため、厚生労働省や居住地の自治体など公的な組織のホームページ、また、それらのページで案内されている関連学会のホームページをこまめにチェックし、最新情報を入手して行動することが大切です。

監修医師

東京都病院協会常任理事
竹川 勝治先生

1987年北里大学医学部卒業。同大学病院勤務を経て、1993年に協和病院へ。創設者である父の後を継ぎ1996年より愛育会理事長。専門は泌尿器科。北里大学医学部非常勤講師、東京都病院協会常任理事、江東区医師会監事、日本慢性期医療協会理事、東京都保健医療計画推進協議会委員を兼務。

ドクターからのメッセージ

2020年3月11日、WHOがパンデミックの宣言をしました。
ネットの普及により世界中の情報が簡単に入ってきます。
しかし、その情報をそのままわれわれの日常生活に当てはめてはいけません。
それぞれの国で医療制度・医療水準は違います。
日本はどちらかというと優れた国です。
新型コロナウイルスの事も少しずつわかってきました。
われわれはウイルスと戦うことが大切です。
誤った情報により風評被害が起こったり、人と人との争いになってはいけないのです。
これによる経済の悪化を極力避けることも重要です。





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