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冬の感染症から 身を守ろう!

冬、気温が下がり空気が乾燥してくると様々な感染症が流行し始めます。インフルエンザはもちろん、ノロウイルスやロタウイルスなど、子どもの感染も心配な季節。では、そうした感染症から身を守るためにはどのような対策が必要なのでしょうか。今回は、中島内科小児科の中島雅子先生・中島林太郎先生に、冬の感染症についてお話を伺ってきました。(取材日:2014年10月10日)

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感染症について知っておきたいことQ&A

中島内科小児科医院 中島 雅子先生 中島 林太郎先生

昭和46年に開業し半世紀に及ぶキャリアを持つ中島雅子先生。そして循環器内科の専門医として、先進の高度な治療技術を学んできた中島林太郎先生。親子それぞれがお互いの専門性を活かした診療を行い、地域のファミリードクターとして信頼を集めている。親子や家族で感染症の治療や検査・予防接種に訪れる人も多く、わかりやすい説明と的確な診断が、多くの患者に支持されている。

「感染症」ってどんな病気のこと?何が原因?

「感染症」というのは、ウイルスや細菌などの病原体が原因で起こる病気や症状のこと。病原体が体内に入って増殖し、咳や発熱、鼻水、嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。「冬に流行しやすい感染症」というと、やはり一番多いのがインフルエンザ。日本では1シーズンに約1000万人がかかると言われています。そのほかにも溶連菌感染症、ノロウイルスやロタウイルス感染症、またRSウイルス感染症などは、耳にしたことがある人も多いでしょう。一般的にいう「風邪」もまた感染症に含まれるものですが、ひと昔前には多くの感染症が「風邪の一種」や「感冒症状」などとひとくくりにされていました。それが医学の進歩によって、原因菌やウイルスの特定が簡易にできるようになったため、それぞれ個別の病名で呼ばれるようになったのです。

インフルエンザやノロウイルスが冬に流行しやすいのはなぜ?

冬になって空気が乾燥すると、ウイルスや菌が空気中に飛びやすくなるというのが理由のひとつです。ただ、インフルエンザは、東南アジアなどの高温多湿な地域でも流行することがありますし、日本でもまれに夏期に流行を見せます。それでもやはり冬に感染する人が多いのは、気温が低くなって人間の細胞の活性が弱まり、抵抗力が落ちて発症する人が増えるからです。

またノロウイルスが冬場に流行する理由のひとつに、貝の生食に原因があると考えられます。生の貝(特にカキなどの二枚貝)にはウイルスや細菌が付着していることが多く、抵抗力が弱まっているときにそれらが体内に入れば、発症する可能性が高くなります。特に小さなお子さんやお年寄りは、加熱して食べることをおすすめします。

子どもが感染症にかかりやすいのはなぜ?

乳幼児は成人に比べて免疫力が弱いため、ウイルスや細菌が体内に入ると発症に至る確率が高いといえます。免疫力が弱いということは重症化しやすいということでもあるので、少しでもおかしいなと思う症状があれば、早めに医療機関で診察を受けてください。子どもが感染症にかかりやすいもうひとつの理由に、集団生活の時間が長いということが挙げられます。保育園や幼稚園では、たくさんの園児が近い距離感で遊ぶため、誰か一人が感染しているだけでも、ウイルスや細菌が広まります。完全に病原体をもらわないようにすることは難しいので、手洗い・うがいを徹底し、少しでも感染リスクを避けましょう。

子どもの感染症、特に注意したいのはどんなもの?

インフルエンザやノロ・ロタウイルスはもちろん、特に乳幼児で気をつけたいのがRSウイルス感染症。と言っても、これはほとんどの子がかかるもので、2歳までに感染する確率は100%に近いとも言われています。適切な診療を受ければ特に心配をすることはないのですが、喘息などの疾患がある子や、月齢の低い赤ちゃんは、感染すると重症化しやすいので注意が必要です。RSウイルスに感染すると気道の分泌物が増えます。小さな子どもの気管支はまだ細いので、その分泌物で気道がふさがれ、つまりやすくなるのです。ですから生後6ヵ月未満の乳児が感染した場合は、完治するまで慎重な経過観察が必要です。

インフルエンザやノロウイルスが冬に流行しやすいのはなぜ?

確かにインフルエンザなどは、何度も感染している人もいれば、1度も感染したことがないという人もいます。ではそもそも体質的に「かかりやすい」「かかりにくい」人がいるのかというと、医学的な根拠はそこには存在しません。感染・発症の確率は予防接種を受けているかどうかで大きく違いますし、ウイルスが体内に入ったときの自身の体調次第で発症するかしないかは変わります。

これまで「かからなかった」という人も、体力が低下しているときにウイルスに感染すれば、いつでも発症する可能性があります。「自分は大丈夫」と過信せず、予防接種を検討するなど、ウイルスに負けない体づくりを心がけましょう。

300人に聞きました!きになる「感染症」アンケートデータ

以降のデータは【株式会社ギミック 冬の感染症に関する調査 2014】より※「2013年11月〜2014年3月の期間に、自分もしくは子どもが感染症にかかった経験がある」20代後半〜40代の女性にアンケートを実施

昨冬、どんな感染症にかかりましたか?

大人、子ども、ともにトップはやはりインフルエンザ。2位はロタやノロなどの感染性胃腸炎で、いずれも家庭内感染から家族でかかってしまったという人も。溶連菌やRSウイルスなどは、子どもの罹患率が高め。ちなみに、感染症にかかった時、クリニックや病院に行く人の割合は、大人も子どもも90%以上と高い受診率となった。

感染症にかかった原因は何だと思いますか?

大人と子どもでは、予想される感染原因が違う点が興味深い。まず子どもが保育園や幼稚園で感染し、それが家庭内で母親に感染という流れが見てとれる。もうひとつ興味深いのは、「うがい・手洗いを怠ったため」という回答が、大人と子どもでそれぞれ12〜13%の回答にとどまったこと。やはり感染源に近づくことが一番の原因と考えているようだ。

感染症対策として日頃していることや家庭内での予防法は?

大人、子ども、ともに「手洗い」「うがい」が上位にランクしているものの、子どもの「うがい」率がやや低いのが気になる。同様に「マスクの着用」も、子どもでは半数を割る結果に。「子どもにきちんとうがいさせるのは難しい」「マスクは嫌がってすぐに外してしまう」など、習慣づけの難しさを口にする人も多かった。

冬の感染症、どう防ぐ?

インフルエンザ

季節性インフルエンザは、日本では毎年11月頃から増え始め、12月〜翌1月でピークを迎える。咳やくしゃみによる飛沫感染が主な感染経路で、ウイルス感染してから発症までの潜伏期間は1〜3日。高熱、悪寒、頭痛、筋肉痛といった症状が急激に出るのが特徴。

予防と対策

日頃から免疫力を低下させない体をつくることと、やはり予防接種が効果的。インフルエンザのワクチンは接種後約5ヵ月間有効なので、毎年10月〜11月の間に接種を受けておくのがベストです(接種してから抗体値が上昇するまで約2週間かかるため、接種後直ちに効果が発揮されるわけではありません)。家庭内で子どもから大人に感染する場合も多いので、家族全員で予防接種を受けるのがおすすめ。また、外出時には常にマスクをするなど、ウイルスをできるだけ吸い込まない工夫をしましょう。

RSウイルス感染症

乳幼児ほど重症化しやすい呼吸器の感染症。日本では11月〜翌1月が発症のピーク。感染力が高く、ほとんどの乳幼児が感染を経験し、一度治ってからも何度も感染することがある。苦しそうな咳き込みと喘鳴の症状が特徴で、生後6ヵ月未満の乳児の場合は、特に注意。

予防と対策

現在、RSウイルス感染症に効果的なワクチンはなく、発症後は経過をしっかりと見ていくことが大切。特に免疫力の弱い乳児の場合は、重症化させないためにも、症状が現れたらすぐに医療機関へ。一度かかってすぐに免疫ができる病気ではなく、何度も繰り返し感染し、回数が増えるほど症状は軽くなっていくのが一般的。乳幼児の多い保育園では感染が広がりやすく、また、大人が知らずにウイルスをもらっていることもあるため、家族で「家に帰ったらまずは手洗い」の習慣を。

溶連菌感染症

溶連菌(正式には溶血性連鎖球菌)が病原体となって、主に喉に感染する。猩紅熱は、溶連菌感染症が重症化した状態のこと。溶連菌感染症は38〜39℃の発熱、のどの痛み、イチゴ舌、発疹などの症状が特徴。潜伏期間は2〜4日ほどで、大人になっても感染する。

予防と対策

家族で感染した子がいる場合は、室内でもマスクをするなど二次感染の予防を。もちろん、感染したお子さんの食べ残しを口に入れたり、同じスプーンやコップは使わないこと。発症後は抗生剤を服用すれば2〜3日で症状が治まりますが、溶連菌を完全に死滅させるために、10〜14日間は処方のとおり最後まで抗生剤を飲み切ることが重要です。また、完治したかどうかは自己判断せず、症状が改善した2〜3週間後に、再び医師の診断を受けてください。

ノロウイルス・ロタウイルス感染症

初冬から春先に流行する感染性胃腸炎。ノロ、ロタ、いずれも急な吐き気、嘔吐、下痢、発熱などの症状が特徴で、ロタの方が乳幼児の感染では症状が長引きやすい。ロタは世界中のほぼ全員が5歳までに1度は感染すると言われていて、初感染時が一番重症化しやすい。

予防と対策

肉や魚介類は生食を避け、加熱して食べるようにしましょう。85℃以上、90秒以上の加熱でウイルスは死滅します。二次感染を避けるために、ウイルスに感染した人の嘔吐物や排泄物を処理するときは最大限の注意を。必ず使い捨ての手袋やマスクを着用し、使用したぞうきんやペーパーなどと一緒にビニール袋を何重も重ねて密閉し捨ててください。嘔吐した床や感染者が触れたドアや便座などは、次亜塩酸ナトリウムを希釈した液で消毒をしましょう。

取材協力/中島内科小児科医院

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