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北九州市
門司港、皿倉山、北九州空港など、歴史・自然・都市機能が共存し、九州と本州をつなぐ関門海峡も魅力的な北九州市。子育て支援や福祉施策が充実していることから、暮らしやすさや住み良さを実感できるまちだ。
目次
市長インタビュー


- 武内 和久
- 市長
1971年生まれ。東京大学法学部を卒業後、厚生労働省に入省し医療・介護・子育て・少子高齢化対策などに従事。その後外交官、大手コンサルティング企業勤務などを経て2023年より現職。1児の父であり、みそ汁を愛する「ミソシラー」として手軽で栄養豊富なみそ汁をSNSで公開。
予防の意識を育て健康寿命延伸へ
自然と健康になれるまちをめざす
武内市長が考える北九州市の魅力についてお聞かせください。
北九州市は約92万人が暮らす大都市。新幹線・モノレール・バスといった交通インフラなどが充実し、先進的な側面を持つ一方、近代産業に大きく貢献した官営八幡製鐵所、門司港や小倉城などの歴史的遺産、平尾台などの豊かな自然が共存しています。何よりこれほどの規模でありながら旦過市場のような人肌を感じる商店街も多く、人と人との距離が非常に近く感じられる温かさも素晴らしいですよね。お店を訪れるとすぐに「待ってましたよ」といった具合に距離が縮まる心地良さを私自身も何度も経験しています。歴史と現在、そして未来を感じられる個性的で人情味あふれるまち。それが北九州市の大きな魅力です。
市民の健康づくりや、病気の予防を積極的に推進されていますね。
人の幸福は心身の健康に支えられています。体調が悪いと仕事にも集中できませんし、他の人にも優しくできませんよね。北九州市は生活習慣病を持つ方や肥満のお子さんが全国的に見てもとても多いです。とはいえ肥満や高血圧などの生活習慣病は食生活や運動などへの意識の持ち方や努力によって予防できるもの。健康に関する正しい情報を届け、健康づくりの第一歩を提供することで、そこから得られる健康寿命の大切さを意識していただけるような取り組みを進めていきたいと考えています。むし歯をはじめ脳梗塞や心疾患などの遠因になり得る歯周病の予防など、お口の健康への取り組みもその一つです。市内の医師や歯科医師の先生方とも連携し、子どもから高齢者までオーラルヘルスへの取り組みにも注力しています。
女性や子どもが住みやすい
ウェルネスシティーをめざす
今後の展望や理想のまちの在り方をお聞かせください。
自然と外へ出て歩きたくなるようなまちづくりによる健康へのアプローチも構想中です。運動しなければと思うと義務感が生じますが、近くの公園や川べりには気軽に出かけられますよね。例えば公園内に熱中症対策になる木陰のある休憩スペースを設ける、芝生を整備する。他にもちょっとしたカフェやドッグランなどがあれば、きっと市民の皆さんも自然と足を運びたくなるのではないでしょうか。無理なく、楽しみながら外出することで、結果的に肥満の解消や生活習慣病の予防・改善につながる。そんな自然に健康になれるウェルネスシティーが理想です。ごく自然に芽生える予防の意識とそれによって得られる健康、ゆとりある時間、治療に充てずに済んだお金でこれまで以上に人生を楽しんでいただきたいと願っています。
子育て中の女性や、今後の社会を担う若者は非常に感度が高い世代です。公園の整備などの他にも健康に関心を持てるような取り組みやプラットフォーム、健康について意見交換ができるコミュニティーなどにも興味を持ってくださるでしょう。そうすることで思いやりにあふれた、さらにクオリティーの高い暮らしが実現できると考えています。今後も北九州市に暮らす皆さんとともに「自然と健康になれるまち」をつくっていくつもりです。
(2023年12月時点の情報です)
医師会&歯科医師会 活動レポート
地域のクリニックや病院の先生たちで構成される医師会・歯科医師会。
休日診療や保育園・学校での園医・校医活動など、地域医療の重要な役割を担っています。
わたしたちが住む地域の活動について、地域の会長にお話を伺いました。
北九州市医師会


1979年福岡大学医学部卒業後、福岡大学病院心臓血管外科入職。その後も北九州市立門司病院などで研鑽を積み、1998年引野口循環器クリニック開院。北九州市医師会理事、同会専務理事を経て、2020年会長に就任。高齢社会対策をはじめ、各ライフステージに応じた健康支援に努めている。
各ライフステージに応じた支援に注力
充実した医療のさらなる体制強化を
九州地方の最北端に位置する北九州市は、門司、小倉、八幡、戸畑、若松の旧5市合併により誕生した。それを機に発足した同会は、100年の歴史を誇る旧5市の医師会に産業医科大学による医師会が加わった6つの医師会で構成されている。「各区それぞれに急性期病院や診療所が多数あり、充実した医療が受けられるのが特徴です」と穴井堅能会長。そのため、救急患者の受け入れ先も確保しやすく、迅速な対応で救命につなげているという。
救急医療、各種健診、高齢社会対策、啓発活動など各ライフステージに応じた取り組みを実施する同会。中でも子育てと高齢社会の対策は最重要課題として位置づけ、産後うつや虐待防止を目的とした産科・小児科・保健所との連携、高齢者在宅医療などの体制づくりに力を入れている
さらに、市民がこれまでに受けた医療情報を共有できる「とびうめ@きたきゅう」を活用し、適切かつ迅速な医療を提供。「コロナ禍で医療機関が逼迫する今、素早く情報共有できるツールの重要性を実感します」と話す。そんな中、救急病院の負担を減らそうと休日も発熱の外来を設け対応にあたる多くの開業医たちの姿に、会長は地域医療の底力を感じたという。そして、今後も連携を深め医療を必要とする人たちに手を差し伸べたいと続ける。
「われわれの使命は、肉体的、精神的問わず弱者救済。そのために走り続けます」
北九州市歯科医師会


1974年九州歯科大学卒業。1979年同大学大学院博士課程修了(口腔外科学専攻)。愛媛大学医学部附属病院文部教官を経て1981年吉岡歯科医院開院。以後35年地域の歯科医療に寄与し閉院。2015年北九州市歯科医師会会長就任。高齢社会対策や行政と連携し児童むし歯対策に注力。
歯科健診・むし歯予防・高齢化対策を軸に
子育て世帯と高齢者を手厚くサポート
九州地方で福岡市に次ぐ都市である北九州市。「育児環境の良さを実感できる都市です」と北九州市歯科医師会の吉岡眞一会長が話すように、市内には小児救急病院が4カ所という医療資源の豊富さに加え、保育所の待機児童数もゼロ。さらに乳幼児のむし歯予防に積極的に取り組むなど、子育てしやすい環境が整っている。
妊産婦歯科健診、1歳6カ月児歯科健診・3歳児歯科健診とフッ化物塗布に続き、親子歯科健診も本年度より無料になりました」と吉岡会長。これにより北九州での「母子保健の歯科健康診査」はすべて無料となった。また、永久歯のむし歯予防を目的とする「フッ化物洗口」も教育委員会とともに市内の全市立小学校にて実施予定。全小学校での試みについて、全国の自治体が動向を見守る。
その一方で、指定都市中最も高い高齢化率に早くから対策を講じてきた同会。訪問歯科診療実施医療機関を検索できる「きたきゅう在宅医療情報ナビ」では行政に協力。また、65歳以上を対象とした「健口相談」の実施や、市が設置した「認知症支援・介護予防センター」の事業推進や九州歯科大学と連携協定を結び、歯科医師のスキルアップにも取り組んでいる。
「若い頃から歯を大事にしておけば良かった」という高齢患者の声に、小児から育む予防習慣と高齢者のサポート体制拡充の重要性を痛感すると語る吉岡会長。市民の健康寿命延伸をめざして、さらなる環境づくりにまい進する。