玉川医師会は、世田谷区の中でも、ファミリー層が多く住む田園都市線沿線エリアと昔からの住宅地が広がる大井町線沿線エリアにおいて、長年、地域医療の中核を担っている。
池上晴彦会長は「診療所の医師同士はもちろん、各基幹病院との間で定期的におこなう顔の見える会を通して密な 連携を行い、より良い地域医療の提供を心がけています」と話す。
同会では有事の備えにも力を入れる。例えば災害時、玉川地区に設置される緊急医療救護所や避難所には、近くに住む医師を担当配置。いち早く医療体制が取れるよう参集しやすくした。さらに「当会で備蓄する医薬品は、区内の病院と玉川薬剤師会の協力でいざというときのニーズに合わせた準備を図っています」と池上会長。地震や大雨などの災害に対し、具体的かつ現実に即して医療体制を強化している。
このほか同会は休日・夜間診療を通して切れ目のない医療を提供を可能とする在宅医療、区民の健康増進など多方面で地域医療の向上を図ってきた。特に地域の開業医による在宅医療の持続可能性を高めるため、必要な条件を満たせば同会の在宅医療部と在宅医療に注力するクリニックが協力してサポートする体制を構築。ウエアラブルデバイスを用いた遠隔診療を少数例からではあるが始めているという。
「区民健診では高齢の方のロコモティブ症候群やフレイル、認知症の早期発見にも役立つような工夫をするなど、地域全体の健康寿命の延伸にも尽力しています」