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医療法人社団緑成会 横浜総合病院 皮膚科部長 鈴木 琢 先生

こちらの記事の監修医師
医療法人社団緑成会 横浜総合病院
皮膚科部長 鈴木 琢 先生

でんせんせいたんかくきゅうしょう伝染性単核球症

概要

ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)などに初感染することが原因で起こる、発熱やリンパ節の腫れなどの症状を起こす急性感染症。EBウイルスは唾液に潜んでおり、回し飲みやキスが原因でうつることが多いため、別名キス病と呼ばれる。多くの人は思春期までに親や周囲の人から感染しているので、EBウイルスに対する免疫力(抗体)を持っている。子どもの頃に感染しても症状はほとんど出ないが、思春期以降になってから初感染すると高熱などの症状が出やすい。扁桃炎に症状が似ているため、間違われることもある。

原因

ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルスやサイトメガロウイルス(CMV)などに感染したことで発症する。ただ、これらのウイルスは、多くの人が、すでに体内に持っていることが多く、症状が出ないことのほうが多い。伝染性単核球症の原因として最も多いEBウイルスは唾液中にあるため、キスや回し飲み、箸・スプーンの使いまわし、食べ物の口移しなどによって感染が広がっていく。また、EBウイルスは乳幼児期に感染をしても症状が出なかったり軽かったりするが、学童期以降に初めて感染すると症状が強く現れる。たとえ症状がなくてもEBウイルスは体内にとどまり続け、唾液に乗って感染を広げていく。一方、サイトメガロウイルスは唾液を介した飛沫感染のほか、輸血や性交渉でも感染を拡大。たとえ症状がなくてもEBウイルス同様、体内にとどまり続け感染を広げていく。

症状

ウイルス感染してから4週間以上の潜伏期間を経てから症状が現れる。1~2歳の乳幼児が発症しても微熱や扁桃腺の腫れなど症状は軽いが、学童期以降に発症すると重症化しやすい。主な症状は高熱や全身の倦怠感・疲労感、喉の腫れ・痛み、全身のリンパ節の腫れと肥大、発疹など。発熱や喉の痛みなどの症状は1~2週間続き、倦怠感は数週間から数ヵ月にわたって長期間続くケースも。肝臓や脾臓が肥大化しやすくなり、悪化すると破裂することがあるので注意が必要。また、重症化すると気道閉塞や球肺炎、リンパ腫、貪食症候群、無菌性髄膜炎、ギランバレー症候群、心筋炎などさまざまな合併症を併発することがある。

検査・診断

血液検査で原因ウイルスや炎症の程度、肝臓の障害などを調べる。伝染性単核症で増加するタイプのリンパ球を血液検査で調べ、炎症の程度を確認。血液検査でEBウイルスやサイメガロウイルスなどの抗体を調べることで診断が確定できる場合があるが、検査結果が出るまでに数日から10日程度かかることも。また、肝臓や脾臓もダメージを受けることがあるので、肝臓に関係する数値を調べる血液検査や腹部超音波検査をすることがある。乳幼児の初感染による発症では、軽度の発熱と扁桃腺の腫れであることが多いので、伝染性単核球症ではなく扁桃炎と診断されてしまうことが多い。

治療

根治させる治療法はないので安静にしながら回復を待つ。通常、4~6週間ほどで自然治癒する。ただし、咽頭痛や全身倦怠感が強くて水分の経口摂取が難しくなった場合には入院して点滴などで補液を行う。発熱や喉の痛みなどが続く場合は解熱鎮痛剤を使い、内臓が腫れている場合は腫れが引くまで安静にする。また細菌感染の合併症がある場合は、抗菌薬を使うことも。ただし、抗菌薬自体には伝染性単核球症への治療効果はなく、それどころか症状を悪化させることがあるので、自己判断で服用することは避ける。

予防/治療後の注意

自然に治ることも多い伝染性単核球症は比較的予後が良く、再発する心配もほとんどない。発熱や喉の炎症などの症状が良くなれば、通常の生活に戻ることができる。ただし、症状が治まっていても、肝臓や脾臓が肥大化している場合は、腹部に衝撃や圧力がかかると破裂することが。脾臓が破裂すると出血性ショックで重篤化する危険性が高い。そのため、治癒後2ヵ月間および肥大した状態が治まるまでは、転倒や打撲、外傷に気をつけ、力仕事や相手に接触するスポーツを避けるようにする。

医療法人社団緑成会 横浜総合病院 皮膚科部長 鈴木 琢 先生

こちらの記事の監修医師

医療法人社団緑成会 横浜総合病院

皮膚科部長 鈴木 琢 先生

1998年東邦大学卒業。専門である帯状疱疹の診療を中心に、それに付随する帯状疱疹後神経痛による痛みのケアまでカバーしている。日本皮膚科学会皮膚科専門医。