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こちらの記事の監修医師
神奈川県立こども医療センター
神経内科部長 後藤 知英 先生

しょうにきゅうせいのうしょう (いんふるえんざのうしょう)小児急性脳症(インフルエンザ脳症) 

概要

急性の脳障害である急性脳症は、主に乳幼児や小児に発症する病気で、通常はウイルス感染症をきっかけに起こります。インフルエンザウイルスや突発性発疹ウイルスなどさまざまなウイルス感染症をきっかけとして発症することが知られており、インフルエンザウイルス感染症に伴う場合はインフルエンザ脳症と呼ばれることがあります。急性脳症の日本での発症数は年間400~700人程度とされ、急に発症して悪化するものと、数日かけて発症するものに大きく分けられます。前者には「急性壊死性脳症」や「出血性ショックを伴う急性脳症」があり、発症すると急速に全身状態が悪化し、死亡率が高いことが知られています。後者には「けいれん重積型(二相性)急性脳症」があります。これは発熱直後にけいれんがみられ、数日間は落ち着いていますが、その後再びけいれんが出現するものです。通常亡くなることはありませんが、多くの場合で軽度から重度の後遺症が残ります。この他、「可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症」や、こういった分類にあてはまらないものもあります。発熱時にけいれんなどの神経症状がみられた場合、すぐに小児科を受診するか、かかりつけ医や自治体の救急相談ダイヤルに電話して相談しましょう。

原因

ウイルス自体が脳の中に入るのではなく、脳以外の場所でウイルスに感染したことをきっかけに発症します。原因はまだ十分にわかっていませんが、発熱、炎症などにより、脳のむくみ、血流異常、エネルギー不全、全身の過剰な免疫反応や出血などが生じ、けいれん、意識障害、異常な言動・行動といった神経の症状や、その他の臓器の深刻な障害を引き起こすと考えられています。また、一部の解熱鎮痛薬、風邪薬などに含まれる成分を小児が服用すると、急性脳症を発症するリスクが高まることが報告されています。このため、日本小児科学会では、小児に解熱鎮痛薬を使用する場合は、急性脳症になる危険が少ないとされるアセトアミノフェンという成分を使うよう推奨しています。

症状

発熱、感冒症状、嘔吐、下痢といったウイルス感染症によく見られる症状に加え、意識障害、けいれん、異常行動・言動などの神経症状が挙げられます。重症の意識障害ではずっと眠ったような状態で、手足をつねっても目覚めない状態になります。軽症の場合は、視線が合わない、幼児ならあやしても声を出して笑わない、年長児では自分の名前が言えない、場所がわからないなどの症状が典型的です。また、両親がわからない、幻覚を見る、意味不明な言葉を発する、異常におびえる、突然怒ったり泣いたりするといった言動や行動が見られることもあります。急に発症して悪化するタイプの場合は、発熱から1~2日以内にこのような症状が出てどんどん悪化しますが、数日かけて発症するタイプの場合は、いったん症状が治まり、3~7日後に急性脳症の症状が明らかとなります。

検査・診断

医療機関でけいれん、意識障害、異常行動・言動などの症状を観察し、急性脳症が疑われる場合は二次・三次救急病院での検査や治療が必要となります。けいれんが15分以上続く場合や繰り返す場合、意識障害が改善しなかったり、異常行動・言動が続いたりする場合は、急性脳症の可能性を考える必要があります。病院では、さらに頭部のCTやMRI、脳波検査、血液検査などにより、脳の病変や脳波の異常などを確認し、急性脳症以外の脳の病気である可能性も調べた上で、急性脳症かどうかを診断します。

治療

急性脳症に対する根本的な治療方法は、まだ確立されていません。けいれんが続くときはけいれんを止める薬剤の投与、呼吸が悪い場合は人工呼吸管理、脳のむくみを軽減する薬剤の投与、血圧が不安定な場合は血圧をコントロールする薬剤の投与など、まずは全身状態の安定を図ります。同時に、急性脳症によって生じていると考えられる過剰な炎症反応や免疫反応を抑えることを期待して、大量のステロイドを短期間に何回も投与する治療や、ガンマグロブリンを大量投与する治療も行われます。脳を保護し過剰な炎症・免疫反応を抑えるために、脳低温療法や血漿交換療法、また免疫抑制薬、血液の抗凝固薬、脳保護薬などを使った治療を行うこともあります。

予防/治療後の注意

すべてのウイルス感染症を予防することはできませんが、インフルエンザウイルスやロタウイルスなどのワクチンを接種することで、感染の機会を減らすことができる感染症もあります。急性脳症を発症するリスクを下げるためにも、予防接種は積極的に受けるようにしましょう。もちろん、手洗いやうがいなどの一般的な感染予防対策も、ご家族皆で実践してください。多くの場合、手足のまひや発達の遅れ、てんかんなどの後遺症が残ることから、リハビリテーションや抗てんかん薬の服用などを行う必要があります。

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こちらの記事の監修医師

神奈川県立こども医療センター

神経内科部長 後藤 知英 先生

1994年筑波大学医学専門学群卒業後、慶應義塾大学大学院・慶應義塾大学病院小児科にて研修医となる。1995年Harvard大学医学部・Massachusetts総合病院神経科・小児神経科リサーチフェロー、慶應義塾大学小児科に帰室後、2000年都立清瀬小児病院(現・東京都立小児総合医療センター)神経内科を経て、2014年から現職。専門は小児神経疾患。