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こちらの記事の監修医師
神尾記念病院
院長 神尾 友信 先生

じろうこう耳瘻孔

概要

耳瘻孔は正式には「先天性耳瘻孔」という、生まれつき耳の付け根付近に穴が開いている異常をいいます。これ自体は病気というよりも、一定の確率で見られる耳の奇形の一種で、何の症状も出ずに特に問題なく一生を過ごす人もいます。穴の下には管あるいは袋状の細い空間があり、耳介軟骨付近で終わっています。この穴に汗や垢などの分泌物がたまって悪臭を放つことや、そこに細菌が侵入して感染し、赤く腫れあがったり、膿が出たり、痛み、かゆみなどに悩まされることがよくあります。さらに慢性化すると、その周囲に膿瘍が発生したり、顔面まで感染が広がったりすることもあります。感染がすぐに治らないようなら耳鼻咽喉科か形成外科を受診してください。

原因

耳瘻孔は胎児の時期に耳が形成される際、耳になる複数のパーツがぴったりと合わさらず、隙間ができてしまったものだと考えられています。生物の進化の過程で、通常はなくなってしまうはずの「エラ」の名残であるという説もありますが、はっきりとはわかっていません。穴の下の管(細い空間)は、真っすぐのもの、枝分かれしたものなど形状もさまざまで、長さも人によって違いがあります。ここに細菌感染が起きると炎症症状が出てきます。耳瘻孔は遺伝的な要因が強く、両親にある場合は子どもにもある可能性が高いとされています。鰓耳腎症候群(さいじじんしょうこうぐん)という遺伝性難病の患者にも耳瘻孔がよく見られることが知られています。この病気は非常にまれな病気で、8番染色体にあるEYA1という遺伝子の異常で起きることがわかっています。

症状

耳瘻孔の穴に汗や垢がたまると悪臭を放ち、穴からチーズ状の分泌液を出すようになります。そこに細菌が侵入して繁殖すると、穴の周りが赤く腫れあがったり、膿が出たりして痛みやかゆみなども感じるようになります。さらに感染を繰り返し慢性化してくると、穴の周りがただれて固くなり、周囲に膿瘍が発生したり、顔面まで感染が広がったりすることもあります。一方で、まったく無症状で問題のない人もいます。また、鰓耳腎症候群であれば、耳瘻孔のほかに必ず重症の難聴があり、人によっては腎臓の病気を伴うという特徴があります。

検査・診断

耳瘻孔の診察は視診や触診で、穴とその周囲の炎症の状態や分泌液や膿を確認し、問診で症状とこれまでの感染の有無や、両親にも同じような耳瘻孔がないかなどを確認することが中心になります。親の耳瘻孔が子どもに遺伝していたとしても、症状がなければそれほど気にする必要はありません。耳瘻孔の摘出手術を行う場合は、局所麻酔なら血の固まりにくさを調べる検査など、一般的な手術前の検査を行います。全身麻酔手術の場合は、それに加えて手術前に心電図、エックス線撮影、呼吸機能の検査なども行います。難病の鰓耳腎症候群を疑う場合は、専門の施設で精密検査が行われます。

治療

自然に穴がなくなることはありませんが、無症状であれば無理な治療は必要ありません。穴の周りに炎症が見られ、悪臭、膿、痛みなどの症状がある場合は、抗菌薬などによる治療や膿を出す小切開などが行われます。一度感染すると、多くの場合は再感染を繰り返すようになります。そうした場合は、手術で耳瘻孔を周囲の組織ごと摘出する根治療法があります。この手術は、成人であれば一般的に局所麻酔の日帰り手術で受けることが可能です。まれに、耳の後ろ側まで切開が必要なケースでは、入院になることもあります。小児では手術中の鎮痛・鎮静が必要なため、入院して全身麻酔手術を行うことが原則です。慢性化していた場合、耳瘻孔の近くに膿瘍ができていることもありますが、通常は耳瘻孔を切除すると膿瘍も縮小していくことが多いため、無理に膿瘍切除を行う必要はありません。

予防/治療後の注意

先天的な耳の形状の異常ですので、予防は困難です。日常生活では感染予防のため、耳瘻孔の部分を頻繁に触らないようにしましょう。耳瘻孔は一度炎症を起こすと、何度も繰り返して徐々に悪化していきます。瘢痕化といって炎症部位に硬い痕が残り、摘出手術が困難になったり、切除しなければならない範囲が大きくなったりしますので、悪化させないためには、一度感染を起こしたら早めに摘出することが重要です。耳の横に小さな穴があり、これまでも何らかの症状が出た経験のある人は、耳鼻咽喉科か形成外科に相談してみましょう。

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こちらの記事の監修医師

神尾記念病院

院長 神尾 友信 先生

千代田区神田で創業100年を越える神尾記念病院の4代目院長。先代院長急逝により2009年から院長代行を務め、2010年1月に院長に就任した。「患者に安心感・満足感を感じてもらえる医療」の提供に日々努めながら、病院全体のチームワークを高めることにも力を注ぐ。鼻腔・副鼻腔手術のスペシャリスト。