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更年期にサプリメントで補える女性の症状への対策|更年期特集|

(公開日2016年1月6日)

気軽に摂取できるのもサプリメントによる更年期ケアの魅力?

月経周期や妊娠、肌の潤いや髪のつや、そして、子宮や乳腺をはじめとした体の器官の健康、これらすべては女性ホルモンの働きによって支えられています。しかし女性ホルモンは、40歳を過ぎた頃から卵巣機能が低下し、閉経することで著しく減少してしまいます。生き生きとした人生を送るために欠かせない女性ホルモンの低下への対応策は、医療機関での治療や薬によるもの、運動や食事療法などさまざまですが、最近注目されているのがサプリメントによる対応策です。主な治療法の一つであるホルモン補充療法は、乳がんや子宮体がんのリスクを心配する人も多く、現在、日本では数パーセントの人しか行っていないのに対し、サプリメントは副作用の心配も少なく、時間や場所を選ばず手軽に摂取することができるため、忙しい人ほど使いやすいと服用する人が増えてきています。中でも、エクオールという成分が含有されたサプリメントは、特に更年期症状に効果があるといわれています。

注目のエクオールって?

大豆イソフラボン由来のエクオール。体内で産生できる女性は約50%

エクオールとは、女性の健康に有用だといわれている大豆イソフラボンの一つであるダイゼインが腸内細菌によって代謝されてできる成分です。エストロゲンに形が似ていることから、女性ホルモンと似たような効果が期待できるとされていますが、腸内細菌の状態によって、体内で産生できる人と産生できない人とに分かれてしまいます。適切な腸内細菌を持つ人であれば豆腐など大豆製品を食べることでエクオールを体内で産生できます。

しかし、日本人のその割合は約50%、つまり、半分の人はいくら豆腐や大豆製品を食べ物として摂取しても、エクオールの産生は期待できません。産生できる人であれば大豆イソフラボン50mgから、一日分の摂取として目安にしたい約10mgのエクオールが産生できると予測されていますが、大豆イソフラボン50mgはだいたい豆腐3分の2丁(200g)、納豆1パック(50g)、豆乳1杯(200g)に相当します。これだけの大豆製品を毎日摂り続けるのはなかなか難しいですよね。そこで、エクオールを産生できる人もできない人も、手軽に続けることができるサプリメントで、エクオールを摂取することをおすすめしています。

期待できる効果は?

つらい肩こりを改善。ほてりの回数も減少

更年期には、肩こり、腰痛、疲れやすいといった症状のほか、ほてりやのぼせ、不眠やうつ状態などさまざまな症状が現れてきますが、中でも、ほてりやのぼせ、肩こりについてはエクオールの摂取により改善が認められています。これらの症状については、サプリメントを摂取し続けて12週間ほどで効果が現れ摂取をやめると、もとの状態に戻ってしまうことが明らかになっています。また、骨粗しょう症予防や、しわの進行を抑えるといった美容面での効果も確認されています。

サプリメント摂取をスタート。でもその前に

まずは、医療機関でスクリーニング。自分の体の状態を知ろう

サプリメントの良さは気軽に購入し摂取できることですが、本当に自己判断で始めていいの? と迷う人も多いでしょう。更年期は心身にさまざまな変化が起こる時期です。自身がどういう状況なのかを客観的に把握するためにも、まずはじめに医療機関での検査をお勧めします。不正出血がある場合はもちろんですが、何も症状がなくても、子宮頸がん、子宮体がんの検査をはじめ、乳がんや骨密度、女性ホルモンの減少により増える傾向にあるコレステロール値のチェックはぜひ行っていただきたい項目です。ほかの異常が見つからず、更年期による症状だと診断された上で、サプリメントの摂取を開始するとより効果的かつ安心です。また、サプリメントを選ぶ際には、品質・安全性に加え、臨床データに基づいて製品化されている物を選ぶこともポイントです。受診の際には、そういったことも医師に相談してみるとよいでしょう。女性の体は若いときには女性ホルモンに守られていますが、寿命が延びたために、女性ホルモンがなくなってからも30年以上健康に生活できることが重要になっています。更年期は未来をどのように暮らしていくかを考える大切な時期でもあるのです。

監修

尾林聡先生画像
尾林 聡 先生
  • 国立大学法人 東京医科歯科大学大学院
  • 生殖機能協関学 准教授