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こちらの記事の監修医師
学校法人昭和大学歯科病院
顎顔面口腔外科診療科長/教授/副院長 代田 達夫 先生

えなめるじょうひしゅエナメル上皮腫

概要

歯を形成する組織に由来する、良性腫瘍である。好発年齢は10~20歳代で、性別では3:2で男性に多い。発生部位は下顎(かがく)に多く、特に臼歯部から下顎枝(かがくし)に好発する。本腫瘍の発育は通常緩やかである。しかし、多くは周囲骨組織に浸潤増殖するので再発する危険性が高く、また、まれに悪性転化や遠隔臓器へ転移することがある。

原因

歯胚(しはい)形成時のエナメル器と呼ばれる部分が腫瘍化することで発症するが、その原因は解明されていない。しかし、最近の分子生物学的側面からの解析によって、本腫瘍の発生・進展に関与する多様な分子や遺伝子変異の存在が報告されている。

症状

「あごが腫れた」、「歯が移動した」などを訴えて受診することが多い。本腫瘍のほとんどは顎骨内に発生し、歯科治療の際に撮影されたエックス線写真で偶然発見されることも少なくない。腫瘍の増大に伴って骨が薄くなり、羊皮紙様感(触った時のペコペコとした感触)を触知し,腫瘍がさらに増大して骨が完全に吸収されると波動(波をうつ感触)を触れるようになる。腫瘍自体が潰瘍を形成することは稀であるが、歯と接触するなどの物理的な刺激によって潰瘍を形成することがある。上顎骨(じょうがくこつ)に発生した場合でも下顎と同様の症状や、上顎洞(鼻腔とつながる空洞の一つ)への腫瘍の進展が見られる。病変部が感染して炎症を伴う場合を除き、疼痛や知覚異常などの神経症状を訴えることはない。

検査・診断

臨床所見およびエックス線画像で腫瘍の発生部位や進展範囲などを診断する。また、CTおよびMRIは腫瘍の形態、内部性状(腫瘍中の液状成分の有無など)や腫瘍周囲の骨破壊の程度、歯根吸収の有無などを詳細に把握する上で有用である。一般的な画像所見は、単房性(袋状)または多房性(ぶどうのような形状)のエックス線透過像を示すが、蜂巣状(蜂の巣のような形状)を示すこともある。単房性の腫瘍は10~20歳代の若年者に多く、多房性は全年齢層にわたって見られる。本腫瘍を画像所見だけで診断することは困難であり、確定診断には腫瘍の一部を採取して調べる病理組織学的検査が必要である。

治療

治療法は腫瘍とともに顎骨を切除する顎骨切除法と顎骨の形態や機能の温存を重視して顎骨切除を行わない顎骨保存療法に分けられる。治療後の再発率は顎骨切除法では低く、顎骨保存療法では高いとされている。顎骨切除法で、腫瘍が顎骨とともに切除された場合には、骨移植による顎骨再建が必要となる。しかし、再建手術を行っても顔貌の変形や機能障害は避けられず、患者の肉体的・精神的な負担が大きい。そこで、顎骨保存療法で根治性を高めるためにさまざまな手術法が開発されている。例えば、単に腫瘍を摘出するだけでは再発の危険性が高いため、摘出後に腫瘍周囲の骨面を削除する方法や、腫瘍摘出後、骨創面に形成された瘢痕組織と新生骨を腫瘍細胞が確認できなくなるまで数か月ごとに繰り返し除去する反復処置法などが行われている。

予防/治療後の注意

腫瘍が確実に切除されたならば、その再発の可能性は低い。一方、顎骨保存療法が行われた場合の再発率は、単なる摘出術では67%、反復処置法では16%であり、症例の約70%は術後5年以内に再発を認めていたと報告されている。また、10年近く経過してから遠隔転移や再発する例があり、長期の経過観察が必要である。

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こちらの記事の監修医師

学校法人昭和大学歯科病院

顎顔面口腔外科診療科長/教授/副院長 代田 達夫 先生

1986年昭和大学歯学部卒業,講師,准教授等を経て2013年5月より現職。日本口腔外科学会口腔外科専門医。