ドクターズファイル特集

(公開日2018年6月19日)

自宅や職場にいながらインターネットを通じて受診できる「オンライン診療(遠隔診療)」を知っていますか? あらゆる分野でICT(情報通信技術)の活用が進む今、新しく制度化された受診方法の一つです。待ち時間や通院にかかる時間を短縮できること、スマートフォンなど便利な機器を利用することから、忙しいビジネスパーソンをはじめオンライン診療を選択する人は次第に増えていく可能性があります。難病などで遠くの病院に通院せざるを得ない患者にも広がるかもしれません。
ただ、手軽で便利だからといって、どのドクターでもいいわけではありませんよね。オンライン診療は、音声と表情による情報が中心となるもの。対面ではないからこそ、ドクターとの相性や信頼関係はより重要になります。また、制度の範囲内での利用という制約もあるようです。
今回は、オンライン診療とはどのような受診方法なのかをひも解きながら、私たちとかかりつけ医の未来がどうなるのか、考えてみたいと思います。

そもそも、オンライン診療とは?

スマートフォンやパソコンのビデオチャット機能を使い、インターネットを介して診療することを指します。これまでは「遠隔診療」と呼ばれ、離島やへき地で活用されるケースが多かったのですが、最近では都市部でも広まってきており、今後は、距離の遠さをイメージさせる「遠隔診療」よりも、「オンライン診療」と呼ばれるようになります。
なお、基本的に初診は対面での診療が必要です。2回目の受診以降、もしオンライン診療が適切であれば、医師と相談の上で選択することができます。

なぜ、オンライン診療が注目されているの?

技術の発達により広まりつつあるオンライン診療。人々が関心を寄せているのには、いくつかの理由があります。

1 忙しくて通院できないから
仕事や家事、育児などで毎日忙しく、通院のための時間がなかなか取れない人は少なくありません。同じ働くママ・パパでも、帰りが遅く診療時間に間に合わない、出勤前や退勤後には子どもの保育園の送り迎えがある、たまの休暇が取れても通院ではなく趣味や家族のために時間を使いたいなど、事情はいろいろあるでしょう。
2 高齢化が進んでいるから
在宅医療を受けるほどではないけれども、血圧を下げる薬をもらうため月に1回通院しなければならない。でも、足が悪くて通院がおっくう。家族は遠方に住んでいるから毎月通院に付き添ってもらうのは難しいし……。こうした高齢者は多く、高齢化が進むにつれ、ますます増えていくことが予測されます。
3 近くに病院・クリニックがないから
もともとオンライン診療は、近所に病院やクリニックがない地域の人が適切な医療サービスを受けられるようにと始められました。
4 スマートフォン時代だから
誰もが気軽に、安価に高速のインターネットに接続できるようになったことや、どこにいてもモバイル端末で仕事をするなど時間を有効に使う習慣が広がったこと。こうした理由からも、人々はオンライン診療に興味を持っているようです。

受診の仕方

では具体的にはどのように受診するのか、見ていきましょう。
通っている医療機関がオンライン診療を行っていたら、受診時に自分があてはまるか尋ね、対応可能な日時、診察内容、薬の処方、緊急時の対処の仕方など内容をよく確かめた上で、予約します。

  • 初期設定

医療機関の指定するオンライン診療アプリをダウンロードする、あるいは専用のウェブサイトにアクセスします。医療機関の指示に従いながら、アカウント登録、住所などのプロフィール登録を行います。

  • 診察

予約日時になったら、いよいよ診察。ログインしたスマートフォンやパソコンの画面を通して患部を見せたり、医師の質問に答えたり。対面での診療と同様に、ドクターから診断結果の説明や療養に必要なアドバイスを受けます。このとき、通信の安定した場所、自分のプライバシーが守れる場所を確保することが大事です。診察が終わる前に、次の診察日を先生と相談します。

  • 薬の受け取り

薬の処方には、診察を受けた病院・クリニックから直接薬を受け取る「院内処方」と、病院・クリニックで処方箋をもらい、調剤薬局で薬を受け取る「院外処方」とがあります。オンライン診療では、院内処方の場合は郵送で薬が自宅に届き、院外処方の場合は郵送で処方箋の原本が自宅に届くので、近くの調剤薬局で薬をもらいます。

  • 支払い

診察代の支払いは医療機関の決めた方法に従います。次回の対面診療の時にまとめて支払えば良い場合もあります。

オンライン診療にまつわる素朴な疑問集
対象となるのはどんな人?
症状が安定している高血圧、糖尿病や脂質異常症といった慢性疾患はオンライン診療に向いているといえます。また、禁煙治療など通院の負担やストレスから途中で諦めてしまうことが多い人も、オンライン診療を活用することで治療を継続しやすいというメリットがあると考えられます。
在宅療養を余儀なくされている脳卒中後遺症、心不全、呼吸器不全、がん、精神疾患などの疾患については、医療機関との距離やかかりつけ医に診てもらうかどうかなどいくつかの条件を満たすと、保険適用されます。また、難病の患者は、専門医が少なく受診に困難を抱えていることが多いので、遠方にある大規模病院でのオンライン診療を受けることができます。
一方で、睡眠導入剤や勃起不全薬などは、オンライン診療での処方が禁止されているのも、重要な注意点です。
どのように診察するの?
病気の種類や状態によってさまざまです。例えば糖尿病治療では、あらかじめ日々の食事内容を撮影して医師に送信し、栄養指導を受ける、高血圧の治療中であれば自宅で血圧を測定し、そのデータをもとに診察してもらうといったこともできます。
自宅にパソコンがないと受けられないの?
インターネット環境が整っていれば、スマートフォンで受診可能。会社の休憩室や出張先のホテルから診察を受けるビジネスパーソンもいます。また、介護施設などでの受診も可能です。基本的にはビデオチャット機能を使い、補助的にメールなどを活用することもあります(医療機関が指示します)。ただし、情報が流出しやすい「フリーWi-Fi」は厳禁。自分やクリニックの情報を守るために、スマートフォンやパソコンのウイルス対策も心がけましょう。
対面診療との違いは?
オンライン診療はスマートフォンやパソコンの画面越しの診療であるため、当然ながら医師が患者の体に直接触れることはできず、医師が得られる患者の情報には制限があります。「それで本当に大丈夫?」と思う人は少なくないでしょう。しかし、得られる情報に制限があるからこそ、医師側は問診や視診により集中し、患者とのコミュニケーションが濃密になる傾向が見られるようです。また、「自宅で血圧を測ったらそれほど高くなかったのに、診察室で測ったら緊張して上がってしまった」という経験のある人もいるかと思いますが、対面診療が診察室という、いわば“医師の土俵”で行われるのに対し、オンライン診療は“患者の土俵”で行われるもの。患者が自宅などでリラックスした状態で受診すること、つまり生活の一場面をありのまま診てもらうことは、医師にとっても患者の日常に沿った医療を提供しやすくなります。

オンライン診療の活用例

では実際にはどんなシーンで活用できるのか、4つのケースを見ていきましょう。

CASE 01

糖尿病を抱える村田さん(49歳)は、長期出張の多い仕事柄、2~3ヵ月に1回しか通院できません。数種類の薬を飲んでようやく目標の血糖値になっているので、本来は月に1回の受診が理想的。主治医と相談して自己血糖測定装置も購入し、通院と通院の間にオンライン診療を取り入れることにしました。インターネット環境さえ整っていれば、出張先でも受診できるので、治療が継続しやすくなりました。

CASE 02

小川さん(85歳)は持病の心臓病がひどくなり軽度の認知症も加わって、あまり外出できなくなりました。そこで家族は、普段小川さんがかかりつけにしている医院Aのドクターに相談し、在宅医療にオンライン診療を併用することにしました。小川さんはインターネットを使えないので、家族がサポートしながら受診しています。

CASE 03

一人暮らしの牧野さん(57歳)は5年前にパーキンソン病を発症。遠くの専門病院への通院を続けていましたが、病気が進行して歩きづらく、外出の時間に合わせて薬の飲み方を調節しなければ電車にも乗れなくなりました。半年前から指定難病の認定を受けています。主治医からオンライン診療を提案されたので試してみることにしました。それまで通院に費やしていた時間を趣味であるテレビでのスポーツ観戦にあてられるようになり、通院のたびに付き添ってくれた息子の負担も減って、とても満足しています。

CASE 04

保育園に通う絵里ちゃん(4歳)は重度の小児喘息で、3年前から、自宅から1時間ほどの場所にあるB病院に定期的に通院しています。両親は共働きで忙しい上、もうすぐ妹が生まれるので、通院の時間を取るのが難しくなります。そんな時、絵里ちゃんの母親は、院内の掲示板でB病院はオンライン診療にも対応していると知り、いつも診てもらっている小児科のドクターにオンラインで診療を受けることを決めました。

このように、対面診療と組み合わせながら、ライフスタイルや希望に応じて受診することが可能。ほかにも、障害のある人は本人にとっても家族にとっても通院の負担が大きいため、オンライン診療の活用によって心身のストレスが減らせるかもしれません。また出産や育児、介護などライフステージの変化によって通院を継続することが難しくなった人にとっても、オンライン診療は一つの選択肢となり得るでしょう。

今後はどうなっていく?

オンライン診療が普及していくことで、“医療サービスの受け方”の幅がぐんと広がっていきます。そして、通院に時間が取れない忙しい人がオンライン診療で定期的に受診すれば、生活習慣病を予防できるかもしれないし、自宅で介護中の人が高血圧を抱えていたとしても、オンライン診療であれば通院の負担なく血圧の管理ができ、より重い病気を予防できるかもしれない。オンライン診療という未来型の受診方法は、病気の治療にとどまらず、まだ病気にかかっていない「未病」の状態から人々の健康を支える上でも期待できそうですね。
一つ言えるのは、対面診療であってもオンライン診療であっても、診てもらうドクターを選ぶのは私たち自身であるということ。いざというときに頼れるかかりつけ医を持っておくことは、日々の暮らしを送る上で欠かせません。この先きっとオンライン診療は、外来や在宅医療と並ぶ受診方法の一つとして根づいていくでしょう。その中で、オンライン診療という選択肢を持つことは、“かかりつけ医といつでもつながっている”という安心感を得られることにもつながるかもしれませんね。

監修:酒巻 哲夫先生のコメント

医療の制度は複雑でわかりにくいです。そのことは、医師たちにとっても同じで、今年から「オンライン診療」が可能になったとはいえ、それをどのように進めるか理解し、装置やシステムを準備するのにはかなりの期間が必要です。医療機関の準備が整わなければ、患者さんが受けることはできないと理解してください。

自分がオンライン診療を受けられるかどうかを知る方法として、皆さんの手元に「診療明細書」(医療機関が会計のたびに患者さんに発行しているもの)があれば、その内容を確かめるのも一つの目安となります。次のリストに該当する料金を徴収されている患者さんは、準備が整えば、オンライン診療も受けることが可能です。

特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、精神科在宅患者支援管理料

Profile:1947年栃木県生まれ。1972年群馬大学医学部を卒業後、循環器内科領域で約25年間、臨床と研究に従事。1998年より群馬大学附属病院医療情報部教授となり、同院のコンピューター化を推進。早くから「オンライン診療」に携わってきた研究者の一人である。NPO法人 日本遠隔医療協会理事長、高崎市医師会看護専門学校副校長、群馬大学名誉教授。『患者の声を聞く みんなで紡ぐ医療の絆』ほか著書多数。



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