面接で採用担当者に良い印象を抱いてもらうには、質疑応答の内容だけでなく、言葉遣いをはじめとする話し方も重要です。本記事では言葉遣い・話し方の基礎編として、基本的な敬語(丁寧語・尊敬語・謙譲語)の使い方や、話す際のポイントを解説します。
合否を左右する面接の場で、初対面の採用担当者と話すことは誰もが緊張するもの。そのような中でも、適切な言葉遣いができるように、この記事で基礎知識をぜひ身につけてください。
なお、「使いこなして印象アップ!面接での言葉遣い・話し方〈実践編〉」のほうでは、面接シーンにふさわしい言い回しや、印象を良くする言葉遣いや話し方のテクニックを解説しています。併せてチェックしてみましょう。
<目次>
1 言葉遣いや話し方は面接の合否を左右する
自分の言葉遣いや話し方に気を配ることは、円滑なコミュニケーションを図る上で重要なポイントの一つ。過去に、自分の話し方が原因で相手を不機嫌にさせてしまった経験や、逆に相手の言葉遣いで自分が不快な気持ちになった経験など、思いあたる人は多いのではないでしょうか。
「礼儀やTPOをわきまえていない」と思われてしまうような言葉遣いや話し方は、たとえ悪気がなかったとしても、相手からは「失礼な人」と不信感を招きやすいため、避けたいものです。
医療機関で働いていると、受付や診療、会計など数多くのシーンで患者との会話が発生します。また、スムーズに業務を行っていく上で、上司や同僚たちとの間でのコミュニケーションが重要です。
その際、言葉遣いや話し方がきっかけで、患者や上司、同僚との間でトラブルが生じてしまうこともあれば、逆に、相手に好印象を与えて、距離が縮まったり信頼関係が深まったりする場合もあるでしょう。
そのため医療機関の採用面接では、「患者やスタッフとのコミュニケーションに問題はないか」という観点でチェックされやすく、合否の決定打にもなり得ます。
「この人なら安心して患者応対を任せられる」「チームワークに良い影響を与えてくれそう」と採用担当者に思ってもらえるように、面接での適切な言葉遣いや話し方を心がけていくことをお勧めします。
とはいえ、相手に好印象を与える言葉遣いや話し方を、一朝一夕で身につけるのはなかなか難しいもの。自然に扱えるようにするためには、日頃から意識して使い続けることが大切です。この記事で紹介している内容を、日常生活でもぜひ取り入れてみてください。
2 正しい敬語を身につけよう~丁寧語・尊敬語・謙譲語の使い方~
面接の場で、印象を良くする言葉遣いのためにまず意識したいのは「敬語で話すこと」です。敬語は話し相手への敬意を示す基本的な手段。医療機関で働き始めたとき、患者に対しては基本的に敬語を使います。そのため、採用担当者は「患者さんに適切な敬語を使える人物か」を面接の場で見極めようとするわけです。
敬語には、「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3種類があります。本項で、これらの適切な使い方を紹介します。
とりわけ丁寧語・尊敬語・謙譲語の使い分けが重要かつ迷いやすいケースは、「行く」「見る」「聞く」といった行為についての言及でしょう。
そこで会話中でも言及する機会の多い行為(動詞)について、代表的な丁寧語・尊敬語・謙譲語を下表にまとめました。ぜひ押さえておきましょう。
会話中でよく使われる行為(動詞)の丁寧語・尊敬語・謙譲語
「相手の行為の場合は尊敬語」「自分の行為の場合は謙譲語」という点を覚えておくと◎。
これらをきちんと使い分けて話せるようになれば、面接時の言葉遣いに関する印象は格段にアップします。ただし、表現ばかりに気を取られてしまうと、質疑応答の受け答えに集中できなくなるので本末転倒です。自然に敬語の使い分けができるように、日頃から使う癖をつけて定着するように心がけてみてください。
3 相手に好印象を与える話し方のポイント
普段はあまり意識していない話し方の癖のようなものも、面接シーンでは相手の印象を大きく影響を及ぼします。それをマイナスの印象ではなくプラスの印象とするために、「知っておきたい話し方のポイント」を紹介します。
①相手が聞き取りやすい声の大きさ・ペースで話そう
早口だったり声が小さかったりすると、自分の言いたいことが採用担当者にしっかりと伝わらず印象を損ねてしまう可能性があります。
その一方で、ペースがゆっくりしすぎていると、相手をいらいらさせる一因になりかねないですし、大きな声は「活発そう」という印象は与えるかもしれませんが、度を超すと「うるさい」「患者さんのセンシティブな情報を大きな声で読み上げてしまうかも」といったマイナス印象につながってしまうことも。
声量やペースは相手との距離を考え、聞き取りやすいボリュームを意識しましょう。
②相手の質問を最後まで聞いてから話し始めよう
相手の質問を最後まできちんと聞くことも、話し方における重要なポイント。たとえ何を聞かれているのかが途中でわかったとしても、相手が話し終える前に答え始めてしまうと、相手にはせっかちな印象を与えてしまいます。
相手が話し終えた後、間を一拍空けてから話し始めるのが、言葉のキャッチボールのテンポとして理想的です。
③相手の目を見ながら話そう
採用担当者の話を聞いているときもこちらが話すときも、相手の目を見ることが大切。相手と視線を合わせることで「きちんと聞いている」「しっかりと伝えようとしている」という姿勢を示すことができます。
下ばかり見ていたり、相手の目を背けたり、きょろきょろと視線が定まっていなかったりすると、自信がないように映ってしまうため、視線を相手に向けることを意識しましょう。 目を見るのが苦手な人は、相手の鼻付近を見ることをお勧めします。鼻は目に近いため、相手は目が合っているように感じ、失礼な印象を与えづらいというメリットがあります。
なお、WEB面接では、画面に映った採用担当者の目を見ていても、相手側からは視線が合っているようには見えません。この場合、カメラに目を向けることで画面越しの相手と視線を合わせることができます。対面面接とは視線の合わせ方が違う点に注意しましょう。
④「えっと」などのフィラーが出すぎないように注意しよう
話し出しや話の合間に、「えっと」「あの~」「まあ」といった言葉がつい出てしまうことがあります。これらは「フィラー」と呼ばれ、適切な言い方を探しているときや考えをまとめているときになどに無意識に出やすい言葉です。
フィラーが多いと話している内容が相手に伝わりづらくなるだけでなく、自信のない人に見えやすいなど、マイナスの印象を与えてしまうことがあります。
フィラーを減らすコツは、ひと呼吸置くことです。そのあとは、ゆっくり焦らず話し出していきましょう。そうすることで、「自分の言葉を丁寧に選んで話している」「落ち着いている」といった良い印象を与えやすくなるでしょう。
とはいえ、フィラーは話すときの癖の一種なので、ただでさえ緊張しやすい面接本番にコントロールすることは容易ではありません。話す内容ではなくフィラーを使わないことばかりに意識が向いてしまうと、質疑応答自体がうまくいかなくなる可能性も。
そのため、日常的にフィラーが出ないように話してみることを心がけて、癖そのものを少しずつ減らしていくことをお勧めします。
⑤自分の話し方を把握しよう
第三者に自分の話し方を見てもらえれば、注意すべきポイントがわかります。模擬面接を実施して、採用担当者役の家族や友人などから指摘を受けることで、自分の話し方の改善ポイントを把握できる場合があります。
ただし、家族や友人は面接の専門家ではないことがほとんどなので、正確に指摘してもらえるとは限りません。そこでお勧めなのが、転職エージェントの活用です。例えば、転職エージェント「ドクターズ・ファイル エージェント」ではキャリア・アドバイザーの面接指導を受けることができます。話し方や言葉遣いについても相談してみてください。
面接全般の悩みや不安にも、転職のプロならではの解決策を提示してもらえる可能性も。面接への自信をつける機会にもなるので、積極的に活用してみましょう。
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ここまで、面接での言葉遣いの基礎編として、基本的な敬語や話し方のポイントについて紹介しました。相手を気持ち良くさせる言葉遣いや話し方は、面接だけでなく、仕事上のコミュニケーションにも役立つので、この機会に改めて自身の言葉遣いに向き合ってみてください。
また、これから転職活動を開始する人は、当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」の活用をぜひ検討してみてください。
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丁寧語
語尾に「です」「ます」などをつける(例:休みです、できます)、語の頭に「お」「ご」などをつける(例:お世話、ごあいさつ)ことで言い回しを丁寧にして、相手への敬意を示す言葉。
尊敬語
相手を自分よりも高めて言い表すことで、相手への敬意を示す言葉。
謙譲語
自分や身内を相手よりも低く言い表すことで、相手への敬意を示す言葉。