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こちらの記事の監修医師
横浜市立市民病院
石原 淳 病院長

ひこうせいゆうもんきょうさくしょう肥厚性幽門狭窄症

概要

乳児の胃の出口部分にある「幽門筋」と呼ばれる筋層部分が分厚くなることにより、胃の出口が狭くなってしまう病気。母乳やミルクなどが胃から先の十二指腸のほうへ流れず、嘔吐してしまう。生後2~3週から3ヵ月程度で症状が出現するが、1ヵ月頃に発症がわかるケースが多い。1000人に対して1~2人の確率で見られ、新生児にとっては比較的発症頻度が高い病気といえる。男女比では約5:1と男児によく見られる。とりわけ第1子によく発症する傾向がある。また新生児以外では、好酸球性胃腸炎などの難病によって、こうした症状が発症する場合がある。 

原因

もともと幽門筋には収縮する働きがあり、食べ物を胃が消化する際は収縮して閉じており、消化物を流す段階になると緩む。そうして小腸の入口である十二指腸のほうへ消化物を排出する。しかし、何らかの原因によりこの幽門筋が厚くなってしまい(肥厚化)、胃から消化物をうまく出せなくなってしまう。先天性の病気だといわれてきたが、近年では、生後に発症する病気だという説も出ている。胃の神経細胞の異常や、幽門筋がけいれんすることで肥厚化を招くことが原因として挙げられることもあるが、肥厚化の原因について詳しいことははっきりとわかっていない。  

症状

生後2~3週間頃から哺乳後に吐き出すようになる。そのうち、飲むたびに突然激しく吹き出すようにすべて嘔吐する「噴射状嘔吐」が見られるようになるのが特徴。吐いた後は空腹のためすぐにミルクを欲しがるが、その後また嘔吐することを繰り返す。こうして経過とともに嘔吐の回数が増え、進行すると体重減少が起きたり、脱水症による電解質異常が起きたりして、放置すれば重篤になる。初期の頃は、哺乳後すぐに吐いてしまう以外の問題がないことが多い。なお、乳児が嘔吐したときはすぐに顔を横向きか下向きにさせ、喉に吐しゃ物を詰まらせないようにすることが重要。

検査・診断

問診では、噴射状嘔吐があるかなど特徴的な症状の有無を調べる。幽門筋が肥厚しているかどうかは、触診で腹部に触れた時にオリーブ大の小さなしこりがあることから確認できるケースも多い。肥厚性幽門狭窄症の疑いが高まれば検査を行う。検査では通常、腹部超音波(エコー)検査を実施する。幽門筋の厚みが4mm以上あり、幽門部にある管の長さが15mm以上であれば、診断が確定する。補助的診断として、血液検査や上部消化管造影検査を行うこともある。血液検査では、嘔吐を繰り返した結果、体液がアルカリ性に傾いて、低クロール性アルカローシスになっている場合も見られる。

治療

最初に、点滴によって電解質異常や脱水といった症状を改善していく。その上で、外科的手術を行うのが一般的。手術では、胃から消化物をスムーズに排出できるように、厚くなった幽門筋を切開して広げる「ラムステット法」を採ることが多い。術後は、通常であれば数日で退院でき、早い段階で再び問題なくミルクが飲めるようになる。また症状が再発することも基本的にはない。この他の術式として、近年では内視鏡手術で幽門筋を広げる行う方法を採るケースも見られる。また、内科的療法として、筋肉を緩める薬である硫酸アトロピンを静脈注射で少量投与する方法も行われるようになってきた。ただし、治療の有効率は手術に比べて劣るほか、入院期間も手術より長くなる傾向があるため、まだ検討の余地があるとされている。

予防/治療後の注意

発症初期の頃は、嘔吐する以外に乳児の体調に問題があるようには見えないことが多い。例えば、ぐったりするなどの様子も見られないことから、発症に気づくのが遅れる場合がある。症状が進行して重篤になることを防ぐためにも、噴射状嘔吐を繰り返す場合は、早めに小児科を受診するようにしたい。

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こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。